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無文字社会の思春期(2) 思春期生活を厳しく統制する社会

Posted By sachiare On 2007年5月6日 @ 9:37 PM In E 4 アフリカ | 15 Comments

『無文字社会の思春期』の具体的な事例を紹介します。
アフリカの父系社会、「マサイ語族」と「メンデ族」の事例です。この二つの父系社会では、少年少女の思春期生活にきびしい統制をかけます。
boys.jpg [1]
↑割礼を終えたばかりのマサイ族の少年たち
 傷が完全に癒えると少年から青年のクラスであるモランとなる


以下、村武誠一著『家と女性の民俗誌』無文字社会の思春期 より引用
●マサイ語族
 東アフリカの北部ケニアに住むマサイ語系の牧畜民諸族では、若者にたいする『年齢階梯制』がきびしく維持されている。マサイ語でモランとよばれるひろく知られた戦士期の年齢階梯がある。伝統的にはモランは、若い未婚の男性である。一般にその年齢上限は30歳ないし35歳まで関与している。
モラン期の彼らが、牧畜経済を支え共同体の防衛をつとめている。そのなかの1種族、スムブル族の例をあげると、D・スペンサーの報告によれば、ここでは男性は、少年期からモラン期へ、さらにモラン期から長老期へと移行する。スムブル族の少年のつよい願望は、小さい頃からはやく準モランまたは正式モランになって、人びとの注目と賞讃を得たいということにある。
まず少年は、牛をあつかうことができるようになると、危険な叢林地帯に入っていろいろな実際的知識を学ぶ。年上のモラン・キョウダイやイトコらと牛飼育のキャンプに加わり、夕方は彼らのさまざまなうわさ話に耳をかたむけ、、スラングを憶え、集落にもどってきたときには、モランたちの踊りの周辺をうろつき、振り付けやうたを憶える。やがてモラン期への加入儀礼が近づいてくる。
 ほぼ13から20歳くらいで戦士的役割を果たすようになるので、この時期に少年は加入儀礼をうける。まず割礼の後約1カ月、きびしい儀礼的禁忌のもとですごす。これは完全にモランになるための儀礼が行なわれるまでつづく。この儀礼ではまず、髪をのはし編み下げて赤茶色に色づけをする。
そして自分の母や既婚女性が食べているような肉を食べないことを誓わされる。ということは、村近くには存在しない肉を食べることである。つまり叢林地帯に住む野生動物の肉である。その他、非伝統的食物を食べてはいけない、若い既婚女性をさけなければいけない、などがきびしく守られる。このようにして年齢階梯制が若い男性を統制し、同輩意識を高め、年長者にたいする等敬の念をつよめる。こうしてスムブル族の若者は誇りをもった戦士に育てられる。ここでは、若い男女の問の慎しみときびしい節度が要求されている。これらに違反することは、少くとも男の誇りをすてることである。
●メンデ族
 西アフリカの西端近くに住むメソデ族を調査したK・リトルによれば、ここでは少年と少女が、それぞれ『秘密結社』に組み込まれて思春期から成人期へのきびしい教育をうける。スムブル族とおなじく、危険な思春期を無事のりきらせ、生れかわって成人期に入るために野生を象致する叢林地帯にこもらねばならない。いわゆる<叢林学校>とよばれるゆえんである。
少女は6歳くらいから秘密結社サンデへの加入儀礼のしつけがはじまる。少年も少女も小さいときから甘やかされないようしつけられる。少年ははば10歳くらいで割礼をうけ、それから畑仕事に少しずつ責任をもたされる。少女はサソデ加入儀礼をうける14、5歳まで、正式なサンデ成員である女性親族のために水運び、買物など個人的に奉仕する。そしてさまざまな家事を教え込まれる。サンデ加入儀礼の時期には少女はすでに婚約しており、相手の男性から贈物をうける。
少年もおなじ年齢に秘密結社ポロへの加入儀礼がある。少年少女ともこの加入儀礼によって、誕生以来もっていた児童名をすて、あたらしい名付けをうける。叢林のなかでの生れかわりである。少年は加入儀礼のとき、叢林地帯に入った順に背中に印がつけられる。叢林ですごす期間はリトルがいうように、少年期から成人期への移行を意味している。こうしてメソデ社会の正式成員になる。
<叢林学校>ではサンデ社会もポロ社会も1人前の成人になるためのさまざまな教育をうけるのである。少女はその学校できびしい労働と年長者にたいする慎しみぶかい行ないなどが教え込まれ、それらを怠ると罰せられる。そして、社会的訓練のひとつとして年長成員のために水汲みなどの世話をする。少年少女ともこの学校を卒業すると、親族や友人からよろこびの祝をうける。メソデ社会には、現在キリスト教と近代的学校教育が相当ひろがっているが、これら加入儀礼はいまになおきびしく守られている。



ここで注目されるのは、『年齢階梯制』や『秘密結社』の存在です。同姓・同年代の若者が厳しい体験や課題を共有することで、同姓間の“絆”を強化するような働きがあるのではないかと思います。
これらの父系社会では掠奪闘争には至っていませんが、婚姻の際に「婚資」など私権意識の萌芽が見られます。そのような集団では「男の自我」や「女の不安」を発現を抑制する仕組みが必要であり、それが同姓間の“絆”ではないでしょうか。
また、儀礼がそれまでの生活の隔離・分離を伴うのは、父系社会の一員になるには、子供時代の母的な世界から強制的な分離が必要なのかも知れません。
@さいこう
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