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遊牧部族発の戦争の起源(今西説)

Posted By matuhide On 2008年2月9日 @ 10:04 PM In 未分類 | 5 Comments

日本の霊長類学の創始者であり、棲み分け理論で知られる故・今西錦司氏 [1]も、著書『世界の歴史1~人類の誕生~』(河出出版)の中で、遊牧民族による農耕民族への略奪が戦争の起源であると論じています。
今西氏は、西アジアの砂漠オアシス地帯において、灌漑農耕をしていた農耕民族の城壁遺跡に着目し、「農耕民族は誰から何を守るために城壁を作ったのか?」という視点から、考えられるのは牧部民族であると展開しています。
 遊牧民族は何のために農耕民族に攻め入ったのか 
いずれも狩猟採集から出発し、農耕と遊牧という生産様式に発展した当時の民族の状況を対比しながら、今西説を要約します。
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 ●農耕民族の状況************************
・西アジアの農耕の起源は、狩猟採集部族の一部が、野生種の大麦・小麦に原始的な灌漑を開始→農耕による大集団での定住が可能になったことから始まる。(※ティグリス川の支流付近で世界最古(BC7000年)の農耕村落の遺跡が発見されている。)
 
・血縁原理を超えた大集団の秩序化のため、従前にあった地母神信仰を下敷きに、全員が帰属する土地神信仰が出来上がる。そして、共通の神を象徴するものとして神殿が作られるようになる。
・神に奉げる穀物が集約されたことで、潜在的な食糧余剰が顕在化する。更に、神と人間を取り次ぐ者として神官が登場し、神官は同時に食糧余剰の管理者の役割を担う。
 ●遊牧民族の状況************************
・狩猟採取から発展した遊牧という生産様式は、野生の動物の餌付けから始まり、群れごとごっそり獲得して家畜化したことから始まる。家畜の搾乳ということ自体、家畜の生産した食糧余剰のピンハネという性質をもつ。
・農耕民族の神殿建設に必要な「石」を遊牧民族が運搬し、農耕民族の「穀物」と交換することで、相互に接点があったと考えられる。
・やがて、農耕民族に食糧余剰があることを知り、穀物欲しさから「余剰物のピンハネなら家畜の搾乳と同じである」という遊牧民族の(勝手な)論理から、食糧余剰の略奪が始まる。
 ●略奪闘争の玉突きから戦争へ******************
1.遊牧民族による略奪によって、農耕民族も自衛のための城壁を築くようになり、一気に同類闘争の緊張感が高まる。但し、生産様式の負担の違いから、相対的に自由度の高い遊牧民族は、戦闘集団として訓練を重ねることの出来る優位性を持つ
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2.その結果、遊牧民族が略奪闘争に勝利すると(野生動物の群れを丸ごと家畜化した論理を適用し)収穫物の継続的な搾取のため、農耕民族の居住地に移り住んで支配すると共に、他の遊牧民族から農耕民族を守るという相互適応を作り上げる。
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3.同類圧力の上昇から、農耕民族も自ら武装し始めるようになり、食糧余剰を利用して軍事専従者が生まれる。(軍人と軍隊の発生)
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4.略奪闘争の玉突きによって、西アジアの砂漠オアシス地帯全域に、遊牧民の論理が浸透し、軍隊はやがて「防衛」から「侵略」へと目的を転換する。(戦争の起源)
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以上、今西説を要約しました。
遊牧における家畜の搾乳は、食糧余剰のピンハネであるという視点は面白いと思います。但し、今西説の中で、
・穀物欲しさだけで、略奪行為に到るであろうか?
・他民族を支配するには、高度な組織論がないと成立しないのではないか?
という疑問が残ります。
次回、今西説において不十分な部分を追求してみたいと思います。
読んでくれてありがとう (マツヒデ)


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