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【人類婚姻史を構造化する】9~ルネッサンスから近代の婚姻様式:私権闘争以降、略奪婚⇒固定一対婚から、自由恋愛へ

Posted By saah On 2012年2月18日 @ 9:00 AM In E 人類婚姻史 | 396 Comments

前回までのおさらい:
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(画像はこちら [2]よりお借りしました)
これまでの人類は、狩猟系部族を中心に見てゆくと、勇士婚→勇士婿入り婚→兵士婚と移ってゆき、その後それまでの流れから一気に略奪婚へと大変換します。
つまり、兵士婚までは集団が婚姻の差配をする集団婚であったのに対し、当事者が自由に婚姻相手を決める自由婚(個人婚)へ、あるいは集団の共認のもとに婚姻を決めていた共認婚だったのが無理やり相手を奪う略奪婚へと、180°うって変わります。
■このとき人類に何が起こったのか!
それまで人類が受けていた最大外圧は、自然外圧⇒同類外圧ではあったが、その為に同じ人類同士が殺しあうことなどありませんでした。しかし、同類圧力が高まっている中で再び上昇した極限的な食糧危機のなかで、局地的に略奪闘争が勃発するや否や、共同体の破壊と共にいっきに略奪闘争の外圧が周辺に広がります。
つまり、それまでの人類の共認母体であった氏族集団が解体され、人類は一気に共認不全の圧力に晒されることになります。
これまで一貫して共認を命綱として進化してきた人類にとって、それまでの外圧を覆すような新たな最大外圧に直面することになります。
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(「イスラム教徒を虐殺するエイリアンたち [4]」)
■新たな外圧
しかしもともと人類にとって共認は統合の為の唯一の武器である為、なんとか新たな共認を作るしかありません。したがって全面的な略奪闘争のなかではみずからも略奪集団と化するしか生きる道はなく、略奪闘争集団としての共認を形成してゆきます。
こうして人類の最大外圧は、直前までの同類圧力(=集団充足の為の共認圧力)から、略奪共認の圧力(=略奪を共認し、自らも略奪に参加するしかない)に変わって行きます。
そしてそれまでの集団婚は、略奪婚へと移り変わることになりました。
では今回はその後の人類がどの様な外圧に直面し、略奪婚がどのように変化してゆくのかを見ていきたいと思います。
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■略奪婚=私有婚⇒固定一対婚以降
略奪闘争が広がって以降、社会は略奪婚から固定一対婚となることで、国家としての秩序を確立してゆきます。すなわち無秩序な私権闘争の歯止めとして、いったん決めた婚姻相手はかえない、=他人からは奪えない固定一対婚とすることで、秩序維持を計りました。
その後この固定一対婚を観念的に正当化していったのがキリスト教であり、その為キリスト教による観念支配はその後約1000年続くことになります。
(注;キリスト教は元々は民衆発の現実の強制圧力に対する観念上での脱却を目指したものであったが、人間同士は自由平等で、神に許された者だけが許された行為をすることが出来るとの考えから、婚姻も神の許しが必要で、むやみやたらと相手を代えることは出来ない。
したがって固定一対婚と貞操が求められるが、これが支配者にとっては民衆からの無秩序な反乱(略奪闘争)を防ぐことに都合がよく、キリスト教が国教化されていった理由でもあり、後には支配層にとって最も効率のよい観念支配の道具となった
■新たな市場拡大の外圧
略奪闘争は否応無しに人々からあらゆるものを奪い取る為、世の中全てが私権確保が最大の命題となり、万人が私権なしでは生きてゆけなくなる。結果、人々はあくなき私権追及に向かうこととなります。
こうなるといったんキリスト教による貞操観念や固定化された一対婚も、新たな私権獲得の為には邪魔なものでしかなく、個人の自我=自由な私権獲得の正当化のための新たな観念が必要になります。
その為それまでの約1000年に及ぶキリスト教の(固定一対婚と貞操観念に代表される)観念支配の時代を暗黒時代と呼び、その観念に対する反逆として起こった運動がルネッサンスです。
したがってルネッサンスとは、恋愛感情の誕生と広がり⇒固定化された制度への反乱⇒自由な市場拡大へと繋がる一大転換期だったと見ることが出来るでしょう。
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(左:「サビニの女達の略奪 [7]」、右:「聖処女たちに囲まれた聖母子 [8]」)
以下、世界史講義録「第57回ルネッサンス1」(リンク) からの抜粋引用です。

