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哺乳類の進化過程~母乳は汗が変異し、胎内保育は免疫を抑制するレトロウィルスから生まれたという説

哺乳類はどのようにして登場したか?

母乳の起源は殺菌力を持つ汗であるという説がある。

「生命大躍進 こうして母の愛が生まれた|NHKスペシャル2015.6.8」 [1]の要約。

【1】母乳はどうやって生まれたか?

汗のように吹き出すハリモグラの母乳は、卵がかえる前から湧き出している。赤ちゃんの栄養とは別の役割がある。ハリモグラの母乳には、αラクトアルブミンという母乳の甘い栄養分を作るたんぱく質とリゾチームという殺菌力を持つたんぱく質が含まれている。ハリモグラはリゾチームを含む液体で卵を濡らし、雑菌の繁殖を防いでいると考えられる。
全く働きの異なる2つのたんぱく質だが、構造はよく似ている。母乳の起源は殺菌物質のリゾチームを含んだ汗のような液体で、それが変化して母乳のもとαラクトアルブミンを含む栄養豊富な液体に変わったという説がある。

哺乳類の祖先たちは薄く柔らかい膜に覆われた卵を産んでいた。卵に雑菌が入り込むと中の赤ちゃんが死ぬ。そこで母親たちは、殺菌物質リゾチームを含む汗のような液体で卵を濡らし、雑菌の繁殖を防いでいた。
その後、リゾチームを作る遺伝子の一部に突然変異が起こり、作られるたんぱく質の形がわずかに変わり、母乳たんぱく質αラクトアルブミンが生まれ、卵の殺菌が目的だった母親の汗に甘い栄養分が含まれるようになった。これを卵からかえった赤ちゃんが舐めたことが母乳の誕生。

【2】胎盤はどうやって生まれたか?

2.5億年前の史上最大の大絶滅を生き延びた哺乳類ジュラマイアの化石(1.6億年前)には、胎盤があった。
これによって、赤ちゃんは母親の子宮に密着し、栄養や酸素を母親から受け取れるようになった。哺乳類も元々は、受精卵を殻で覆い外へ産み落としていたが、受精卵の中にある赤ちゃんの尿を溜める袋が発達し母親の体の一部に密着したのです。これが胎盤となり子供は母親の胎内に留まって育つようになった。

胎盤の登場によって子供が無事に育つ確率は卵の時代に比べて飛躍的に高まった。なぜ哺乳類は突如、胎盤を手に入れることができたのか?
PEG10という遺伝子が重要な役割を果たしている。この遺伝子は1.6億年以上前に突如現れ、その後の哺乳類に受け継がれた。PEG10遺伝子は、様々な病気を引き起こすレトロウイルスとよく似ている。レトロウイルスが祖先のDNAに入り込み、胎盤を生み出すPEG10遺伝子になったと考えられる。

胎盤には、ウイルスから貰ったとも考えられる不思議な能力が備わっている。それは、母親の免疫を抑えるという能力である。
親子であっても時に血液型すら違う別人である。そんな赤ちゃんが体内にいれば、母親の免疫によって異物とみなされ攻撃される。それを胎盤が母親の免疫を抑えることで防いでいる。レトロウイルスも相手に感染するために免疫からの攻撃を抑える能力を持っている。この力がレトロウイルスをDNAに取り込んだ哺乳類にも伝わり、胎内保育を可能にした。

その後、胎盤の能力は強化され、子を身ごもる期間は長くなっていった。安全な母親の胎内でより成長してから生まれてくるように。

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