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【逆境⇒進化】初期人類の逆境 vol.2<裸の起原>

数ある霊長類の中で、ヒトの体だけが毛皮によって覆われていません。
そうなんです 霊長類の中でも現代人だけが「裸」なんです
(体毛が短く皮膚が露出している=裸) 。
考えてみると、なんで という疑問が沸いてきますよね。
今日は、島泰三の著書『はだかの起原-不適者は生きのびる-』より、裸の起原に関する仮説を紹介したいと思います。
島さんは、ホモ・サピエンスまでの初期人類の体は、毛に覆われていたと考えられています。なぜホモ・サピエンスまで毛皮に覆われていたと考えられているのか
それでは、下のぽちっとして、30万年前の人類の世界へ出発してください。
では、いってらっしゃいませ。。  

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■裸の人類の誕生(ホモ・サピエンス)
島さんは、今から約20万年~30万年前に、東アフリカの高地で人類に裸の突然変異種が現れたと、考えておられます。裸の皮膚だけではなくて、かれらの身体には新しい形質がありました。それは食べる時には声を出せない不自由な喉の構造であり、大脳の前頭葉の巨大化であり、なによりも華奢な体つきでした。新人と言われるホモ・サピエンスの誕生です。
彼らは、アフリカの高地でしか裸の人間は成立しなかったと、島さんは考えておられます。
理由としては、アフリカの低地にはマラリアがあります。それは現代でも一つの村を全滅させます。だから裸の人類が低地で生まれても、生き残る確立は非常に少なかったはずです。
しかし、高地ではマラリア蚊は少ないのです。
20万年あるいは30万年前の現代人(ホモ・サピエンス)の始まりから、ヨーロッパへの進出までの長い時間について考えると、アフリカ高地からの進出がなんらかの理由で難しかったのだと考えないといけません。
同じ時期のアフリカに生きていたホモ・エレクトスの子孫たちやヨーロッパから近東にいたネアンデルタール達との生活圏を巡る争いは当時あったでしょうが、現代人の祖先は、その状況にかろうじて耐えることが出来たと推測できます。
だが、マラリア蚊などの昆虫が媒介する熱帯病のために、毛皮のない現代人がアフリカ低地へ、更にナイル川の低地帯をたどって中近東へ進出するのは、実質的に困難だったのでしょう。
もしも、彼らにとって大きな事件が起こらなかったら、まだしばらくアフリカ高地だけの、たとえばヒヒ類の分布域のなかに、エチオピア高原だけに分布するゲラダヒヒのように、現代人は孤立したままだったかもしれません。
しかし、7万年前に好機が訪れます。氷河期の到来です。ちょうどこの時に、【vol.1<着物の起原>】 [2]で紹介した衣類の起原があるのは、現代人(ホモ・サピエンス)のみが裸で誕生し、寒冷化し氷河期を向かえる中で、衣服を開発し、拡散できるようになった事を示していると考えられます。そして、つづく氷河期にはユーラシア大陸の寒帯にまで進出し、オーストラリアまで進出していきます。
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初期人類は、【初期人類は骨を食べていた!】 [4]シリーズで紹介したように、劣悪な状況下(逆境)の中、骨食というニッチを開発することで、環境適応した野生動物でしたが、現代人(ホモ・サピエンス)は20~30万年前のアフリカの高地で、突然変異の裸の種(カタワの人類)として誕生し、氷河期に襲われるという人類史第2の逆境にさらされることになります。
しかし、逆説ですが、現代人は裸(不適者)だったからこそ、この氷と雪に閉ざされた世界に生き抜くため、衣服の開発など、観念機能の強化ができたのかもしれません。
引き続き詳細を調べてみようと思います。

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