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2019年11月12日

個体発生は系統発生(生命38億年の歴史)を繰り返す

農学博士で植物学者である静岡大学教授、稲垣栄洋氏の著書『敗者の生命史38億年』の要約です。

●敗者が生き残る
スノーボール・アースを乗り越えるたびに、それを乗り越えた生物は繁栄を遂げ、進化を遂げた。真核生物が生まれたり、多細胞生物が生まれたりと、革新的な進化起こったのは、スノーボール・アースの後である。

そして、古代カンブリア紀にはカンブリア爆発と呼ばれる生物種の爆発的な増加が起こる。カンブリア爆発によって、さまざまな生物が生まれると、そこには強い生き物や弱い生き物が現れた。強い生き物は、弱い生き物をバリバリと食べていった。強い防御力を持つものは、硬い殻や鋭いトゲで身を守った。

その一方で、身を守る術もなく、逃げ回ることしかできなかった弱い生物がある。その弱い生き物は、体の中に脊索と呼ばれる筋を発達させて、天敵から逃れるために早く泳ぐ方法を身につけた。これが魚類の先祖になるのである。

やがて、脊索を発達させた魚類の中にも、強い種類が現れる。すると弱い魚たちは、汽水域に追いやられていった。そしてより弱い者は川へと追いやられ、さらに弱い者は川の上流へと追いやられていく。こうして止むにやまれずに小さな川や水たまりに追いやられた者が、やがて両生類の祖先となっていく。

巨大な恐竜が闊歩していた時代、人類の祖先はネズミのような小さな哺乳類であった。私たちの祖先は、恐竜の目を逃れるために、夜になって恐竜が寝静まると、餌を探しに動き回る夜行性の生活をしていたのである。常に恐竜の補食の脅威にさらされていた小さな哺乳類は、聴覚や嗅覚などの感覚器官と、それを司る脳を発達させて、俊敏な運動能力を手に入れた。

大地の敵を逃れて、樹上に逃れた哺乳類は、やがてサルへの進化を遂げた。そして豊かな森が乾燥化し、草原になっていく中で、森を奪われたサルは、天敵から身を守るために、二足歩行するようになり、身を守るために道具や火を手にするようになった。人類の歴史の中でネアンデルタール人に能力で劣ったホモ・サピエンスは、集団を作り技術と知恵を共有した。

生物の歴史を振り返れば、生き延びてきたのは、弱きものたちであった。そして、常に新しい時代を作ってきたのは、時代の敗者であった。

生命46

●個体発生は系統発生を繰り返す
母親のお腹の中に最初に現れたあなたは、どんな姿だっただろうか。母親のお腹の中に宿ったとき、あなたは単細胞生物だった。たった一個の卵細胞に、やってきた精子が入り込んで受精をする。私たちの祖先が単細胞であったように、最初に生命を宿したとき、あなたもまた、一個の単細胞生物だったのである。

そして、あなたは細胞分裂を繰り返していく。一つだった細胞は二つになり、分裂して四つになり、八つになり、十六になる。今、あなたの体は七十兆個とも言われる細胞から作られているが、そのすべての細胞は、こうして分裂していったあなたの分身なのだ。こうして細胞分裂を繰り返し、あなたは多細胞生物になった。

やがて球状だったあなたの体は、へこみができていく。生物は筒状に進化し、内部構造を発達させた。まさにその過程を踏んでいるのである。そして、あなたは、尻尾をもった魚のような形になる。やがて尻尾は退化していく。このとき、手の指は七本ある。これは、おそらく地上に上陸したばかりの頃のなごりだ。やがて二本の指は退化して、五本指となる。

人間の妊娠期間は十月十日。しかしその間に長い長い生命三十八億年の歴史を繰り返して、あなたは生まれたのだ。あなたのDNAの中には、生命の歴史が刻まれている。

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2019年11月12日

人類に体毛がなくなった理由⇒その基礎事実

●体毛がない哺乳類の3類型
【1】 熱帯地方に生息し、体重が1トン以上ある場合(ゾウやサイ)
体重と体積が大きくなればなるほど、表面積は相対的に小さくなり、体内で発生した熱を外部へと放出することが困難となる。マンモスのように寒冷な地域に住んでいる場合は別だが、ゾウやサイなど、熱帯地方に住む1トン以上の哺乳類は、毛を失う。これらの動物は、皮膚の保湿と紫外線遮断のために、体を泥でパックする。なお、キリンは、1トン以上の場合でも、体重に対する表面積の割合が大きいので、毛を失わない。

