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初期哺乳類の雌雄、生殖期間以外は敵

現在の家庭は、離婚や非婚者の増大、虐待やDV、子供たちの活力の低下など、うまくいっていない現象が増えています。どうしたらいいのでしょうか。答えを見出すには、その核をなしている男女の関係、婚姻のあり方を考えていく必要があります。

人類の男女関係の本質を解明するためには、少なくとも初期哺乳類(原モグラ)の雌雄関係にさかのぼる必要があります。なぜなら、胎内保育という機能の獲得により雌雄関係が劇的に変化したからです。

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  初期哺乳類エオマイア(絵はこちら [1]からお借りしました。(©️ N. Tamura))

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ひとつは、育児期間は雌が動きにくくなるなど生存(闘争)上不利になるので、雄がその期間にわたって雌たちの縄張り(安全域)を守る必要が出てきたことです。もうひとつは、胎内保育により、それまでは卵で大量に産んで弱い者は食われるという淘汰圧力が働かなくなったことです。優れた種を残していくためには、適者生存の淘汰圧力が不可欠で、哺乳類はそれを生まれて以後の圧力に変えていく必要が生じます。そのために闘争存在たる雄の「性(雌)をめぐる闘争の活力」を高めたのです。

具体的には、雌は発情にともなって雄の性闘争にスイッチを入れる駆動物質(フェロモンなど)を強化し、発散することで雌のもとに雄が集まります。そして雌をめぐって血みどろになるまで闘います。この闘いの激しさは哺乳類特有で、性をめぐる闘争活力が強化されていると考えられます。そして勝った雄は雌と交尾して子孫を残すことになります。よく雌が強い雄を選択しているといわれることがありますが、雌にとっては勝った雄を受け入れるだけ、ということでしかありません。

雄は性闘争本能が強化されることで、雌の縄張りを包含するほどの大きさの縄張りを生殖期間にわたって確保するようになります。そのようにして外敵や他の雄から雌たちの縄張りを守るのです。

しかし、これはあくまでも子供を産み、育てる期間に限ったことです。子供が親離れし、雌の元を巣立っていくことによって、雌の発情物質も低下し、雄は雌から離れていきます。したがって、生殖期間以外では雌雄といえども縄張り争いをする関係になるのです。原モグラの段階では雌雄の大きさの差はないので、雌雄は互角に戦っていたのではないでしょうか。 そして次の発情期にはまた別の雌雄関係が形成されます。

現代から見れば割り切った雌雄関係は、外圧の変化によって更に大きく変化していきます。

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