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共認機能の獲得以来、初めて「孤独感」に苛まれた原初人類

[1](画像はこちら [2]からお借りしました)

 

合図と言葉の違いは、再現性(再現の欠乏)にあるのではないか [3]という仮説を、以前の記事で扱いました。

そしてその「再現の必要(欠乏)」は、洞窟の外に出た男達が、未知なる対象である動植物や自然現象を、洞窟に戻り集団内で共有する必要(欠乏)から生じたのではないか [4]というのが、前回の仮説です。

 

 

今回は、前回の予告通り、では、女たちに再現の必要性は生じたのか。生じたとすれば、それはなぜなのかの追求に入っていきたいと思います。

 

前提となるのは、洞窟時代、すなわち弓矢が発明されて堂々とお天道様の下を歩けるようになる1.2万年前頃まで、女たちは、ほとんど洞窟の外=未知なる世界に出ることはなかったという点です。

 

男たちが、洞窟の外で捉えた対象や摂理を、それらを見聞きしていない仲間に伝えることから再現の必要が生じたとしたら、そのような女たちにとって、未知対象を共有するための再現の必要性は、生じにくいと考えられます。

 

では、それ以外に、女だからこその、再現の欠乏(必要性)が生じる別の理由が果たしてあったのでしょうか。

それとも、女たちは一貫して、再現欠乏よりも、一体化欠乏に導かれ一体化回路をひたすら発達させてきたのでしょうか。

 

それを明らかにするためにも、いったん大きく時代を遡って、足の指が先祖返りして地上に降りざるを得なくなった原初人類のメスの欠乏に同化してみたいと思います。

 

 

樹上機能を失ったメスが置かれた外圧とは、大きくは、①飢え、②外敵、③孤独感(共認非充足)の3つ。

そのうち、①飢えと②外敵については、以前ブログでお伝えした内容からそれほど修正はないので興味のある方はそちら [5]をご覧いただきたいのですが、今回認識を修正したいのは、③孤独感についてです。

 

 

実はよくよく考えてみると、共認機能を獲得したサルにとって、周りに同類がいないこと(いても無視されること)は、これまで直面したことのない、初めての事態だったのです!!

 

原猿時代、共認機能を獲得するに至ったのは、縄張りが重なり合いすぎたことによって無限苦行状態に陥ったことが発端でした。

その後、様々な真猿や霊長類が誕生したときも、サル同士の種間闘争が激しくなったことが原因でした。

つまり、サル時代は常に、同類は邪魔になるほど周りにたくさん存在しており、当たり前のようにいるその相手と「状況」や「心情」を同一視して充足しているに過ぎません。

言いかえれば、「相手欠乏」を感じたことはなく、共認が得られないときも、もっぱらその同一視の中身だけが注視・探索の対象だったのです。

 

ところが、樹上機能を失った先祖返りサル(原初人類)は、同類から外れて一人洞窟に隠れ住み、遠くで見かけても近寄ってもらえず、「同一視する相手がいない」という状況に置かれます。

そう、原初人類は、共認機能史上初めて、「孤独感」という名の共認不全に苛まれたのです!

とりわけ、霊長類の中でも特に一体化充足を発達させたオランウータンにとって、この孤独感は、生きる気力を失うほどの絶望だったに違いありません。

 

では、そのような状況に置かれたメスにどのような意識変化が起きたのか。

その結果、共認機能はどのように変化(進化)したのか。

 

長くなったので、続きは次の記事で書きたいと思います。

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