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【世界の各部族の婚姻形態】世界の婚姻の印

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画像はコチラ [2]からお借りしました
いよいよ新シリーズ【世界の各部族の婚姻形態】がスタートしました
シリーズを始めるにあたり、まずは世界の婚姻形態にはどのようなものがあるのか調べてみました
現在の日本では、婚姻の証として結婚指輪を互いに送りますがそれってごく最近のことで、しかも!結婚指輪を互いに送り合うというのは世界的に見ても極めて特殊なことなんです
では一体、世界にはどんな婚姻の証を示すものがあるのでしょうか?
そしてそのようになった意味とは?
等々今回は追求していきたいと想います
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世界に見られる婚姻の印としては、大きく以下の3パターン程度があると考えられます 😀
1.相手に対する所有権を示す印
2.結婚儀式としての印
3.成人の印が既婚者の印に転換したと考えられるもの

 
■1.相手に対する所有権を示す印(男から女に結婚の印を贈るのが基本)
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①ミクロネシア ヤップ島
 結婚の証として新郎が新婦の内股に自分の名前の刺青を行っていたと言われる。
 (出典:A 1920年頃の記録か?現在も行われているかは不明)
②中央アフリカ コンゴ(旧ザイール) バクツ族
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 結婚すると、夫になった男が妻を鍛冶屋に連れて行き、踵から膝までを覆う真鍮の足輪をつける。この足輪は豊かさのシンボルでもある。また、足輪は両足で20kgの重さがあり、女性の腰や太物の筋肉の発達を促す目的もあると考えられる。
 (出典:A 1950年頃の記録か?当時の時点で急速な人口減少状態にあると記録あり)
③インド ヒンドゥー教 各部族
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画像はコチラ [9]からお借りしました
 インドのヒンドゥー教社会では、現在でも各地方で様々な婚姻の印が見られる。
  インド南部~中央インド:マンガラ・ストラー(ネックレス)
  ベンガル地方     :バングル(ブレスレット)
  グジャラート州    :鼻ビンディー(ピアスのような飾り)
  その他 トゥリング(足の指輪)などもある。
 (出典:国士舘大学 アジア・日本研究センターHPなど)
その他、アフリカ エチオピア カロ族の首輪も、所有権を示した印の一つと言えます。
これら、所有権を示す婚姻の印を有する部族は、過去に何からの侵略や略奪過程を経験したことがあると考えられ、その結果として女性に対する所有権の明確化が必要となったものと考えられます。
なお、結婚=妻の所有と捉える社会においては、妻を迎えるに当たり、妻方の家に婚資を送ることが一般的である(日本の結納も同様)。バクツ族の足輪等は、そこに豊かさの基準を持ち込んでいることから、婚資が婚姻の印に変化したものと思われます。
現在の西欧~日本社会に見られる婚約・結婚指輪も婚資が婚姻の印に変化したものなんです。古代ローマにおいて、婚約指輪は相手の父方に送る婚資の意味合いだったと言われており、それが中世ヨーロッパにおいて、お互いに指輪を贈り合う形の結婚指輪に発展したと考えられています。なお、男から女(又は女方の家)に結婚の印や婚資を贈る事例は多数ありますが、結婚指輪のように男女で交換する事例は非常に特殊なのです。
 
 
2.結婚儀式としての印
①東アフリカ ケニヤ ナンディー族
結婚に際して、新郎・新婦が互いの相手の腕に若枝を結びつける。
(出典:B 1900年代初頭)
②ベチュアナ(現ボツワナ) バスト族
結婚儀式の生け贄に使われた牛の喉袋をお互いの腕に結びつける。
(出典:B 1900年代初頭)
③ラオス
結婚儀式の最後に、捧げ物とトレイに取り付けられた、清められた白い糸を切り、長老によって新郎新婦の手首に結び付けられる。
(出典:Lao Textiles and Traditions Mary F. Connors著 1996年)
④東アフリカ ケニヤ バンツゥー族、
集落の人々が見守る前で、結合を行う。
(出典:B 1900年代初頭)
ウェスタ-マークによれば、ケニヤのバンツゥー族以外にも、結合を社会的に公表することが結婚儀式、婚姻の印となる部族は多いとのことで、①~③のように糸状のもので二人を結ぶ儀式は、直接的な結合儀式から、暗喩的な儀式へと変化したものと考えられます。
  
3.成人の印が既婚者の印に転換したと考えられるもの
①抜歯(文字通り歯を抜く)
 アフリカ、東南アジア、オーストラリアアボリジニー、アメリカインディアンなど各地域に抜歯の儀式が見られる。日本でも縄文時代の骨に抜歯の跡が見られる。
②お歯黒
 日本が有名だが、中国南東部・東南アジアに見られる既婚女性の風習。
 現在でも中国雲南省、ベトナム、ラオス、タイなどの少数部族にお歯黒の風習が残っている。
③割礼
 性器に傷を付ける又は性器の一部を傷付ける儀式で、アフリカ地域に多く見られ、女性だけでなく男性にも多く見られる。(現在でも多数の地域で残っている)
 成人通過儀礼としての位置付けの方が多いが、結婚の印として割礼を行う地域もある。
いずれも成人の通過儀礼が、既婚の印となったものと考えられ、南米ヤノマミ族の顔に指した竹や、ベトナム ザオ族の髪を抜く行為等もこれらに属すると考えられる。
※出典書籍
A:「未開人のエロス」 白川竜彦著 大陸書房 1968年
  欧米人の探検隊や調査隊の手記をもとに、世界各地の未開部族の主に性にまつわる奇習やタブーを紹介したもの。非常に細かく世界中の部族が紹介されているが、白川竜彦氏がどのような人物かの記録がなく、また元々の調査隊の手記(原典)が何で、   いつ頃の調査なのかについての記載がない。
B:「人類婚姻史」 E・A・ウェスタ-マーク著 1926年
  フィンランドの哲学者・社会学者による、世界中の部族の婚姻について分析した著書。
いかがでしたか?
世界的にみると結婚指輪のように、互いに送りあって所有を証明とするような結婚の証は特殊なようです。
どうやら共同体的部族において、結婚とは所有の証という意味合いよりも「狩ができる」「子供が産める」といった集団として生産生殖を担う一員になるという意味合いの方が大きいということが見えてきました 😀
そこで次回は、世界の成人の証について追求、分析していきたいと想います

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