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【千島学説】哺乳類だけが赤血球に細胞核がない理由

千島喜久男著『血液と健康の知恵』地湧社刊 [1]

●千島学説の8大原理

【第1原理】 赤血球があらゆる細胞に分化するとする「赤血球分化説」
赤血球こそ細胞の大本であり、白血球やその他の様々な細胞(タンパク質、つまり肉も含む)は全て赤血球が分化してできる。

【第2原理】 赤血球から分化した各種細胞は、飢餓状態などの非常時には赤血球に逆戻りするとする「赤血球と各種細胞や組織との間の可逆的分化説」

【第3原理】 細胞や組織が死滅するときにバクテリアやウイルスが自然発生するとする「バクテリアやウイルスの自然発生説」

【第4原理】 細胞は細胞構造を持たない有機物から新たに生じるとする「細胞新生説」
あらゆる細胞は同じ細胞が分裂してできる、赤血球は赤血球から、白血球は白血球から、卵細胞は卵細胞から、という説を否定し、細胞は細胞構造をもたないものから作られるとする。そもそも、細胞が細胞からしかできないのであれば、最初の細胞はどのようにしてできたのかを説明できない。細胞分裂というのは、生体から取り出した特殊環境、すなわち生命体から取り出されたほとんど「死」と同義の特殊環境の中で観察される現象であり、生体内で本当に細胞分裂が起きていることを確かめた人間はいないはずである。

【第5原理】 赤血球は骨髄で造られるのではなく、腸の絨毛で造られるとする「腸造血説」
骨髄で血液が作られるとする定説は、特殊環境の中で赤血球から作られた細胞が再び赤血球に戻る過程を観察したに過ぎない。通常は腸の中で食物から血液が作られる。

【第6原理】 遺伝と環境は一体であるとする「遺伝学の盲点」
生物の形や性質は親から受け継がれた遺伝子により決まるとされているが、生物は環境に適応するために変化を重ねながら進化してきたというのが観察から分かる事実である。

【第7原理】 進化の最重要な要因は弱肉強食ではなく共生だとする「進化論の盲点」
方向性のない突然変異がたまたま生存に都合の良い方向に行ったケースの積み重ねで生物が進化してきたとする説は、現在見られる突然変異のほとんどは環境の悪化(化学物質や放射線など)による奇形であり、それが生存に好都合な例など見たことがないことから事実だとは考えられない。

【第8原理】 科学研究の方法論としての心身一如の生命弁証法
ここで「全ての自然現象・生命現象は波動と螺旋運動としてとらえるべきである」という結論に至っている。

●人間や哺乳類の赤血球は腸の食物モネラから生ずることや、その赤血球は無核であるからまだ細胞ではないが、その無核赤血球から有核の白血球を生じ、更に生体の凡ての体細胞や生殖細胞を生じ、病的の場合はガン細胞や炎症の部分の諸種細胞、外傷の治癒組織細胞も赤血球から細胞新生によって生ずる(第一原理赤血球分化説)

この第一原理(赤血球分化説)では、人間や哺乳動物の無核の赤血球(これは今日生物学上の細胞ではない)は有核の凡ての体細胞や生殖細胞を形成する母体である。即ち細胞新生説のよい例である。

●赤血球の細胞質放出による白血球形成
赤血球は(哺乳類の無核赤血球でも鳥類以下の有核赤血球でも)、組織培養をして観察してみると赤血球の一側が凹み、その細胞質を外部に放出し、あたかもヒョータンのようになり、細胞分裂を思わせるような形となり位相差顕微鏡で見ていると72時間ほどの経過で、その中に細胞核が新生するのを見ることができる。
また、骨髄組織を取り出し、塗抹染色標本を造って見ると数個の赤血球が共同してその細胞質を放出して、最後には数個の赤血球の細胞質を出し合って大きな白血球(骨髄細胞)をつくる状態をも観察することもできる。

