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これからの共同体社会はどのように創られていくのか-9

巷ではコロナ禍が再び再燃し危機をあおる報道一色であるが、本当のところどうなのかということに迫る報道は皆無なので、こういう洗脳めいた事態に嵌らずにあられんことを祈るのみ。

さて、前回は、主体性を回復するために健全な思考方法として原始人以来の潜在思念に基づく実現思考を紹介した。現代人はこの潜在思念を封鎖あるいは捨象している為にまともな思考にならないことが往々にしてある。共同体社会にとって、相手あるいは対象が何を考えているか、何を感じているか、何を欠乏として意識されているかをつかむこと=対象への同化を行うことが行動の原点となる。(この潜在思念(本能回路および共認回路)をいかに開放して顕在化させていくかが共同体の成員にとって当たり前にできることが求められる。

今回は人として成長の原点である赤子を事例に潜在思念の開放ということを探りたい。

■人は赤子のときから相手を注視し同化することで能力を吸収してきた

真似ることか゛学びの原点といわれる。その際、全力で相手と同じことをすることだけに意識が向く。都合のいい解釈やできないという否定視もなく、ただひたすら全能力を駆使してできるまで繰り返す。これは哺乳類一般の成長過程でもあるが、とりわけ人類にとっては言語の習得においてもそれが貫徹されている。

 

赤ちゃんは人の顔色を見て育つ [1]

赤ん坊は「相手を注視し相手と同化する事」と「なんで!なんで!と追及する事」で著しい成長を図っています。

人類の脳回路は、本能回路、共認回路、追求回路、観念回路の四層構造となっており、赤ん坊の状況を見ると共認回路、追求回路が強化されていると考えられる。

実際この事象を研究した内容が「赤ちゃんは人の顔色を見て育つ」「霊長類の色覚が、顔色を見分けるのに適していることを証明」として有名科学雑誌に発表されています。

一方で「KY:他人の顔色が理解できないような行動をする人、その場の空気が読めない」の人も多く存在し始めている気がします。多分に欧米の子育て方法に影響を受けたのではと思います。

【赤ちゃんは人の顔色を見て育つ!?】

http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2012/02/20120222_01.html [2]より

「この人は何を考え、何をしようとしているのか――」。ヒトの赤ちゃんは、他者の顔色を見ながら行為を理解し、学習していることが、京都大学大学院教育学研究科の明和(みょうわ)政子・准教授(発達科学)や京大霊長類研究所の平田聡・特定准教授(比較認知科学)らのチンパンジーとの比較実験で分かった。21日付の英オンライン科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した。

ヒトの生後8カ月と12カ月の乳児30人、成人15人、チンパンジー(5-15歳:人間の小学生から高校生に相当)6頭に、女性がペットボトルのジュースをコップに注ぐ動画を見せ、「アイ・トラッカー」という視線検出装置でそれぞれの視線の先や動きを調べた。

チンパンジーは、ヒトの成人と同じく、ジュースが注がれる前に動きを予測してコップに視線を集中させたのに対し、ヒトの乳児はコップよりも長時間、女性の顔を見ていた。チンパンジーは物と物との因果関係に注目して、その人の行動(目的)を予測し理解するが、人間は顔の表情と物の情報を合わせて予測、理解していると考えられる。

明和准教授は「ヒトは他人の顔色を見て、心の状態をも推測して、次の展開を予測する。これは複雑な社会環境に適応するために、独自に獲得した学びのスタイルだ」としている。

【霊長類の色覚が、顔色を見分けるのに適していることを証明】

―適応進化の過程の解明に期待―

九州大学大学院芸術工学研究院の平松千尋助教、カルガリー大学人類考古学部Amanda Melin 助教、ニューヨーク大学人類学部James Higham 助教らの共同研究グループは、霊長類の3色型色覚が、顔色変化の検出に有効であることを初めて実験的に証明しました。

ヒトを含む多くの霊長類は、L、M、S の3つの錐体視細胞により光の波長弁別を行う3色型色覚で世界を見ています。3色型色覚は、赤い果実や若葉を緑の葉の背景から見つけることに適しているため、祖先型である2色型色覚から進化したと考えられています。しかし、果実を見つけること以外でも3色型色覚が有効な場面が考えられ、霊長類の行動や生態学的意義と照らし合わせ、幅広く調べていく必要があります。3色型色覚が有効な場面の候補として、顔色変化などの社会的シグナルの検出が挙げられていました。

