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日本語の成り立ち(文字編)8~ことばから文字へ~

Posted By matuhide On 2010年3月24日 @ 9:19 PM In F 日本人の起源 | 3 Comments

日本語の成り立ち(文字編)シリーズ。前回 [1]は、古代中国の歴史を俯瞰しましたが、改めて甲骨文字が生まれた背景(時代状況を整理すると、
紀元前2000年代、夏族(かぞく)・殷族周族などと、夷族(いぞく)・狄族(てきぞく)などが互い対立していき、紀元前2070年頃、中国初の王朝の「夏王朝」が建てられます。夏王朝は約400年あまり続いた後、紀元前1600年頃に「殷王朝」が始まります。殷王朝では、独自の神権政治と祭政一致の体制が敷かれます。鬼神を信仰し、軍事を強化し、青銅器を製作し、甲骨文字という文字体系が編み出されます。
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殷墟の鳥瞰写真(画像引用元:拈花一笑 [3]
★古代王朝が誕生すると、何故文字が発生するのか?
今回は、ことば(音声)から文字に転換する構造について扱ってみたいと思います。
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白川静 『漢字(生い立ちとその背景)』より

●神話の時代
「はじめにことばがあった。ことばは神とともにあり、ことばは神であった」と、ヨハネ福音書にはしるされている。たしかに、はじめにことばがあり、ことばは神であった。しかし、ことばが神であったのは、人がことばによって神を発見し、神を作り出したからである。
ことばがその数十万年に及ぶ生活を通じて生み出した最も大きな遺産は神話であった。神話の時代には、神話は現実の根拠であり、現実の秩序を支える原理であった。人々は、神話の中で語られている原理に従って生活をした。そこでは、すべての重要ないとなみは、神話的な事実を儀礼として繰りかえし、それを再現するという、実修の形式をもって行われた。
●古代王朝の成立
神話は、このようにしてつねに現実と重なり合うがゆえに、そこには時間がなかった。しかし古代王朝が成立して、王の権威が現実の秩序になると、事情は異なってくる。王の権威は、もとより神の媒介者としてのそれであったとしても、権威を築きあげるには、その根拠となるべき事実の証明が必要であった。神意を、あるいは神意にもとづく王の行為を、ことばとして伝承するだけでなく、何らかの形で時間に定着し、また事物に定着して、事実化して示すことが要求された。それによって、王が現実の秩序者であるとことの根拠が成就されるのである。
●文字の発生
この要求にこたえるものとして、文字が生まれた。そしてまたそこから、歴史がはじまるのである。文字は、神話と歴史との接点に立つ。文字は神話を背景とし、神話を承けついで、これを歴史の世界に定着させてゆくという役割をになうものであった。したがって、原始の文字は神のことばであり、神とともにあることばを、形態化し、現在化するためにうまれたのである。もし聖書の文をさらに続けるとすれば、「次に文字があった。文字は神とともにあり、文字は神であった。」ということができよう。文字は神と交渉し、神をあらわすものであった。そしてそれは同時に、神の代位者である王の権威の確立を、助けるものであった。

白川静氏によれば、古代王朝が誕生し、王の権威の根拠となる事実の証明として、文字(甲骨文字)が生まれたと説いています。ここで、古代王朝(殷)はどのようにして、それ以前の周辺氏族集団を統合したのでしょか?再び、同著作から紐解いてみます。

●神霊の従属
古代にあっては、国を滅ばすことは、その民人を滅ぼすことではなかった。その奉ずる神を支配し、その祖霊を支配することであった。神霊は滅ぼしうるものではない。それで滅亡した国の子孫を残し、その聖処の社には光をおおい、先祖の祭祀は続けさせた。王朝のまつりのときは、その神霊にもまつりに参加させて、その威霊を新しい王朝のためにささげさせるのである。それで異族神は、王朝の祭祀に招かれ、舞楽などを献ずるのであった。
王朝は、まつりの使者を各地に派遣して、その祭祀を行わせることによって、いわば空間的な支配を成就した。それは祭政一致の体系の一貫をなしている。また客神をそのまつりに参加させることによって、その支配を時間的にも遠くさかのぼらせ、すべての伝承の権威を、この祭儀に集約させる。いわば歴史的に、その支配を完成させるのである。それはト辞がその本質において、王がその支配する空間と時間のすべてを清め祓い、支配するのと、同じ原理に基づいている。

殷王朝など(古国の時代)は、それ以前の単一氏族集団から、氏族連合のような形態をとっています。従って歴史的に見ると、従前と比べて一段階高い統合が必要とされ、その普遍性に応えるものとして、文字が生まれたということが出来るのではないでしょうか!?


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