- 共同体社会と人類婚姻史 - http://bbs.jinruisi.net/blog -

日本人形成のシナリオ~研究の進捗状況

Posted By nandeyanen On 2009年7月5日 @ 8:52 PM In F 日本人の起源 | 13 Comments

久しぶりに「更新世から縄文・弥生期にかけての日本人の変遷に関する総合的研究」 [1]のHPを覗いてみたら、研究の進捗状況がアップされていましたので紹介します。
↓沖縄、ハナンダー洞穴の入り口(写真も上記HPよりお借りしました)
%E3%83%8F%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E6%B4%9E%E7%A9%B4.jpg
続きはポチッとしてからどうぞ! [2]

2009年4月7日、国立科学博物館分館に研究代表者・研究分担者・連携研究者が集まり、研究の進捗状況を確認すると同時に、今後の研究方針、成果のまとめ方等について話し合った。以下に2008年度中に行なった研究の成果・進捗状況の概要を記す。
①旧石器時代人骨の形態と年代の再検討
・沖縄の港川人の下顎骨について詳しい検討を行った結果、縄文人とは形態的に異なる面があることが明らかになった(海部・藤田・河野・馬場)。
・沖縄のハナンダー洞穴と山下町から出土したシカ骨の齢査定を、セメント質を利用して行なえるかどうか、試してみている。しかし、沖縄の場合、セメント輪が果たして規則的にできるものかとの疑問もあり、実際には咬耗を中心とした研究になる可能性が高い(諏訪・藤田)。
・沖縄の武芸洞で2007年に発掘された炭化物とマイマイ化石の年代測定を行なったところ、12,000~15,000年前のものであることが明らかになった。洞穴の生活面はこの年代よりも新しい(松浦・近藤)。
②縄文時代人骨の形態学的調査とDNA分析
・DNA分析により、北海道・東北地方縄文時代人の一部はシベリア起源である可能性が示唆された(Adachi, Shinoda, et al., 2009)。
・与那国島潮原遺跡出土人骨のDNA分析を行い、先島地域のグスク 時代以降の集団の遺伝的な特徴を明らかにした(Shinoda and Doi, 2008)。
・2008年10月、富山市小竹貝塚から、縄文時代前期のものと思しき人骨(少なくとも2個体)が富山市教育委員会埋蔵文化財センターによって発見された。この人骨の調査・分析を依頼され、現在クリーニング中であるが、今後、形態のみならずDNA、食性分析なども行なっていく予定である(溝口)。
③北部九州の縄文~弥生移行期に関する人類学的再検討
弥生開始期の年代は500年程度遡らせるべきだとの見解に従って、改めてコンピューター・シミュレーションを行なった結果、渡来系の人々は、これまで以上に緩やかな増加率で土着縄文人を圧倒し、人口比の逆転現象を起こし得ることが示された。(中橋・飯塚、2008)。
④縄文・弥生時代人の食生態
人骨試料を使って、全国的に、縄文早期・中期・後期および弥生(および続縄文)時代での食生態を検討した。結果、植物と魚類の組みあわせという視点では、弥生時代においても、縄文時代から食生態に大きな変化は見られないことが明らかになった。(米田ほか、2008)。
⑤頭蓋・四肢骨計測値の地理的変異パターンにおける時代間差の分析
縄文・古墳時代の頭蓋・四肢骨計測値と気温などの環境変数との間の試行的な分析を行なったが、引き続きデータを増やし、再分析を行なう予定である(溝口)。

当ブログでの追求経過と対照してみると、
①の話は新聞でも取り上げられて、当ブログでも紹介したとおりです。
②は、当ブログで追求したとおり、シベリア起源の縄文人がいたことを裏付けるものになりそうです。
③は、民博の唱える較正年代に基づくシミュレーションで、弥生の大量渡来説が緩和されます。
④は、「縄文~弥生で食生態に変化がない」という結論だけでは、植生や水耕稲作との関連がよくわからないのでなんとも言えません。詳細を見てみたいです。
9ヵ月後に「新シナリオ」がアップされるのが待ち遠しいですね。


Article printed from 共同体社会と人類婚姻史: http://bbs.jinruisi.net/blog

URL to article: http://bbs.jinruisi.net/blog/2009/07/614.html

URLs in this post:

[1] 「更新世から縄文・弥生期にかけての日本人の変遷に関する総合的研究」: http://research.kahaku.go.jp/department/anth/s-hp/s27.html

[2] Image: http://bbs.jinruisi.net/blog" target=

Copyright © 2013 共同体社会と人類婚姻史. All rights reserved.