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若い妻たちに「専業主婦志向」が増加している!? ~「全国家庭動向調査」より~

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     (画像はコチラ [1]よりお借りしました)
国立社会保障・人口問題研究所「第4回全国家庭動向調査(2008年7月調査)」 [2](1993年から5年毎に実施され今回が4回目)によると、「夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべきだ」「母親は育児に専念した方がよい」に賛成する既婚女性の割合が増えてきているようです。年齢別では29歳以下の既婚女性における賛成が大きく増えているようです。
これはどういうことなのか?若い既婚女性の意識潮流について考察していきたいと思います。
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 「夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべきだ」「母親は育児に専念した方がよい」といった伝統的価値観に賛成する既婚女性の割合が、これまでの低下傾向から一転し、20代を中心に増加していることが31日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の「第4回全国家庭動向調査」で分かった。
 調査は5年ごとで、今回は2008年7月に全国の約1万3000世帯を対象に実施。回答が得られた69歳までの結婚している女性6870人を分析した。
 調査結果によると、「夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべきだ」に賛成は全体で45%で、1993年の第1回調査時(53.6%)から前回の03年調査(41.1%)まで続いていた減少が初めて増加に転じた。
 年齢別では、29歳以下が47.9%で前回調査より12.2ポイントの大幅上昇。30代が7.6ポイント上昇の41.7%、40代も6.6ポイント上昇の39.8%。一方、50代は2.5ポイント低下の42.3%、60代は4ポイント低下の57.2%と低下傾向が続いた。

「妻は主婦業専念、20代中心に急増 家庭動向調査」:イザ!2010/06/01記事 [3]より)
●このデータをどう読むか?
調査結果より、「29歳以下の既婚女性に専業主婦志向が増加傾向にある」ことが伺えます。これは何を意味するのでしょうか?
同調査報告書 [2]では、「伝統的価値観への回帰」と分析されていますが、果たしてそうなのでしょうか?
専業主婦」とは、戦後の高度経済成長期に核家族化の進行ともに登場した「家事(炊事、洗濯、掃除、買物、家計管理)や育児に専業する女性のライフコースの一名称」のようです。(Wikipedia [4]
>●高度成長期を経てサラリーマン家庭の増加とともに専業主婦が増加し始め、そのピークが70年代だったとみなせます。<(参考:「専業主婦が主流だった世代」 [5]
ちなみに「主婦」とは大正時代に登場した「家事・育児を主にする既婚女性」を表す言葉のようです。(Wikipedia [6]
>●「主婦之友」の創始者は「主婦は一家を支える二つの柱、主人に対しての主婦」と宣言し、「主婦」は造語でした。<(参考:「「主婦」の登場…大正時代は女権の拡張期」 [7]
つまり、日本における「主婦」(1910年代~)、「専業主婦」(1950年代~)の歴史(伝統?)とは、高々60~100年程に過ぎないことが分かります。
それでは、今回の調査結果データ(専業主婦志向の増加)をどう読めばいいのでしょうか?
●経済破局→男女同権・キャリア志向という幻想が崩壊
  ⇒現実に目を向けた若い女性層は「女の役割」に可能性収束
専業主婦志向=「子育て」への収束と見るならば、女性本来の役割(出産・子育て)に収束していると捉えられます。
この間の経済破局→職場の厳しさ増加により、今までの男女同権やキャリア指向という近代観念の幻想(メッキ)が崩壊し、現実に対してどうする?と本来の女性の役割を探索し始めている状況ではないでしょうか?そして、たどり着いた一つの答えが「専業主婦(子育て=女の役割)」なのではないでしょうか?
●女の充足役割としての「子育て(≒専業主婦)」
「専業主婦」という言葉には、私権時代の「専業主婦=消費特権階級」というイメージがあります。(参考:「「専業主婦」という身分からの解放」 [8]
しかし、この経済破局→秩序崩壊の外圧が高まる現在、彼女らは本当に「かつての専業主婦」に戻ろうとしているのでしょうか?
そうではなく、むしろ、現在彼女らが志向する「専業主婦」とは、「女性本来の役割そのもの(その一つとしての子育て)」だと考えるとスッキリします。
「旧いパラダイム」(不全発)で捉えると
  経済破局→「職場」の厳しさ増→就業意欲の低下→逃げ場としての「家庭(専業主婦)」(楽チン志向?)
となりますが、
「新しいパラダイム」(充足発)で捉えるならば
  経済破局→キャリア幻想崩壊⇒本源潮流(充足・安定・保守)⇒「女の役割(子育て)」
となります。
●私権企業では女の充足役割が見出せない⇒「子育て(≒専業主婦)」
現在、「女性の役割」を取り入れた企業の成功事例(参考:「リクルートの女性力 会社の「空気」は女で決まる!~みんながここで働きたいと願い、みんなが成果を出せる「会社の空気」をつくること~」 [9]など)も見られるようになってきました。
しかし、現状はまだまだ私権企業の職場では女性本来の充足役割を発揮できる場は少ないようです。そんな中で、女性の役割として、企業の中ではなく、「子育て」(家庭)に収束しているのではないでしょうか?
●「自分の子供」から「みんなの子供」へ (「子育て」は「開かれた充足課題」へ
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ネットが普及した現在、主婦にとって「家庭」はもはや「社会と分断された密室空間」ではなくなってきているようです。子育てブログなどで仲間と課題を共有しながら充足課題として取り組んでいる事例もたくさん見られるようになってきました。
(参考:「子育てブログランキング – 子育て・育児ブログ村」 [10]
また、子供の預かりっこをするなど、「自分の子供」から「みんなの子供」へと子育てをみんなの充足課題として共有している事例もあります。
(参考:「共同体の子育て実現イメージ♪ – 家庭を聖域にしてはいけない」 [11]
このように、今や「子育て」は、みんなで元気に取り組む「開かれた充足課題」になってきているようです。
●まとめ
以上のように見てくると、
今回の調査結果「29歳以下の既婚女性の専業主婦志向」とは、伝統的価値観や家庭(社会と分断された密室空間)への回帰ではなく、本源収束=充足・安定志向の潮流上にある「女の充足役割(まずは子育て)への可能性収束」
と捉えることができそうです。
☆秩序崩壊の危機⇒男女役割の肯定視・男女役割共認の形成⇒新しい秩序構築へ
秩序崩壊の危機外圧が高まる現在、若い既婚女性層の意識は、本来の男女役割に可能性収束し始めているようです。
「子育て」という充足役割を土台として、企業・社会での「女の充足役割」の構築へ。男女役割共認の形成が新しい秩序構築の鍵を握っています。
(参考:「なんでや劇場レポート(3) 私権追求に代わる集団の目標は周りの充足、そして男女の共認の輪が認識収束の母胎」 [12]
読んでくれてありがとう。 🙂

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