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明代から清代にかけて生まれた「色情小説」:『金瓶梅』『肉蒲団』

『中国人は性をどのようにとらえたのか』 [1]?。
中国の性に対する考え方について、シリーズでお届けしています。
前回は『纏足』 [2]を見てきました。
今回は4大奇書 [3]の一つ 『金瓶梅』(きんぺいばい)と、同時代の色情小説である 『肉布団』(にくぶとん)を見ていこうと思います。
中国文学から「性」に対する意識はどう読みとれるか?
明代は儒学が発展し、風紀の締め付けも強くなった様です。また、出版物に対する監視圧力も厳しかったと思われますが、明代半ばから清初にかけて多数の「色情小説」が生まれているのは何故でしょうか?
書物の概要はこちらでどうぞ
『金瓶梅』(きんぺいばい)とは?明代の長編小説で、4大奇書 [3]の一つで、著者は笑笑生(生没年など不詳)。研究によると、万暦年間(1573年~1620年)清代に成立したといわれている。(ウィキペディアより [4]
『肉布団』(にくぶとん)とは?中国、清代の小説。好色文学のひとつ。別名、覚後禅。李漁の作であろうとされる。(ウィキペディアより [5]
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明朝時代に於ける中国家庭の妻と妾の関係 [11]」  中国社会史
からの引用です。

(省略)
これによって商人達は江戸時代の経済的実権を握ったのです。
これと同じ様な状況は中国の明朝時代にも起こり、商人達が急激に台頭したので有る。但し、彼の国の役人達は科挙に合格した者が実権を握っていたから、日本の官吏(武士層)達とは多少趣が相違する事が有るかも知れない。
さて金瓶梅の登場する主人公は「生薬商」を営んでいて、成功者では有ったのですが正妻以外にも妾が4~5人は居た様なのです。さて世の女性群を貶める為に言うのでは無いが、正妻と妾達とは屋敷内に同居はしているが、正妻が絶対的な権力を持っていて、妾達は正妻の奴隷同然では有ったのです。夫に承諾を得なけばならないが、正妻は気に入らない妾がいれば「金銭」で売り飛ばす事も可能で有ったのです。勿論正妻とて安泰な身分では無く、何かの落ち度(例えば浮気等)が有れば、夫からの離縁等は自由では有ったのです。

日本で言えば江戸時代がまさにこれに近い状況である様です。元禄文化で頂点に達し、あとは文化も武士道も緩やかに退廃していく、その過程で多くの色情小説が生まれていく様に・・・。

この様な例は何も中国とは限らず我国にも有って、商人の妾奉公を望む者が「お目見えに臨む時」は、貸衣裳を借りたり供廻りの為に使用する費用は、ほぼ年収に相当する金額を要したと言われる。これは「西鶴一代女」を読めばわかるのだが、当時の女性の有力就職先は商人達の妾奉公だったのです。中国の妾奉公で最高位のものは「皇帝に見染められる事で、唐朝時代「則天武后」や清朝時代「西太后」等は例外中の例外で有ろう。但し、これも正室では有りませんが、自力によって運命を切り拓き最高位になったのです。
中国に有っても妾奉公は有力な就職先で、もしも正妻に子供が生まれず、妾の方に世継ぎが生まれた時は、普通は家庭内騒動が起きるのは当然です。わが子を殺し国政を壟断し、周王朝を立てた、則天武后等は稀有の女性で有ったのです。

中国二十五史の中には「伝」として列女伝が有って、これを拾い読みして見れば、実に様々の女性達が居た様でございます。孝女もいれば悪女もいるのです。ただ基本的には女性の地位は低かったと言うのが実感で有る。、現在の中国女性は男女同権で有るし、社会的な進出も目覚ましく、日本企業の労働集約企業等は、中国の若い女性がいなけば成立しない事は事実として有るだろう。

庶民にとって妾奉公が有力な就職先とは思いもよりません。しかも貧困層にとって娘が妾奉公に決まればとてもありがたい事だったと言います・・・。
上記の様に、唐宋で一気に花開いた文化・文明が100年足らずの元代を経て明代に再び隆盛を見る事ができますが、ここで頂点を迎えて緩やかに転がり落ちる。その過程で醸成されたのが「色情小説」ではないかと思われます。
まさしく、文学を通じて生々しく描かれる描写は、「私権の性」が開かれた時代だと捉えられます。そしてそれは、一般女性の「あこがれ」となる一方で、転がり落ちる特権階級に対する社会的な批判とも捉える事が出来ます。
これらの背景を生々しく描いたのが、
『金瓶梅』(きんぺいばい)(ウィキペディアより [4]
『肉布団』(にくぶとん)(ウィキペディアより [5]
と言えるのではないでしょうか?

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