【2】 完全に水中生活をしている場合(クジラやイルカ)
完全な水中生活では保湿の心配はない。紫外線も、空気よりも密度の高い水によって遮断される。陸棲動物は、毛の間に空気を溜め込んで断熱材にするが、この温度調節方法は完全水棲動物には使えない。水棲動物は、毛を失う代わりに、皮下脂肪層を発達させて、体の温度変化を和らげる。

【3】 直射日光が当たらない場合(ハダカデバネズミとハダカオヒキコウモリ)
ハダカデバネズミはアフリカのエチオピア、ケニア、ソマリアなどのサバンナの地中で暮らすげっ歯類。地下トンネルに集団で住み、最大300頭もの大規模な群を成し、「ハチやアリなど昆虫とよく似た分業制社会を形成。ハダカデバネズミは、地中にトンネルを掘って暮らす。トンネルの中は、外の環境とは関係なく、温度は28-32度、湿度は80-90%に保たれている。
1匹の女王ネズミと1-数匹の王ネズミのみが繁殖を行う。
他の非繁殖個体は、兵隊ネズミ(巣の防衛)や働きネズミ(穴掘り, 食料の調達, 仔の世話)。
「蜂と同じような社会(真社会性)をもつ哺乳動物ハダカデバネズミ」

●古生代の魚類には硬い装甲や、鱗で覆われた身体を持つものも多いが、現生の魚類の中には水中の微弱な電位変化を皮膚で感知し、エサになる小魚などを捕まえる種がいる。一方、ある匂い感知機能を持つ受容体が、オタマジャクシのころは表皮に存在するのに、成長してカエルになるとなくなると報告されている。古い時代の水の中に棲む脊椎動物、魚類は体表にさまざまな環境因子を感知する感覚器を持っていたと考えられる。そして陸上動物になった時(最初は両生類)、それらの感覚器の多くは失われたか、機能しなくなった。

人類が体毛を失ったのは、120万年前のホモ・エルガステルあるいはホモ・エレクトゥスと考えられているが、興味深いことに、これらの種から脳が大きくなり始めた。
全身の表皮が環境にさらされる、「皮膚感覚の復活」が人類の生存に有利に働いたのではないかと考えられる。それが脳の容積の増加にもつながったのではないか。
「皮膚感覚の復活が人類を進化させた」

●毛穴の数はチンパンジーとは変わらないが、体毛の長さと太さが違う。無毛といっていい状態だが、ところが妊娠6ヵ月頃の胎児には毳毛(ぜいもう)が全身を覆うように生えてくる。しかしこの毛は通常、生まれる前に抜け落ちてしまうらしい。
「人類が体毛を失ったのは?(仮説)」

 

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2019年11月05日

日本の婚姻史

結婚については、未婚率や離婚率の増加、結婚したいけどなかなか出来ない、結婚したいとは思わない、メリットを感じないetc…と人によって様々な思いや考えがあるようです。
世界を見渡せば、その形態は異なり、また時代によっても変化しているのが見てとれます。
今回は、日本の結婚形態の変化を時代と共にを見ていきたいと思います。

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参照:高群逸枝著『日本婚姻史』
原始(無土器・縄文)・ 族内婚―――――――┬―【群婚】群
原始(縄文・弥生)・・・族外婚―――――――┘       母系氏族

大和〔古墳〕・・・・妻問婚 ―――  ― ―  ―<通い>┬―【対偶婚】父系母所
飛鳥奈良平安(初)・前婿取婚 ――┬婿取婚┘   <群婚的多夫多妻遺存>
平安(中)・・・・・純婿取婚 ―――┤ <住み>  <過渡的父系氏族=氏族崩壊>
平安(末)・・・・・経営所婿取婚―┤
鎌倉南北・・・ ・・・擬制婿取婚 ―┘

室町安土桃山江戸・・嫁取婚―――――――【一夫一婦(蓄妾)婚】父系<家父長>

明治大正昭和・・・・・・寄合婚―――――――【純一夫一婦婚】双系<個人型>

 

