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2022年04月08日

ことばは、万物のこころを再現。未知なる探索が原動力

画像はこちらからお借りしました。宮崎駿さんの言霊です

 

人類固有の観念機能≒言葉はどのように形成されてきたのか。

過去の記事では、「再現の必要性」が言葉の形成の動力になっているのではという仮説を記事にしました。

【動物の「鳴き声」と人類の「言葉」の違いは、再現回路にあった?!】

 

 

人類の言葉(観念)と動物の鳴き声は、何が違うのか。

それは、動物が現在形の出来事を鳴き声や表情で共有しているのに対し、

人類は現在形ではない過去や未来の事も再現することが、決定的に違っています。

 

つまり、再現する(したい)という思考・欠乏が、言葉を生み出す動力になっているということです。

 

 

また、人類固有の能力というと、「道具が使える」「知恵が発達している」ということも思い浮かびますが、これらは必ずしも観念・言葉を必要としないことを、以前記事にしました。現在でも職人の世界が物語っていますが、観察⇒真似によって技能・知恵は継承されており、むしろ言葉は邪魔です。

【観念機能とは何か?~言葉以前の追求は、成果をすぐに行動に塗り重ねていった~】

 

現在形の物事は、観察や真似の行動があれば、言葉がなくとも発達させることができる。

逆に言えば、言葉の必要性とは、すぐさま行動に移せない、長期的な塗り重ね成果を共有・継承することにあったと考えられます。

 

 

以上のことから、今回掘り下げたいのは、

再現したい欠乏はどこから生じてきたのか。

そして、何を再現しようとしたのか。

ここから言葉の本質にせまりたいと思います。

 

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再現の必要性がまず初めに登場したのは、火が使えるようになったあたりではないかと推察します。「火の使用」は「道具の使用」とは異なり、火を制御できる≒火の気持ちになれる必要があることから、自然の背後に精霊を見たことが本質です。

【自然のなかに精霊をみた極限時代の人類】

 

それまで洞窟に隠れ住むしかなかった状況も、火を使うことで徐々に洞窟の外に出られるようになり、洞窟の外で初めて見る自然現象や動植物は、人類にとって全てが未知の世界だったでしょう。そして、そのような未知の世界は、一般動物なら「餌や敵以外は無関心」となりますが、精霊回路をもった人類にとっては、一体充足を求める対象であり、その為に注視し探索する対象です。

 

洞窟の外に出た男達が、未知なる対象を探索し一体化することができた動植物や自然現象を、洞窟に戻り集団内で共有する。再現の必要性は、この未知探索で得られた対象の再現⇒集団内での共有が考えられます。

ホピ族 画像はこちらからお借りしました

 

先住民族マッドマン 画像はこちらからお借りしました

 

この「再現」という視点で、未開部族の踊りを見ると、動植物や自然現象を再現しているものが多くみられます。上の写真は、パプアニューギニアの先住民族マッドマンで、全身を泥で塗り、衣装を装い、踊りや雄叫びなどで精霊を表現しています。部族の外圧や時代によって再現の様相は様々ですが、部族と動植物、自然との関わりのなかで、部族にとって欠かせないことが再現され、再現を通じて自然の理や部族の歴史、規範などが継承されています。

 

 

そして、再現している本質は共認機能で捉えた万物のこころです。

アメリカインディアンの口承史(一万年間)には、文字のない時代に、彼らが乗り越えてきた様々な外圧とそのとき獲得した知恵を次世代に伝えるために、毎日車座になって話し合うのです。

それは、今で言う歴史の伝承にみられる、現象を記憶にとどめるだけの行為とは大きく異なり、その体験の辛さ、みんなで乗り越えたときの充足感などが、非経験者も追体験できるくらいの交歓の場であったようです。その様子は下記のようであり、

『そこで、一族の中には、苦労のすえに学んだ知恵をうかつに失うことは、二度とすまいという、大きな決意が生まれた。彼らは互いに歌いかけた。われらが思いと呼ぶ(ところの)心の模様のこと、また〈火を囲む輪〉に集まるたびに、それらの(心の)模様が新しく織り直されるかもしれないことを。「一万年の旅路」より』

お互いの心が共感するまで、何度も何度も歌を歌い続けていました。そして、歌とはリズムのついた語りで、体験者みんなが共感できるまで推敲されていました。心の模様とは、言葉以前にそれぞれが感じた、対象に対する認識で、これを互いに確認するために言葉を補足的に使っていたようです。そして、その語りは、毎日長時間にわたり行なわれ、そのこと自体が集団の共認を高める最大手段になっていました。

るいネットより引用

 

共認機能の真髄は、対象の欠乏、心情、期待を捉え、一体充足を得る機能。

万物を自分達と同じように欠乏、心情、期待=心ある存在と捉え、万物の心を再現するところに観念機能の本質があります。部族にとって継承すべき心の再現を、リズムのついた語り(≒歌)で語り継いでいます。

 

以上、今回は言葉が生まれる背景を、洞窟の外に出た主に男たちの再現の必要性から考察しました。

では、女たちの再現の必要性は、別のものがあるのかどうか。次はそのあたりを記事にしたいと思います。

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