●有核の赤血球芽細胞から無核の赤血球になるという既成説は考え方が逆である。
既成の骨髄造血説では、大きな細胞核をもった血芽球から小さい赤芽球となり、それが更に小さい無核の赤血球になる(これは人や哺乳類に共通)と考えられている。しかも、このような大きな有核の血芽球、赤芽球から極めて小さい赤血球になる「赤血球の成熟過程」といわれているものほど矛盾した説はない。生体ではそのような無駄をする筈がないし、第一に、赤芽球の大きな細胞核が小さな無核の赤血球へ変る途中で、その細胞核がどのようにして無くなるのかが明確に証明はなされていない。
核脱出説、核溶解説なども云われているがそのいづれも一種の想像説であり、人間の場合一日2,000億個の赤血球造血の根拠として決して実証できるものではない。
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千島学説(第一原理)によると、哺乳類の無核の赤血球から有核の白血球、全ての体細胞や生殖細胞が生まれる。
現代の発生学は受精卵の卵分割、発生初期の細胞分裂像が生涯にわたって続くものと仮定し、それが真実の現象だと信じている。しかし、胎生6ケ月以降、さらに出生後は細胞分裂は全くなしに体細胞は増殖していることは常識になっている。

一方、千島喜久男は、核があるニワトリの赤血球が生殖細胞がつくられることも観察している。
「ソマチッドとホリスティックコンディショニング その2」 [2]
千島喜久男は、ニワトリの卵の黄身(卵黄球)が赤血球に変化(分化)し、その赤血球が生殖細胞に変化している様子を観察し、「生殖細胞でない赤血球から生殖細胞が造られている」という現象を発見した。「精子や卵子も赤血球から造られる」ことも見出している。
 ニワトリの胚子の生殖腺(睾丸・卵巣)の組織発生を観察する場合、それまでの研究者は、胚子のウォルフ氏体(中腎)と、その付随の生殖腺を切り離していたが、千島博士はそれを切り離さずに、中腎と生殖腺を一緒にした標本を大量に作って、それらを根気よく観察しつづけた。その観察結果から、中腎と生殖腺のできはじめのものには境目がなく、組織が連続していることがわかり、しかもその周辺には、血管を飛びだした赤血球が無数に散在していて、それが原始生殖細胞や生殖腺の細胞に分化、移行していく姿を、はっきりと確認できたのである。

卵生動物(魚類・両生類・爬虫類・鳥類)も哺乳類も赤血球から細胞がつくられるのは同じ。
しかし、卵生動物の赤血球には核があり、哺乳類の赤血球には核がない。
それはなぜか?
千島喜久男がそのことについて触れた記述は見つからなかったが、おそらく次のような理由だと考えられる。
哺乳類の胎内保育中は、母親の赤血球から胎児の細胞ができるという。

●系統発生的にも個体発生的にも赤血球造血は絨毛のあるところである。
進化論的には下等動物で腔腸や消化器で造血するし、哺乳動物や人では子宮内面へ子宮壁にある血管の開放端から出血し、その血球モネラから胎盤絨毛ができ、その絨毛壁細胞から血球ができている。妊娠中は胎盤の絨毛で、親の赤血球からそれぞれ、卵黄球絨毛や胎盤絨毛の壁細胞を新生し、その絨毛壁細胞が成熟すると、その内部に無核の赤血球が10数個、胞子形成をするような過程で新生し、それが連続して血管となり、臍帯の清脈から胎児の体内に運ばれ胎児の凡ての細胞の母体となる。(胎盤造血)そして出産後は母親の血液補給が断たれるので、初生児は初め母乳、後に食物を採り、その消化産物(食物モネラ)から腸粘膜の絨毛を形成し、絨毛の表面に附着し、細胞新生によって腸絨毛上皮となり、その深部のものから次第に成熟して、その細胞内に胞子形成様過程で十数個の無核赤血球を形成し、それが連続して血管となり腸間膜静脈となって肝臓を経て心臓に至る。(腸造血)腸の絨毛で造血する。

つまり、胎内保育で母親の赤血球から胎児の細胞をつくる上で、赤血球の核は邪魔になるから、哺乳類の赤血球は核がない原核細胞になっているのではないか。

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