日本の婚姻史は、群婚、婿取式(母系型)、嫁取式(父系型)、寄合式(個人型)の4段階に大別される。
群婚は、族内婚(いわゆる兄妹婚)と族外婚(交叉婚)の二期に分かれる。
婿取式婚姻は、対偶婚――1対1の結合であるが、この結合は弱く、離合不定である。群婚の延長または遺習ともみなすべき多夫多妻的現象の並存を見ることが多い――に比定され、群婚とともに原始婚の範疇に入る。
婿取婚は、古典での代表的婚姻語である「ツマドイ」(奈良ごろまでに支配的に見られる)と、「ムコトリ」(平安から鎌倉ごろまでに支配的に見られる)の二語によって表される妻問婚と婿取婚の二期に分かれる。 妻問婚=通いで夫婦別居のたてまえ。その背後にはヤカラと称する族的共同体が想定される。
婿取婚=狭義の婿取婚で妻方同居のたてまえ。その背後には両親世帯が成立する。 狭義の婿取婚は、以下の4つに細分される。
前婿取婚:大化後平安初までの過渡期における母による婿取り 純婿取:摂関政治の盛行時代、婿取儀式が中央でも地方でも見られる段階で、妻方の父が婚主 経営所婿取:院政期。
自家以外のところに経営所と称する婚礼の場所を設けて妻方の手で婿取婚が行われる。その後新夫婦は新居に移って単婚世帯をいとなむ 擬制婿取:鎌倉から南北朝ごろまで。
夫方の親が別宅へ避居したあとを、妻方の、または妻自身の家として擬制して婿取をするたてまえの婚姻形態。
この期間の各世帯は、前の経営所婚からひきつづいて単婚世帯が多い 嫁取式婚姻は、室町ごろに表面化して確立する。
「ヨメトリ」という婚姻語がこの期にあらわれる。この期で妻は完全に夫方同居となる。だから前代の単婚世帯をすてて、夫方の家父長の族中に同居する俗となる。
嫁取式は夫方の家父長の手によって行われ、夫方が貰い手、妻方が呉れ手という取り引き観念のもとに、嫁は死装束を身につけ、一個の物件と化して略奪される形となる。
寄合婚は、明治維新に萌芽し、昭和憲法後に表面化してくる、近代社会の男女同権的単婚制。 本来ならば大化前の氏族制末期に表面化されなければならない嫁取婚(家父長婚)が、日本では約10世紀もおくれて室町期に表面化した。その約10世紀間、太平洋諸島や東南アジア、台湾等に見られるような原始婚を保持し、しかもそれを徐々に終局へと規則正しく経過させた。(筆者注:妻問いから前婿取→…→擬制婿取へと、妻方居住から夫方居住へ大転換していく様は、連続していて実に見事です。)
この間、女性の地位は原始的な高さ(財産、祭祀、恋愛等の諸権利において)をもち、また女性を取り巻く社会環境も、原始的な諸関係を示していた。
例えば、氏族制は崩壊していたが、原理は残っており、それが嫁取婚や家父長制の顕現をおさえており、だから夫婦は別産で別墓だった。
同氏でさえあれば離別した夫婦でも同じ墓地に葬られ、同じ氏寺のある隠居地に余生を送り得たが、形影相伴う相愛の夫婦でも異氏のばあいは、隠居地を異にし、墓地を異にした。
最も不思議なのは、系は父系であるのに、婚姻や家族は母系型である点で、なにかの故障で成員の分家がちょっと妨げられると、たちどころに母系型の大家族が顕現した。これに反して父系型大家族は一例もない。
父系系譜と母系型家族の複合は、「父系母所型」といわれ、母系型族制の上に父系系譜がたどられている。

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現在の一対婚が当たり前だと思いがちですが、こうやって歴史を遡るとその歴史はとても短いことがわかりますね。

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2019年11月03日

汗(腺)に関する基礎事実

●「先哺乳類~哺乳類の汗腺について」
爬虫類にはなく、哺乳類の特徴であると言われる汗腺には、アポクリン腺とエクリン腺の2系統があります。大きくはフェロモンを出す汗腺と水分を出す汗腺です。

アポクリン腺と呼ばれる汗腺は、体臭腺(水分を殆ど出さないフェロモン系=脂質・たんぱく質・ホルモン等の分泌)で、こちらの汗腺の獲得が進化上先行しています。現在の多くの哺乳類でも、ほぼ全身にこのアポクリン腺が分布しており、哺乳類の乳腺はこのアポクリン腺から派生したものであると考えられています。

