2021年09月29日
オランウータンの授乳期間が長いのはなぜか?
原猿時代に共認機能を獲得した人類の祖先は、新テナガザル→オラウータン→(足が先祖返り)→ジャワ原人へと系統分岐していったと考えられています。
なかでもオランウータンの授乳期間は霊長類のなかで最長です。なぜなのでしょうか?また昼行性の霊長類の中で、群れを作らず単独で生活するのはオランウータンだけなのです。何か関連があるのでしょうか。
(写真はこちらからお借りしました)
800万年前のアジア熱帯雨林ではオナガザルが樹上を制覇していました。新テナガザルは、細い枝先の果実を採るために軽量化して枝にぶら下がる形に進化し、オナガザルが住めない高い木の樹冠(地上近くから樹幹はオナガザルの縄張り)を生息域としていました。系統分岐によると、この新テナガザルが大型化しオランウータンへと進化していったと考えられています。どうすればこれほどまでに大型化するのでしょうか?
ちなみに、樹冠は写真のように実が成ると思いきやボルネオの森では数年に一度しか果実がならないそうです。一方でオランウータンは生涯のほとんどを20~30mの高い樹上で暮らすため外敵の脅威はほとんどない。このあたりの特殊な環境も影響していそうです。
(写真はこちらからお借りしました)
まずは類人猿の生態から探っていきたいと思います。
比較表を作成して特徴を抽出してみました。ぜひご覧ください。
(参考:オラウータンの不思議社会(鈴木晃著))
■特徴
・テナガザルとオランウータンは東南アジア、ゴリラとチンパンジーはアフリカ
・テナガザルは他に比べかなり小さい
・性差が大きいのはオランウータンとゴリラ。テナガザルは体格差がない。
・樹皮や繊維質の植物を食べるオランウータンとゴリラが大型化している。
・テナガザルとオランウータンは基本樹上。移動は腕渡りが多い。
・テナガザルとオランウータンは行動域が狭い。
・テナガザルは家族集団、オランウータンは母子以外単独。集団が小さい。
・ゴリラとチンパンジーは集団化。闘争性が高く集団単位が大きい。
・授乳期間はオラウータンが最長で7年。メスの性成熟に大きな差はない。
・妊娠期間は体格が大きいほど長い傾向。
⇒雨季乾季のあるアフリカと、熱帯雨林の東南アジアでは生存外圧に大きな違いがありそうです。次回、オランウータンの授乳期間、大型化の謎に迫っていきたいと思います。
- posted by sai-nao at : 2021年09月29日 | コメント (0件)| トラックバック (0)
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