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『母系社会』の中の男達

 このブログでは母系社会を営む人々としてすっかり有名になった感のある「モソ族」ですが、母系集団の中の男達は自分達の立場をどう考えているのでしょうか。父系社会に馴染んだ我々の感覚からすると少々肩身の狭い思いをしているのでは?と考えがちですが、彼らの話を聞くと決してそんなことは無いようです。 [1]
↑モソ族のおじさん
中国雲南省納西(ナシ)族、摩梭(モソ)の母系社会を訪ねて [2]によると…。

 男性が権力を握っている社会が圧倒的に多く、そういう社会の男性をみなれていると、つい、ここでも、男性が権力を握りたく思うのではないか、と聞きたくなってしまう。
 まず、Aさんに、男性は漢族のように権力を持ちたがらないか、と尋ねると、そういうことは考えられないと言う。自分の阿都彼もこちらで生活しなくていい。彼は自分の家で生活し、その家で権力を持つのは彼自身の母か祖母だから、その権力の下にいても不満はない。家の中で大きいことをきめるとき(家を建てるなど)は男も一緒になって相談するのだから。そして、Aさんは女性が強いといわれるが、実際は平等だとも付け加えた。 
 Cさんの、次男Pさんに聞く。妻が死んで、走婚しようと思えばできるし、好きな女性もいるが、娘のために走婚しない。娘がいい家長になるようしつけをしているというので、あなたが家長になりたいとは思わないかと尋ねると、家が繁栄するならだれがなってもいい、家計がうまく管理できれば誰がなってもいい、家計の管理は女性が適しているから、女性がなればいい。男が能力を発揮できるのは家を建てたりすること。家の経済は母と相談して決める。母と意見があわないことはほとんどない、とのこと。
 現在の家族のあり方に不満は全く感じていない様子である。

 これを読むと、家長の権限として「家の中のこと」が語られています。村の課題をどうするかについてはここからではよく判らないのですが、家庭内のことで権限を女性が握っているのは日本も同じ。そこで父系ゆえの嫁姑問題が発生しないのは男性にとってもすごく安心かも(実際、こんなのがストレスになっている男性も多いのでは?)。
↓こんなの
[3]
 もうひとつ、子育てについてはどうかというと…

 子どもは女性の家族がみんなで育てる。家の子どもとして育てるのだという。このとき、子どもの「舅々(チウチウ)=おじさん」、つまり、母の兄弟、がいちばん子どもの教育の責任を負う。人としての善悪や、社会生活のきまりなどは、舅々が子どもに教えるのだそうだ。

 母系制の下では、自分の子供は妻の実家で育ててもらい、自分は甥っ子・姪っ子の面倒を見ることになる。
 これも結構いい感じに思えてしまう。甥っ子・姪っ子というのは不思議な存在で、確かに可愛いのだけれども実の子供よりは客観視が出来る。何より囲い込もうにも実の母親やおばあちゃんには決して敵わない。伯父さんとしてならうまく距離を保った躾が出来そうだ。
  う゛~む…
    _, ._
  (;゚ Д゚)母系制侮り難し…
 案外男にとっても安心できる制度なのかも知れない

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