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<双系>とは集団を分割しない婚姻・家族制度では?

インドネシアを中心に「双系社会」や「父系/母系」の分析を進めてきたが、ここまでの内容をおさらいしてみると標題のようなことが言えるのではないだろうか?
‘呑気なマレー人’に代表されるように、豊かな自然の恵みを享受してきた採集・漁労民族では、私有意識があまり高まらない。 よって単位集団の財産継承あまり問題とはならないので、婚姻制度や家族制度は、「部族(全体の子孫)繁栄と、集団(他部族・異民族)間の友好関係の維持」の方向で発展してきた。
こうして元々の<母系>を土台+移住者の<父系>も組み込んむ→<双系>社会になったと考えます。
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東南アジア地図


参考記事)『双系社会って何?』 [1]『母系社会』って何? [2]『母系・父系の継承について』 [3]
ちなみにマレーシアはがもっと顕著な<双系>のようである。以下『マレーシア百科』 [4]より引用

マレ-人でヌグリ・スンビラン(→37)のミナンカバウ出身であることを名乗る人がいる。母系社会で知られているスマトラ島のパダン高原が本籍のミナンカバウ人はインドネシアでも優秀な民族とされており、マレ-シアでも同じらしい。
 ミナンカバウ人は母系社会あることを別に恥ずかしがる様子もない。男性連中は夫人への配慮が大変だと同情するだけである。
 マレ-人の家族構成は、ミナンカバウ人が母系であるという例外を除けば一般的に〈双系〉である。双系という意味は〈父系〉でもなく〈母系〉でもなく両者が対等であるということである。
 従って双系のマレ-人社会の男女の結婚の関係は対等である。女性には実家を出て他家に嫁入りするという意識はない。日本でいう”家”の概念がないから結婚した夫婦の住居についてもル-ルがない。夫方あるいは妻方のどちらとも限らず状況次第で土地の広い方の隣に小屋をたてる。
 家のしがらみのない結びつきであるので結婚には強い強制力の伴わないことから離婚が多い。結婚のうち半分くらいは離婚するらしい。マレ-人の離婚率は世界一というアメリカのそれをも上回るということだ。
 女性の場合も離婚がハンディとならない。通常の社会では離婚のブレ-キとなる子供の処置もたいした問題でない。なぜなら子供の養育を引受る近親の範囲が広い。祖父や祖母は孫と一緒に暮らすことを望み現にそのようなケ-スが多い。
 マレ-人の家族構成は夫婦単位であることから、戦後の日本に定着したいわゆる核家族のように見えるが、それとは異なるらしい。夫婦が緩い結合であることによって親類関係はかえって拡がる。家族と親族の間の垣根がなくなり、双方の親族は同等で多様な家族構成となる。
 家にスペ-スがあり経済的に余裕があれば夫と妻の双方の親類縁者が従兄弟にハトコも集まって違和感もなく同居している。

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