共同研究グループは、霊長類の3色型色覚が、顔色変化の検出に適しているかを実験的に調べました。繁殖期に顔が赤くなるアカゲザルの写真を用い、様々な色覚の見え方を模擬して、ヒト参加者にメスの繁殖期と非繁殖期の顔を見分けてもらいました。その結果、霊長類が持っているL 錐体とM 錐体の波長感度が長波長域に偏った3色型の色覚は、3種類の錐体の波長感度が均等に分布した3色型や、2種類の錐体により色弁別を行う2色型よりも顔色の変化をよく検出できることが分かりました。この結果は、社会的シグナルの検出が3色型色覚の適応的意義の一つであることを裏付けるものです。ヒトが顔色から感情を読みとり、健康状態を察知できるのも、霊長類が持つこのような色覚特性のおかげであると考えられます。今後、霊長類進化のどの段階において、顔色変化が社会的シグナルとして使われはじめたかなど、霊長類の色覚の適応進化の過程に迫ることが期待されます。

本論文は、学術誌「英国王立協会紀要」オンライン版で2017 年

 

■言葉がないのにコミュニケーションを図る姿勢 

コミュニケーションは言葉を介さずともできるし、そのほうが本質的かもしれない。より相手の欠乏や気持ちがダイレクトに伝わる。赤子の様子から改めてその重要性を学びたい。言葉=観念はその同化過程を再現するため精緻なものとなっていくのだろう。

だからこそ、言葉以前の欠乏や気持ちとつながっていない言葉は力を持たないし、力のある言葉=観念を持つには、潜在意識を開放することが不可欠となる。

 

赤ちゃんが共認機能を形成していく過程 [3]

>共認の真髄は期待応合です。これは、どちらか一方からではなく、双方が期待しあい応合しあうことでお互いの肯定視を深め充足を得ることができます。「母性」もまた赤ん坊と母親の相互の期待応合による充足があって初めて芽生えるものであり、母子が一体となって育んでいくものなのだと思います。
とえば、赤ちゃんの抱き癖についての誤った見解があります。泣くとすぐ抱き上げると泣き癖が付く。だから、泣いてもほっておいて、決められた時間に抱き上げ、授乳するというものです。そして、この方法により、確かに泣き癖はなくなります。ただし、これの意味するところを深く考えてはいません。

赤ちゃんの状況に同化してみると、空腹を満たすことや、抱かれることによる充足を求めて泣くというサインを出します。そこで、母親がすぐに応望してくれたら、自分の欠乏(=相手に期待する)を出せば母親が満たしてくれるということを学習します。それより母親への肯定感や安心感も獲得できます。これは、将来の自己や他者に対する肯定感にもつながります。

それに反して、お腹がすいて、泣いても応望してくれない場合は、自分の欠乏を出しても(=相手に期待しても)応えてくれないという、相手に対する不信感や諦め感が生起します。その結果、自分の欠乏を出すこと(=期待すること)を断念するようになります。その結果、泣き癖はなくなります、欠乏(期待)封鎖という回路の形成という代償をはらって。

しかし、この時点で母親は、泣き癖がなくなって(母親にとって)いい子になったと理解します。そして、充足より規制管理という、同じような方法で子育てを行います。その結果、子供はいい子を演じ続けます。そして、非充足と他者不信は心の奥に蓄積されてきます。

そして、その度合いにもよりますが。ひどい場合には、失恋などの人間関係での挫折から、自ら欠乏を強力に封鎖する拒食・過食症などにいたります。

このように、人類の子育てとは、共認機能を完成していく過程そのものだと思います。共認機能という言葉さえ知らない人の考え出した、観念的育児法がいかに問題かを心にとめておく必要があります。

また、共認機能という言葉を知らなくても、500万年もの間、成功してきた子育ては、事実として有効であったという視点も必要です。これからは、これらの事実に基づいた、(共認などの)観念で子育てを考える時代なのだと思います。

 

 

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