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体毛・羽毛の構成物質と発達過程

●定説上の結論
ほ乳類の毛も爬虫類の鱗も鳥類の羽毛も皮膚の角質化によって生じたもので、まとめて羽毛と呼ばれる。
※但し、哺乳類の毛は皮膚の角質層からできている=皮膚から派生したが、羽毛は角質層からできた毛ではないと主張する者もいる(根拠は不明)。
「コウモリが哺乳類である理由、鳥類との違いや特徴を教えます!」 [1]

●毛を構成する物質
魚類の鱗は真皮の内側に発達した骨格でリン酸カルシウムが主成分だが、爬虫類の鱗は表皮起源でケラチンが主体。
古生代の両生類の一部には、魚類と同じ皮骨性の鱗があった。
3億年前 エリオプスの鱗は退化した小さな骨片状で、皮膚を完全には覆っていなかったが、トリメロラキスの鱗は互いに重なり合い、魚と同じような構造だった。
現生の両生類では、アシナシイモリの体の皺の間に痕跡的な鱗がある。

動物の毛の乾燥重量の90%以上はケラチンと呼ばれるタンパク質。ケラチンは細胞骨格を構成するタンパク質の一つで、毛や爪等のほか、爬虫類や鳥類の鱗、嘴などといった角質組織を構成している。
哺乳類の毛、鳥類の羽毛、爬虫類の鱗は、上皮組織の一部であり、その細胞構造を共通の祖先から受け継いでいるとされる。
爬虫類と鳥類の祖先である竜弓類(蜥形類)の鱗から、哺乳類は独自に体毛を発達させてきたとされてきたが、その化石証拠は見つかっておらず、最近の遺伝子分析の結果、ケラチンの遺伝子は、すべての有羊膜類(脊椎動物のうち、両生類を除いた四足類、つまり哺乳類、爬虫類、鳥類)の共通する最後の祖先で出現したと考えられるという。

但し、α-ケラチン群とβ-ケラチン群に分かれており、
α-ケラチン群は、哺乳類の角やつめ、皮膚、毛髪、羊毛
β-ケラチン群は、爬虫類、鳥類の鱗、つめ、嘴などを構成
α-ケラチン群はポリペプチド鎖がすべて平行で、α-螺旋(らせん)構造とよばれる構造をもち、β-ケラチン群はポリペプチド鎖間に水素結合をしたβ-シート(折り紙構造)とよばれる構造をもつ。

●体毛の発達過程
2.7億年前の獣弓類ゴルゴノプスでは、吻部骨格表面に小さな窪みが多数確認されており、これが洞毛(ヒゲ)の痕跡と見られている。
哺乳類は胎児の発生過程では洞毛の後に体毛が生じるので、獣弓類ゴルゴノプスの段階で体毛を獲得していたとは断定出来ないが、獣弓類が「原毛」構造を備えていた可能性が指摘されている。一旦、毛状の構造が出来れば全身に広がるのにはさほど時間がかからなかったとされている。
洞毛(ヒゲ)の基本的な構造は体毛と同じ。ただし、毛包に海綿体様組織があり、そこに血液が流入して静脈洞を形成している。これが洞毛の名の由来である。洞毛の感覚は三叉神経によって伝達され、洞毛の運動は顔面神経が司っている。神経の数は体毛の数十倍で、接触を鋭敏に感じることができる。また、毛根部には横紋筋がある。

1億6000万年前 羽毛恐竜
2010年、中国の論文「獣脚類の恐竜-シノサウロプテリクスの羽毛にはメラニン色素を含む細胞内小器官-メラノソームが残っており、色の解析が可能となった」。 それによると、シノサウロプテリクスは背中から尾にかけて赤を帯びたオレンジ色の羽毛を持っていた。その後、アンキオルニスなども体色・羽毛色の解析が行われ、その結果、羽毛恐竜の羽毛は多彩な色をもつことがわかってきた。現生鳥類と同様、恐竜の羽毛にも異性に対するアピールや同種を見分けるためのディスプレイ、威嚇の役割をもっていた可能性が示唆されている。

一方、哺乳類の体毛は軟組織であるので化石記録は乏しいとされており、1.6億年前のカストロカウダや1.25億年前のエオマイアなどが最古の記録とされている。

8000万年前 大型のティラノサウルス類の体表は角鱗に覆われていたが、原始的なものでは体表は羽毛で覆われていたことが明らかになっている。このことは、大型のティラノサウルス類の体表は角鱗と羽毛の両方で覆われていたことを示唆している。

【参考】
「鱗」 [2]
「哺乳類の体毛 爬虫類のかぎ爪と起源が同じ」 [3]
「単弓類」 [4]
「毛 (動物)」 [5]
「うろこと毛の起源は同じ」 [6]
「ケラチン」 [7]

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