「うちはお金がないから子供はこれ以上産めない」という言葉をよく耳にします。
しかしよく考えると、近代化が進み豊かになっているにもかかわらず、少子化が進んでいます。
これはなぜでしょうか?
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(写真は<リンク [2]>よりお借りしました)
日本では戦前は「産めよ増やせよ」という言葉があったように、子供をたくさん生むのは集団期待でもあったわけです。
事実、私の祖父や祖母の時代は兄弟は5~10人くらいいるのが普通でしたし、両親の世代でも5~6人くらいが平均といっても過言ではないようです。
私の世代になるとせいぜい2~3人、今の20代、30代くらいになるとせいぜい1~2人くらいが普通ですね。子供なしも結構います。
で、上記の言葉通り、「経済的に楽ではないからこれ以上は子供は育てられない」となるわけですが、どう考えても祖父の時代の方が貧しい!
今回はその原因を考えて見ました。
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以下に、合計特殊出生率の推移(日本及び諸外国)(厚生労働省「平成13年度人口動態統計特殊報告」「人口動態統計」より)のデーターがあります。
(注;「合計特殊出生率」=人口統計上の指標で、一人の女性が一生に産む子供の数を示す。(Wikipedia [4])
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戦後のベビーブームは特殊な時期としても、以降豊かになるにつれ徐々に「合計特殊出生率」が下がっていきます。
グラフを見ながら当時から現代までの社会状況を整理してみると、
□戦後の復興時期から国を挙げて豊かさ追及が始まります。
□そんな中で日本人は世界でもまれにみる勤勉性で生産力を挙げ、市場を拡大してゆきます。
□また一方で、近代化≒工業化に伴って、都市化が進み、農村から都市部へ人口が集中します。
□この頃から「学歴」が出世の重要な要素となり、そのため教育にお金が掛かるようになり、日本は高学歴化してゆきます。
また、別の興味深いデーターがあります。
下記の「恋愛結婚・見合い結婚構成比」グラフですが、’65~’70頃を境に恋愛結婚の方が多くなっています。つまり結婚はそれまでの「家」としての課題から、「個人の自由選択課題」へと移行してゆきます。
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(「終戦直後~現在の日本:恋愛結婚と離婚率の増加の関係 [7]」より)
□’70といえば、日本が先進国の仲間入りを果たし、豊かさが実現されたとみなされる頃です。
□さらにその後のウーマンリブに代表されるように、女性の社会進出が進み、自己実現がまことしやかに叫ばれます。
このような流れを見てみると、
「豊かさ追求」「市場拡大」「都市化」「個人の自由」「豊かさ実現」「自己実現」というように、世の中のあらゆる課題が、集団課題から個人課題にいつの間にか変っています。
つまり、子育ても集団課題から個人の課題に変っているのでは?
このあたりに豊かになってゆくにもかかわらず少子化となる原因がありそうですね。
この続きは、次回でもう少しまとめてみたいと思います。
~saah