ルネサンスの背景 ルネサンスの文化が生まれ発展した背景を見ておきます。
 1,十字軍によるイスラム・ビザンツ文化との接触。 これが、ヨーロッパ人を大いに刺激した。イスラムやビザンツの文化に対する憧れが生まれます。
 2,ビザンツ帝国の滅亡による学者のイタリアへの亡命。  イスラム教のオスマン帝国によって1453年にコンスタンティノープルが陥落しビザンツ帝国は滅亡しました。イスラムの支配を恐れたビザンツ帝国の学者た ちがイタリアに亡命してきます。かれらはギリシア・ローマ文化を受け継いでいたのです。そこで、イタリアでギリシア・ローマの古典の勉強がブームになりま した。
 多くのイタリア人がギリシア語の講義とかを聞きにいくようになる。
 3,イタリアの都市国家の成長。諸都市の有力者による学問・芸術の保護  誰が、ビザンツの学者のパトロンになったかというと、商人たちです。イタリアでは統一国家が生まれずに都市国家どうしが戦国状態です。ヴェネツィア、ピ サ、ジェノバなどの海上貿易でさかえる都市のほかに、ミラノ、フィレンツェという毛織物工業で発展していた都市もあって、おおむねイタリア北部の諸都市は 裕福で、商人階級は経済的にゆとりがあった。学問文芸を保護することが、一流の商人のステイタスのようになっていきます。そこで、豪商や諸都市が争って才 能ある学者を招いたり、一流の芸術家に教会を作らせたり肖像を作らせたりするようになる。
 たとえば、先ほど紹介したロレンツォ=デ=メディチはフィレンツェを支配した豪商です。ルネサンス芸術のパトロンとして、フィレンツェのメディチ家は覚えておいてください。
(中略)
ボッティチェリ(1444頃~1510)。
 代表作が『春』、『ヴィーナスの誕生』。世界的な名画だから見たことはあると思います。
これが『春』。ルネサンスの象徴のような絵です。どこがルネサンス的か。
 まずは題材。ここに描かれているのはすべて神様です。キリスト教の神で はなくて、古代ギリシア・ローマの神々です。たくさんの女神が描かれていますが、みんな薄衣をまとっているだけでほとんどヌードでしょ。今では、別に何と いうこともありませんが、当時ではけっこう刺激的、スキャンダラスだったんではないでしょうか。
 さて、この絵にはいろいろな意味が隠されている。神々に皆意味があるのです。
(中略)
三人の中で一番右にいるのが「美」の女神。左端が「愛」の女神。「愛」というと抽象的で分りにくいので思い切って「愛欲」、もうちょっとがんばって「肉欲」の女神と言ってしまいましょう。結った髪が乱れているでしょ。そういうことです。
 そして、真中が「貞節」の女神。これも意訳すれば「禁欲」の女神。この人はきっちりと髪を結って乱れがない。
  「愛欲」も「禁欲」も「美」と手をつないでいます。そして、「愛欲」「禁欲」もお互いに手をつないでいるのですが、このつなぎ方は押し合っているようにも 見える。そうなんです、この二人の女神は相容れないですから、お互いに押し合って勝負をつけようとしているのです。作者ボッティチェリはどちらの応援をし ているか。当然「愛欲」にエールを送っていると考えられるのです。根拠は二つ。ひとつは「禁欲」は絵を見るわれわれに背中を見せているのね。堂々とこちら を見ていない。
 もうひとつは、画面中央のヴィーナスの上。ここに天使が浮かんでいる。これは恋のキューピット。キューピットは目隠しをして適当 に矢を放つ。その矢にあたった人は恋に落ちるというんですね。ここに描かれているキューピットもお約束どおりに目隠しをして矢をつがえています。この矢の 方向をテン、テン、テン、と追っていくと、ね、ちゃんと「禁欲」さんにあたる事になっている。「あんた、固いことを言わないで、もっと自由に生きなさい よ。」と「愛欲」さんに言われて「だめよ、だめよ。」と抵抗する「禁欲」さんですが、次の瞬間にはキューピットの矢があたって恋する女神に変貌することを 暗示しています。ニンフがフローラに変身するのと同じテーマを描いているわけです。そして、中央のヴィーナスがすべてをつかさどっている。彼女は「愛と 美」の女神の真打ですからね。
(中略)
ルネサンスは「Renaissance」とつづるのですが、ローマ字式に無理やり読むと「レンアイサンセイ」。ルネサンスは「恋愛賛成」の時代を切りひらいたのです。(引用終わり)

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(上段左:「ヴィーナスの誕生 [13]」、同右:「 [14]」)
(下段左:「ロミオとジュリエット [15]」、同右「ロミオとジュリエット [16]」)
こうして人類は略奪に端を発した私有関係に基づく固定一対婚から、自由恋愛の婚姻関係へと移り変わってゆきます。
次回は舞台を日本に移し、日本における恋愛観念、一対婚の広がりについて見ていきたいと思います。


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[2] こちら: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Cortona_Rape_of_the_Sabine_Women_01.jpg

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[4] イスラム教徒を虐殺するエイリアンたち: http://ansaikuropedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Harold.jpg

[5] Image: http://bbs.jinruisi.net/blog/img2011/%E3%82%B5%E3%83%93%E3%83%8B%E3%81%AE%E5%A5%B3%E9%81%94%E3%81%AE%E7%95%A5%E5%A5%AA.jpg

[6] Image: http://bbs.jinruisi.net/blog/img2011/%E8%81%96%E5%87%A6%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AB%E5%9B%B2%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%9F%E8%81%96%E6%AF%8D%E5%AD%90.jpg

[7] サビニの女達の略奪: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%93%E3%83%8B%E3%81%AE%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E7%95%A5%E5%A5%AA

[8] 聖処女たちに囲まれた聖母子: http://didoregina.exblog.jp/tags/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88/

[9] Image: http://bbs.jinruisi.net/blog/img2011/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%AA%95%E7%94%9F.jpg

[10] Image: http://bbs.jinruisi.net/blog/img2011/%E6%98%A5-2.jpg

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[12] Image: http://bbs.jinruisi.net/blog/img2011/%E3%83%AD%E3%83%9F%E3%82%AA%E3%81%A8%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88-2.jpg

[13] ヴィーナスの誕生: http://rirari-exhibition.at.webry.info/200709/article_7.html

[14] 春: http://cart.help919.com/art/e-shop/shop3.cgi?action=howmany&gcode=003&code=bott101#image

[15] ロミオとジュリエット: http://asa10.eiga.com/2011/series1/cinema/149.html

[16] ロミオとジュリエット: http://www.geocities.jp/ranmaurusei82/ranma/ranma0806.html

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