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日本の森の豊かさ

日本の森の特殊性や豊かさについて詳しく書かれたデータがありましたので、紹介したいと思います。
稀有の森の王国日本 日本の森の物語 [1] より引用
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たとえば地理的・地形的僥倖として、「森」という字が盛り上がった形を示すように、この地の大部分を占める峻嶮な山地は、そこに生える樹木の伐採を容易に許さなかった。先進国中最大の70%という森林のカヴァー率は、そのまま山岳地帯の占有比率と見事に重なり合う。一方平地が大部分を占めるヨーロッパの樹林は、伐採が容易でありしかも寒冷で降雨の絶対量が少ないことから、この地の植生を貧弱なものにしたし、容易に伐採されていった。
豊かな日本の森とその辺縁部は、多様な堅果・果実、ヤマイモ・サトイモ・カタクリ(片栗)・クズ(葛)などの根菜類、それに数多くのキノコや山菜類を生んだ。色とりどりの草花が咲き乱れ、涸れることのない湧き清水が無数にあった。清水が集まった川にはイワナ(岩魚)・ヤマメ(山女魚)・アユ(鮎)が泳ぎ、マス(鱒)やサケ(鮭)が遡上する。川の流れ込む汽水帯をはじめ、リアス式海岸や周囲の海からは魚介類・海藻類が豊富に獲れた。
われわれの先祖は、こうした環境風土の中で早くから定住し、狩猟→遊牧の民に襲われることなく、採集と漁撈を中心とした平和な生活を行い、情感に溢れたその資質をいかんなく伸ばしてきた。果たして世界中にこのように恵まれた国があったか? 長らくこうした風土にあれば、「日本の常識 世界の非常識」と謂われる日本人のメンタリティが醸成され固定化していったとしても決して不思議ではない。

峻嶮な山地に形成された日本の森林は、容易に手を出すことができない圧倒的な存在であり、人々はその全てを受け入れ、応合の対象として措定していったのだと思います。そしてその森によって育まれる豊かな恵みに対して、常に感謝の念を抱いて日々生活していたのだと推測されます。
今の日本人にとっては当たり前の存在になっている森ですが、その恵みや恩恵について少し考えてみる必要がありそうです。
ちなみに、伐採が容易なヨーロッパの樹林は、開拓の対象として措定された結果、次々に農地や工業地へと転換していきました。その結果、ヨーロッパの国土における森林面積を見た場合、森と湖の国と呼ばれるフィンランドは72.0%、スェーデン65.9%と高いですが、アイスランド(火山国)0.3%、オランダとイギリスは11.1%と11.6%、イタリア34.0%、フランス27.9%、スペイン28.8%、スイス30.3%といった状況です。(2000年時点)

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