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日本語の成り立ち;番外編~研究の方法・「分化」&「統合」両論必要~

Posted By nandeyanen On 2009年12月30日 @ 8:02 AM In F 日本人の起源 | 2 Comments

前回の『日本語の成り立ち6~国内形成論・『日本祖語→弥生語』の仮定~』 [1]で紹介した服部四郎氏の『日本語の系統』では、
言語の系統を明らかにする研究の方法」について、かなりのページを割いています。
今回はシリーズ番外編として、素人にはチンプンカンプンな言語学の中でも、
日本語の特性を解明する上で必要不可欠な視点について、言語素人の私が理解した内容を記してみたいと思います。
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以下、引用しつつ一部要約です。

1.言語の変遷する根本原因
・言語は時代とともに変遷する。如何なる音声言語も数百年間全く同じ状態を保っているものはない。
・各個人が各々或一定の言語を話すのは遺伝によるものではない。
・生まれてから十数年間、同じ言語的社会慣習を模倣し練習して実行することによって、或一つの言語を話すという極めて強固な社会習慣を身につける。
・幼少年期には模倣が本能的に非常に正確に行われるから、他に何らかの妨害的条件の存在しない限り、言語は世代から世代へ正確に伝承される。
・同じ言語集団に住んでいる限り、一生を通じてほとんど変化しない。 (いくらかの個人差は存在し得る。)
子供たちが自分たちだけで言語社会を形作り、大人の言語のまねをするよりも自分ら同士でまねしあう傾向のほうが著しい。
→言語に世代的な差異が生じる。
∴いかなる言語集団においても、老人の言葉は青年たちのそれとは多少とも異なるのが普通。
2.言語の時代的変遷
・言語の時代的変遷は、発音、文法、語彙のいずれにも起り得る。
発音習慣の変遷は体系的に起る→「音韻体系・音韻法則」が認められる。
 ある時代から後の時代への発音習慣の変化は、1つの単語だけではなく、同様の発音を含む単語も一様に変化する。
・文法の時代的変遷も非常に規則的であることが多い→「形態法則」が認められる。
・語彙の変遷には法則性が認められない。
3.外国語の影響
・外国語の影響は、発音、文法、語彙のいずれにも起り得る。
・発音においては、音韻体系に衝突しない程度の変化(借用)しか起り得ない。
 起る時は、固有語ではなく外国語を話していることになる。=「言語の取替え」
・文法の形態は最も影響を受けにくい。
 これが起る時は、固有語を捨てて外国語を採ったということ。=「言語の取替え」
・語彙においては、外来語要素が「借用語」として盛んにはいり得る。
→借用語彙が多量でも、音韻と文法が固有語のものである限り、その言語の伝承は継続されている。
4.言語の分裂的変遷
・同一の言語を話していた言語集団が民族移動のため、或いは政治的、宗教的、地理的原因などによって2つ以上に分かれると、時代がたつにつれ両集団の言語に差異ができ、それが次第に大きくなり、遂には別の言語と言い得る状態、即ち各々の話し手たちが全く会話不可能である状態に達することがある。
・各々が異なった外国語(例えば民族移動していった先の原住民の言語)の影響を受けるときは変化しやすい。
→もと同一の言語から分裂して、継続的に伝承されるうちに異なった方向に変遷したために、異なるに至った2つ以上の言語を「同系語」といい、それらお互いの間には「親族関係」があるという。そしてそれらの諸言語は同一の「語族」に属するといい、それらの起源となった言語を「祖語」という。
(例;ラテン語を祖語とする印欧語族のロマン語派)
5.言語の統一的変遷
・異なった言語が互いに接触していると、両者の差異が次第に小さくなり、類似点が増加していく。
・双方とも変化するが、文化的、政治的に有力な民族の言語が、その点で劣る民族の言語により大きな影響を与える。
・音韻体系や文法体系が同じになれば、言語が統一された=同系になったという。
◆印欧言語学の『分化論』 vs ソビエト言語学の『統一論』
これらは対立するものではなく、言語的事実を合理的に説明するには、分化と統合の両論が必要

印欧語は分化論だけでもそこそこ説明できる
 ∵掠奪闘争→玉突き民族移動→侵略の歴史
⇒それに対してアジア、特に日本語の系統を研究するに当たっては、
統一的変遷という視点が重要になることを服部氏は直観していたように思われる。
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↑画像はウィキペディアからお借りしました。
以上、少しでも言語追求の足しになれば嬉しいです。


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