前回、集団を形成する本能の構造を扱いましたが、今回からは具体的に陸上の動物を扱います。
まずは両生類から見ていきます。
現在の最大の両性類「オオサンショウオ」
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●両生類の生態は?
最初の陸上動物は魚類から進化した両生類です。3億年前から2億年前まで大繁殖しました。
両生類の卵と幼生は水中で、幼生はエラ呼吸を行います。
成体は肺呼吸ですが皮膚は乾燥に弱く、完全に陸上で暮らす事はできません。
◆オオサンショウウオ
現存する世界最大の両生類で、河川に住み、普段はバラバラで縄張りがあると思われます。
生殖期には川の上流の産卵用巣穴に複数のオスメスが集まりますが、産卵に適した巣穴は一つで、ここを1匹の大オス(ヌシ)が確保し、他のオスを激しく蹴散らしてメスを入れて産卵、放精します。
若オスも紛れて入って若オスの方が放精する事もありますが、いずれの場合でも卵が孵化するまでヌシが巣穴を守ります。
◆トウキョウサンショウウオ
小型のサンショウウオで河川に住み、普段はバラバラで縄張りがあると思われます。
生殖期に川の最上流の産卵用の池に集まり、メスが産卵しオスが放精します。卵は生み捨てです。
◆エゾサンショウウオ
小型のサンショウウオで湿原の河川に住み、普段も群れている事があるそうです。
生殖期には水草の生えた特定の浅瀬に集まり、複数のメスが産卵し複数のオスが放精します。
オス同士は相互に微妙に蹴散らしあいながらメスの周りでユラユラして産卵放精が始まります。
●両生類の集団本能は魚類とあまり変わらない。
現存する両生類はバラバラに隠れて住み、群れで暮らすものはほとんどありませんが、
魚類から進化した事を考えると、3億年前の敵がほとんどいない地上では魚と同様に群れで暮らしていた種があったかもしれません。
生殖は卵生で産み捨てが基本で、保育本能はまだありませんが、オオサンショウウオのように卵を(孵化まで)守るところまではやっています。(卵を孵化まで守る例は一部の魚類でも見られます)
●保育本能の始まり
保育系本能を持つのは爬虫類と鳥類、哺乳類です。
本格的な陸上動物として、卵の機能(乾燥と重力からの保護と栄養)を強化して完全に陸上に適応します。
しかし栄養が豊かな卵や幼生を巡る種間闘争のために、一定の大きさになるまで保育する本能(機能)を獲得していくようになります。
現存する爬虫類の大半は卵を(条件の良い場所を選んで)産み捨てますが、
ワニなど一部の爬虫類では母親が卵を守り、卵か孵化した後も子供が一定の大きさになるまで母親が保育する例も見られます。
鳥類では、卵を孵化するまで温め餌をやる事で保育するところまでやります。
幼生が飛べる体になるまで巣を守り餌をやる必要があるからです。
●爬虫類の生態は?
2億年前から6500万年前には恐竜が大繁殖しましたが、
現存する爬虫類は種が少なく、隠れ住むように暮らすものがほとんどです。
まずは、現存する爬虫類を見ていきます。
◆トカゲ
日本のトカゲはバラバラに暮らしますが、インドネシアのコモド島のコモドオオトカゲやイグアナは群れで暮らしています。
群れといても条件の良さそうな場所に群がっているだけで、相互に協力する事はほとんどできません。
海イグアナの事例で次々に海に飛び込む様子をみると、追従本能を使っているのがわかります。
生殖期にはオス同士が性闘争しオスメスが交尾、地上の条件の良い場所に卵を産みますが、卵は産み捨てです。
◆ヘビ
外敵の多い場所に生息する毒蛇はバラバラで暮らす種が多く、寒冷地では巣穴(蛇穴)に密集している種もあります。
ヘビの生殖は概ね強烈で、数日間にわたりオスメスが相互に捻れて絡まり合って交尾する種(捻れ型)や、多数がボールのように絡まって交尾する種(ボール型)もあります。一匹のメスに100匹のオスが群がって交尾する種(生殖器が頭にある)もあります。
アマゾンの湿地に住むアナコンダや、寒冷な気候に住むマムシなどは、卵生ではなく卵胎生の種があります。
卵胎生は卵をお腹で孵化させてから産む様式で、一部のサメなど魚類でもみられます。産んだ後の子育ては確認されていません。
保育が最も進んだヘビとしては、インドコブラのメスは子供ヘビが大きくなるまで同居させているのが確認されています。
◆ワニ
普段は水辺(餌場)群れて獲物をじっと待ち、獲物がくると数匹のワニが噛み付いて捕食して暮らしています。
ナイルワニでは、メスが巣穴をつくり孵化まで巣穴を見守り、孵化後は数ヶ月外敵から守る様子が確認されています。
母ワニが数匹の子ワニを口で抱えて運ぶ様子がよくテレビの動物番組で放映されています。子ワニを1年以上守る種もあります。
母ワニは、子ワニが自分で小動物や昆虫を自分で捕食する事ができるようになるまで、獲物の肉を口で咥え、数匹の子に引き千切らせて餌を与えます。母子のスキンシップはありませんが、保育本能としてはワニは爬虫類でもっとも進化した種です。
また、ワニは、大きな動物に噛み付いた場合は、噛み付いた2匹が(相互に反対方向に回転する事で)協力して引きちぎる行動がみられます。このような爬虫類同士が協力する行動はめずらしく、ワニのこの行動は母ワニから餌を与えられた際に、どう動けば上手く引きちぎれるかを学んだ事によってできるようになったのかもしれません。
これまで見てきたように、陸上にあがることで種間闘争はより激しくなり、肺機能や殻を持った卵の獲得など、著しい進化が見られます。そして爬虫類から、卵の産み捨てではなく、保育本能によるが子育てが始まり、次の哺乳類へと繋がっていきます。
次回は、哺乳類への進化系統樹からは外れるものの、子育てが顕著に見られる鳥類について扱います。