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【世界の各部族の婚姻形態】世界の成人儀式

 新シリーズ【世界の各部族の婚姻形態】がスタートしました。今回はその第2段です。今回はチョット横道に入って、世界の成人儀式について調べてみました。
 日本で成人式といえば、一時期マスコミが「荒れる成人式」を煽っていましたが最近はどうなんでしょう。
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画像はリンク [2]よりお借りしました。
 成人になるということはどういうことなのか、そんなことも考えさせられます。
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 世界の成人式について調べてみると、成人の儀式には大きく3つのパターンがあるようです。
1.技術又は、度胸を試されるもの。
◎エチオピア:数頭の牛の上を歩く成人の儀式「牛飛びの儀式」。
◎ブラジル:長さ3cmの虫を手袋に縫いこんでそれを手にハメ、踊り明かす。
      (虫が手をチクチクと刺し、その激痛に耐えてこそ成人の証)
◎スマトラ島:2mもある石の跳び箱を激走して飛び越える。
◎マサイ族:1人でサバンナに出かけ、ライオンを仕留める。(14~15歳)
◎バヌアツ:高さ30メートルの塔から足首につるを巻きつけ、地面ギリギリに落下する。←バンジージャンプですね。
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これは「牛飛びの儀式」画像はリンク [6]よりお借りしました。
2.生まれ変わりをイメージさせるもの
◎西アフリカ ズル族:少年は“新生”するものとして祝福され,いったん別の小屋へ隔離されたのち名前を改めて現れる。
◎リベリア クベル族:ワニの霊によって飲み込まれ,一度は死んで霊界に入ったものとされ“吐き戻しての儀礼”によってこの世に戻ってくる。
◎京都、山口:ナガエ(名替え)成年式で幼名を改める。
◎長崎:首を絞めて一時気絶させる。
3.身体に形態的改造を施すもの
◎アメリカインディアン:斧で自分の小指を詰める。
◎バリ島:歯を削る。
◎ユダヤ、イスラム、コンゴ、サモア:「割礼」
◎アボリジニ:尿道の下部を切開する「尿道割礼」
◎ポンペイ島、南アフリカ、ナミビア:片方の睾丸を摘出する「半去勢」
◎パプアニューギニア ヤモク村:皮膚切りの儀式。(カミソリの刃で傷をつけ、ワニの皮膚のようにする)
尿道割礼の説明サイト(リンク [7])画像があるのでクリックには注意しましょう。
 割礼は古くから熱帯地方で広く行われていた習慣で、元々は衛生的な目的でした。それが、その後に発生した宗教(ユダヤ教、イスラム教)と結びつき、儀式化していったようです。そのため、今では病院の近代的な設備での施術も可能なのですが、伝統的な手法で行うことが尊ばれるとのこと。麻酔を使って行うやり方は「臆病者」として後々まで馬鹿にされるそうです。
 どれも正直「ちょっと遠慮したい」ものばかりなのですが、成人としての役割期待が大きいほど、イニシエーション(通過儀礼)としてのハードルも高くなる傾向にあるように思います。(マサイ族などはその極限ではないでしょうか。)
 通過儀礼とは、フランスの文化人類学者アルノルト・ファン・ヘネップ(1873~1957)によれば以下の3つの段階に分けられるといいます。

 通過儀礼とは3つの部分に分られる、すなわち、分離、移行、合体である。「分離」とはこれまで属していた身分や状態から離れることを意味し、「移行」はこれまでの身分から離れ、自分の能力や待ち受けている状況にしたがって到着場所を探すまでの期間である。最後の「合体」は新しい身分や組織に入るための時期である。

 
 調べみた「成人の儀式」はどれも、これまで集団の中で保護される対象であった子供から離れ、明確に「役割期待(闘争、生産)」を行う集団の構成員となることを自覚させる意味があると言えます。
 そのために、1.能力を皆に示す。2.生まれ変わる。3.痛みに耐えて見た目を変身させる。という必要があったのでしょう。

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