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南方起源説2(港川人とは?)

前回 [1]に続いて、今回は南方起源説の根拠となっている港川人について追求してみたいと思います。
★港川人って何?
日本列島には、いつから人類が住んでいたのか?縄文以前、すなわち旧石器時代の遺跡からは、様々な形状の石器は発見されていますが、火山と酸性土壌の影響で人骨化石が残りにくいといわれています。その中で、唯一(しかも頭骨を含む骨格全体が残っている)人骨化石が港川人です。
1970年に沖縄県具志頭村港川採石場で発見され、放射性炭素法によって、1万8000~1万6000年ほど前と推定されています。港川人の骨は4体分の骨格が残っていて、これらの人骨によって旧石器時代(後期更新世時代)の日本人の祖先がどのような姿形をしていたかが初めて明らかになりました。
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(画像引用元:日本人はるかな旅展 [3]
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★港川人の特徴は?
・港川人の頭骨は(現代人と比べると)、頭骨全体が短いわりに横幅が広く、頑丈な造りになっています。眉間が盛り上がり、鼻の付け根は引っ込みますが、鼻背は高く隆起しています。眼球のはいる眼窩は上下に狭く、その上縁は直線的です。
・歯の植わっている歯槽骨は厚く、かむ力が強かったことを示しています。歯も著しくすり減っており、粗末な硬い食物を食べていたことがわかります。
このような顔の特徴は、後の時代の縄文人と似ていることから、港川人が縄文人の祖先ではないかと考えられおり、日本人の起源を探る上での貴重な物証データであるとされています。
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(画像引用元:具志頭村立歴史民族博物館 [6]
★アジアで発見されている旧石器時代の化石人骨
[7]港川人(→縄文人)は、どこから来たのか?それを探る上で、アジアにおける旧石器時代の化石人骨の比較検討が必要になります。ところが、アジア全体でも発見されている人口が少なく、頭骨を含めて比較できるのは、華北の山頂洞人(男性1体、女性2体)、華南の柳江人(男性1体)、インドネシアのワジャク人(男性2体)程度となります。
上記4例を比較すると、中国内陸部の山頂洞人と柳江人は互いに似ており、太平洋海岸部の港川人とワジャク人が互いに似ている。そして、内陸部の山頂洞人および柳江人と、海岸部の港川人およびワジャク人とは似ていない。これらの頭骨比較(頭骨の類似性)から、港川人(→縄文人)は、南方起源説の根拠になっています。
【港川人とワジャク人の類似性】 :側頭窩が大きいために前方の幅が狭い。また、耳の後上方が横にでっぱっているために、中央やや後方の幅が広い。上から見ると菱形あるいは卵形である。央部の眉間隆起が眼の上の眉弓より発達している。眉間隆起よりも眉弓の方が発達している。頬骨が前に位置し、しかも前方を向いている。
【山頂洞人と柳江人の類似性】 :頭は細長く、前後であまり幅が変らないので、上から見ると長楕円形あるいは俵形である。頬骨は少し後ろに位置し、やや外側を向いている。
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南方説の根拠の1つが人骨化石ですが、圧倒的に少ない事例から検証していることががわかります。引き続き、南方説を探っていきます。
読んでくれてアリガトウ(世界のマツヒデ)

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