洞窟に隠れ住んでいた初期人類たち(1)~スタークフォンテン洞窟 [1]のつづき
シリーズ第2段!
お待たせしました。
今回は前回 [1]紹介されたアフリカのスタークフォンテン洞窟について初期人類当時の状況に遡って掘り下げて検証してみたいと思います。
続きを読む前に↓ポチッとお願いします。
[2]
■洞窟の周囲の状況
まずは現在の洞窟周囲の様子をグーグルアースで俯瞰してみると・・・
中央がスタークフォンテン洞窟
ご覧のようにまわりは緩やかな平原で樹木もポツリポツリ。
アウストラロピテクス・アフリカヌスが発見された、330万年~260万年頃の気候・植生は熱帯~亜熱帯森林のはずれであったと考えられており、現在より樹木は多かったかもしれません。それでも地上には身を隠すような場所はそれほど多く無かったと考えられます。
(その後250万年以降は乾燥化が進み、草原が広がっていきます)
真上から見ると大地にぽっかり開いた穴のようです。
真上から見るとこんな感じ
ところでこんなぽっかり開いた大きな穴(洞窟)に初期人類が住んでいたと言えるのでしょうか?
これを明らかにするには当時の洞窟の様子を押さえる事が重要になります。
■初期人類発生時の洞窟
スタークフォンテン洞窟は石灰岩の侵食・崩落によって現在の形に形成されてきたと考えられています。
土中に出来た空洞が時間を経て地上に繋がっていくのですが、地上からの侵食と土中空洞が繋がり、地上に開きはじめたのは今から約350~300万年ごろと考えられています。
一方スタークフォンテン洞窟で発見されたアウストラロピテクス・アフリカヌスの推定年代は今から約330万~約240万年前 [3]とされており、アフリカヌスの推定年代では、洞窟は現在に比べまだ狭く小さい穴でしかなかった可能性があります。
■外敵は?
スタークフォンテン洞窟からは、アウストラロピテクスの化石に加え、ディノフェリスという肉食獣の化石が見つかっています。また隣接するスワルトクラン洞窟ではヒョウに食べられたと思われるアウストラロピテクスの頭骨が見つかっており、当時の化石からサーベルタイガーやハイエナ、ライオンなどの祖先も生息していたことが分かっています。
ヒョウの牙と一致するアウストラロピテクスの頭骨
リンク [4]
レイモンド・ダートの「骨歯角文化」では、オーストラロピテクスのような初期人類は、しとめた動物の骨・歯・角を使ってさらなる獲物を殺していたとキラーエイプ説を展開している。彼はオーストラロピテクスの頭骨に残された窪みや穴は初期の人類同士が殺しあってできたものであると確信していた。
ところがその証拠を詳しく調べた C. K. ブラインはアフリカの大型肉食獣の下顎を測定して、ヒョウの牙がオーストラロピテクスの頭骨化石の穴とぴったり一致することを発見した。オーストラロピテクスはおそらく狩る側ではなく、狩られる側にいたと思われる
(ハート&サスマン、2005)。
学者達の間では、洞窟は捕食者の巣であり、巣に持ち帰って食べた、あるいは地上で食べられたものが、洞窟に雨で洗い流された。その結果洞窟で初期人類の化石が見つかったのだと考えられているようです。
果たして本当なのでしょうか?
■結局人類はどこに住んでいたのか?
まだまだ不十分ではありますが当時の周辺状況を整理すると
・周りには大型肉食獣がいた。人類は食べられる存在だった。
・周囲は平地で樹木も現在より多かったとは言え少なく身を隠すような場所が少ない。
・洞窟は現在よりももっと小さかった可能性がある。窪みのような場所?
やはり洞窟しかないのではないでしょうか?
もちろん洞窟が安全という保障もなく、危険も大きいですが、身を隠す場所の無い地上にいるよりはマシだったのではないでしょうか?
洞窟も現在のような巨大なものではなく、どちらかと言えば窪みのようなところで、そこに身を潜めていたといったイメージが近いのかもしれません。
逆に洞窟でなければ、はたして洞窟より安全な場所があったのか?が重要になると思います。
参考http://www.africangamesafari.com/kolebka.pdf [5]