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雌雄の役割分化3~雌の生殖負担(魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類)

ウィキペディア「動物の子育て」 [1]より転載。

【4】魚類
無顎類は体外受精で、親は産卵後その場を離れるため、産卵後の保護はない。カワヤツメ類では、卵を砂の中に埋め込む行動が知られている。
軟骨魚類の一部は胎生で、子は母親の胎内で育つ。ラブカやオナガザメ、アカエイなどの胚は主に卵黄の栄養に依存しているが、ホシザメの一種やウチワシュモクザメのように、胎盤状の組織を通じて栄養を子に与えるものもいる。また、胎盤状の組織がないとされるもののなかにも、アブラツノザメなど酸素や栄養が母体から供給される種もある。ラクダザメでは、卵黄が吸収されたあとは未受精卵を胎児が食べることで栄養が供給される。卵生のものは丈夫な殻に覆われた卵を産む。産卵あるいは出産後の仔魚を親が保護することはない。
硬骨魚類に見られる子育て行動は多様である。体内受精の種では、産卵までの間は必然的に母親の体内で保護されるが、さらに卵が孵化するまで体内に留まる胎生や卵胎生もシーラカンス、ウミタナゴ、グッピー等に見られる。カダヤシ科やヨツメウオ科では濾胞内で卵の発生が進むため、濾胞内妊娠と呼ばれる。ウミタナゴや、メダカの仲間であるジェニンシア科、グーデア科の受精卵は卵巣腔内で発生する。しかし卵生の硬骨魚類では、もっとも多いのはまったく保護をしない種で、とくに浮性卵を産む種類では受精後の子育てはまれである。浮性卵を産むベラ類は、産卵する時間帯や場所を選ぶことで、卵が捕食されるのを防いでいる。
沈性卵を産む魚類のなかには、卵を見張ったり、持ち運んで保護したりするものが知られている。このような世話は父親が担当することが多い。スズメダイ類やハゼ類、トゲウオ類の雄は産卵床に産み付けられた卵を捕食者から守ったり、鰭で扇いで酸素を送ったり、ゴミを取り除いたりといった行動を示す。モンガラカワハギ科やカワハギ科のなかには、母親が産卵後の卵をしばらく保護するものがいる。両親ともに保護をする種にはシクリッド科の一部やカワハギ科のヨソギなどがいる。

保育タツノオトシゴ [2]
育児嚢が膨らんでいるタツノオトシゴ類のオス

産卵後の卵を持ち運ぶ場合は父親が行うことが多く、テンジクダイ科、コモリウオ科、ヨウジウオ科等がその例に挙げられる。運搬方法はさまざまで、体表に付着させて運ぶものや、テンジクダイ科のように卵塊を口にくわえて運ぶマウスブルーダー(口内保育魚)もいる。ヨウジウオ科のタツノオトシゴ類では雄の腹部に育児嚢が発達し、卵のみならず孵化後の仔魚もしばらくそのなかで過ごす。カミソリウオ科も同様の保護を行うが、担当するのは母親である。マウスブルーダーの中には孵化後の仔魚を保護するものもいる。
シクリッド科はとくに子育て行動が発達していることで知られる。種によって基質に産み付けられた卵や仔魚を見張って保護するものや、口内保育するものがいる。ディスカスは体表から「ミルク」を分泌して仔魚に与える。

【5】両生類
両生類のうち、無足目(アシナシイモリ類)では多くの種が卵胎生または胎生である。無尾目(カエル類)や有尾目(サンショウウオ類)ではまれだが、環境の厳しい高地に生息する一部の種は卵胎生または胎生の繁殖様式を持つ。
産卵後の卵を保護する両生類も珍しくない。オオサンショウウオ科の雄やアメリカサンショウウオ科の雌は卵の近くに留まって保護を行う。卵生の無足目や無尾類のなかにも抱卵を行うものがいる。無尾類には、雌の背中に卵が埋め込まれるピパ科や、雄の後足に卵を付着させるサンバガエル等、卵や幼生を運搬するものがいる。ダーウィンハナガエルの雄、カモノハシガエルの雌は卵を飲み込み、前者では鳴嚢、後者では胃の中でオタマジャクシが変態するまで保護する。カエル類のうち地上で産卵するものには、乾燥を防ぐための保護行動がしばしば見られる。

【6】爬虫類
爬虫類、および後に解説する鳥類と哺乳類は有羊膜類と呼ばれ、羊膜に包まれた卵を持つ。これによって胚は乾燥から保護される。これらの分類群はすべて体内受精によって繁殖する。胎生は有鱗目のトカゲ類やヘビ類のうちいくつかの系統で知られている。コモチカナヘビには種内に卵生の個体群と胎生の個体群がいる。
カメ類の母親は巣穴を掘ってそのなかに産卵するが、それ以降の保護は行わない。一部のヘビ類は落ち葉などを集めた巣に産卵する。ニシキヘビ属では、母親が積み上げた卵のうえにとぐろを巻き、孵化までの間、外敵からの防衛と温度の調節を行う。トカゲ属の雌も卵を保護する。ワニ類では母親による子育てが発達しており、卵だけでなく幼体の保護も行う。

【7】鳥類
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いったん呑み込んだ餌を吐き戻して子供に与えるコアホウドリ

すべての鳥類は卵生である。一般的に、雛に与える餌の多い時期を繁殖期とする。ごくわずかな例外を除くほとんどの鳥類で、両親ともに卵と雛の世話をする。産卵は巣を作って行われるのがふつうで、とくにスズメ目は複雑な巣を作ることが多い。
現生鳥類のなかでも初期に分岐した系統に属するダチョウ目とシギダチョウ目、ミフウズラ類、レンカクやタマシギなど一部のチドリ目の種は例外で、父親だけが子育てをする(ただしダチョウ目のダチョウでは両親ともに行う)。産卵後の子育てを行わないのは、雌が卵を地中に埋めて放置するツカツクリ科の一部に限られる。ツカツクリ科でも、種によっては雄が卵の見張りと温度調節をするものがいる。母親だけが世話をするものにはクジャクやアズマヤドリなどがいる。
保育アメリカヒドリ [4]
子供を引き連れて移動するアメリカヒドリ

【8】哺乳類
保育有袋類 [5]
有袋類は育児嚢の中で授乳し子供を育てる

現性の哺乳類のうち、単孔目(カモノハシとハリモグラ)は卵を産むが、残りは胎生である。カンガルーやコアラなど有袋類の子はごく初期だけ母胎内で過ごし、未熟なうちに出産される。多くの場合、その後の保護は母親の育児嚢内で行われる。その他の哺乳類は有胎盤類に属し、胎児は胎盤を通じて栄養を供給され、かなり成長してから産み出される。
哺乳類の特徴は授乳であり、卵生のものも含めてあらゆる哺乳類の母親は、子に母乳を与える。このことが、哺乳類にみられる密な親子関係を産み出していると考えられる。哺乳類では総じて母親の負担が大きいが、逆に父親が子育てに関わるのはまれである。
保育ブタ [6]
子供たちに乳を与えるブタの母親

【9】チンパンジーの子育て
チンパンジーのうち約2例に1例は育児を拒否しており、経験不足のためといわれる、飼育下では育児訓練を行ない観察した結果、新生児は生後3週齢には母の顔を他と区別し好み、出産後すぐに「見つめあう」をする。

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