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『穢れ』って何?

Posted By sachiare On 2007年9月2日 @ 4:21 PM In B 人類500万年に亙る共同体社会 | 5 Comments

けがれ【汚れ・穢れ】
 [1] けがれること。特に精神的にみにくいこと。よくないこと。
   ・ この世の―に染まる    ・ ―を知らない純真な少年
 [2] 名誉をけがすこと。
   ・ 家名の―
 [3] 死・疫病・出産・月経などによって生じると信じられている不浄。
   罪・災いとともに、共同体に異常をもたらす危険な状態とみなされ避け忌まれる。
  (大辞林より)
とあるように、一般的には「穢れ」というと、清浄ではない汚れて悪しき状態と捉えられていますが、 “死・疫病”はまだ分かるとして、“出産・月経”がなぜ「穢れ」とされるのか、いままでピンとこなかったんですが、
『男子禁制って?』 [1]

「穢れ」として女を隔離するのも、出産や月経で体力的に弱っている女を、過酷な労働から守るという意味合いの方が大きいように思います。

を読んで、なるほど!と大いに感じるところがあったので、少し『ケガレ』について調べてみました。




現在では、「穢れ」とは清浄ではない汚れて悪しき状態のことと一般的には捉えられていますが、語源をさかのぼると、もともとは「不潔である」とか「汚れている」というような何か否定的なものではなく、語源的には「気涸れ」で、生命力・霊力としての「ケ」が枯渇した状態を意味する語であるようです。
万葉集では、火の気=煙のこと(煙の語源は「ケ・振り」)、汐気=海面に立ち込める水蒸気のこと、日の気=陽が発散する日光のこと、など「ケ」は霊力を表す言葉として使われています。
その生命力・霊力である「ケ」が枯渇して、衰弱している状態が「気涸れ」。この意味ならば、出産や月経を『ケガレ』として女性を隔離するのは体力的に弱っている女を過酷な労働から守るため、ということと合致します。
また、『ケガレ』を「毛枯れ」とする解釈もあるようです。この場合の「毛」とは、毛髪のことではなく「二毛作」というときの「毛」の意味で、「稲の穂のみのり、またひろく畑作物の総称」のことです。「生産力が低下している」状態を指したもので、「毛枯れ」とは「畑に作物が実らない状態」を指しています。
「気涸れ」にしても「毛枯れ」にしても、これは「死と性」にかかわる事象ですので、『ケガレ』とはもともとは、「死と性」という自然現象に対する「恐れ」や「畏敬の念」を表したものだったのかも知れません。


では、それが、いつごろ、どのように「不浄」「汚れ」といった何か否定的なものとして使われるようになったのか?
一説によれば、死、出産、血液などが穢れているとする観念は元々ヒンズー教由来とされ、同じくインドで生まれた仏教にもこの思想が流入したようで、特に、平安時代に日本に多く伝わった平安仏教は、この思想を持つものが多かったため、「穢れ」観念は京都を中心に日本全国へと広がっていったと考えられているようです。詳しいことはよく解らないですが、母系共同体の解体や集団の共有→私権意識の発生なと関連している、とうことでしょうか?


語源をさかのぼってみると、女性の出産や月経についての『ケガレ』とは、自然現象としての「性、生=これから生まれてくるもの」に対する本源的な畏敬の念を映し出したものであり、その対になる「死」についても同じように畏敬の念がこめられていたことが見えてきます。
それに、「出産や月経で衰弱している女性をどうする?」「作物が実らないのをどうする?」といった現実課題を直視するところから作り出された観念であることもうかがえます。
こうしてみると、もともとの『ケガレ』には、自然や共同体の仲間に対する肯定視が根底にありそうです。(@さいこう)
参考:土橋寛「日本語に探る古代信仰」(中公新書)
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