したがって、先哺乳類(単弓類)の獲得した汗腺はこのアポクリン腺系統で間違いないと思われます。しかし意外にもこのアポクリン汗腺は、思ったほど体温調節機能(体温を下げる)は持っておらず、基本的には体温とはほぼ関係なく作用する体臭腺で、臭いを出す時の二義的な作用で微少の体温調節(体温を下げる事)が可能といった程度のものです。

(※ヒトのアポクリン腺は個人差があり現在、腋や陰毛部等に一部残存しているのみですが、腋のアポクリン腺存在部にまれに乳腺組織である「副乳」があることが知られています。またこのアポクリン腺は女性の乳輪部にも存在しているようです。)

片や、エクリン腺は体温調節の(体温を下げる)為の発汗作用(いわゆる汗をかく機能・99%水分)を持つ汗腺です。しかし、これも意外な事に、全身にこのエクリン腺を持つ哺乳類はごくまれなのです。あまり知られていませんが、この汗腺を全身に持つのは人や霊長類など一部の高等(といわれる)動物に限られており、哺乳類のほとんどはこのエクリン腺を持たなかったり、体のごく一部にしかなかったりします。(例えばネコなどが汗をかくのは四肢の裏のみで、犬や狼、げっ歯類などは事実上体表にエクリン汗腺が存在しません。)

また、このエクリン汗腺の発達は脳の発達と連関が深いとも言われ、脳の発達と、それに伴う脳活動の大量発熱→冷却の必要から体温調節機能(ラジエーター)として、このエクリン汗腺を発達させたとの見方もあるようです。猿もほとんどがこのエクリン汗腺をあまり持たず、たくさん持っているのは一部の霊長類、その中でも特に人類が、全身にあったアポクリン腺をこのエクリン腺に置き換えて著しく発達させているからです。

●「汗をかくことができる人間は動物の中で最も長距離を早く走れる~持久狩猟能力の獲得」
ほとんどの動物は汗をかかない。厳密には、犬は足の裏に汗をかくが、人間のように体全体から玉のような汗が出ることはない。動物の中で唯一人間並みに汗をかくのは馬だけ。
人間が汗をかくのは気化熱により体温を下げ、体温を調節するため。それに対して、ほとんどの動物は汗をかかないため、汗による体温調節ができない。動物は呼吸によってしか体温調節ができないが、呼吸による体温調節は、体全身からの発汗によって行う体温調節と比べる効率が悪い。そのため、動物は長時間運動をすると、発生した熱をコントロールすることができなくなり動きが取れなくなる。それに対して、発汗による体温調節ができる人間は、動物よりも長時間の運動が可能。実際、この能力を活かして、太古の昔には持久狩猟が行われ、現在でもアフリカ南部のサン族は持久狩猟をしている。持久狩猟とは、獲物が体温調節ができなくなって動けなくなるまで、何十キロも追いかけるという持久力頼みの狩猟方法。

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2019年11月01日

カルシウムが担った生命進化の役割

私たちの体の中で、カルシウムの役割はとても複雑で多岐にわたっている。
例えば骨や歯を構成する主成分であるが、もっと機能的な役割をもっている。種々のホルモンの分泌やホルモンの作用発現、筋肉の収縮や弛緩、血液の線溶・凝固、消化管での消化・吸収、創傷の治癒、薬物作用の発現、無数に近い多くの酵素の作用発現、種々の受容体の作動、大多数の分子構造の形成・触媒・安定化、さらには植物の光化学機序の発現など生物が生きていくうえで必須の役割を担い、しかもカルシウムに代替できるミネラルはない。

★どうしてこんなに多くの役割を一つのミネラルに託しているのだろうか?

以下、『カルシウムの不思議』(リンク)より
人間が住む地球の表層には多くの元素があるが、豊富な順番では、1番目は酸素、次いでケイ素、3番目が水素、そして、アルミニウム、ナトリウムとなり、6番目がカルシウム、さらに鉄、マグネシウム、カリウム、チタンの順番となる。地球表面にはカルシウムが豊富にあることがわかる。
地球の表面を流れ、種々の物質を溶かしこんだ海水ではどうか。一番多いのは水素、2番目が酸素、3番目がナトリウム、4番目は塩素、そしてマグネシウム、イオウ、カリウム、8番目にカルシウム、さらに炭素、窒素となり、海水でもカルシウムは豊富に存在する。この海水の組成と地球上の生物の誕生とに壮大な物語がある。

地球上の動物には特別な特徴があることが知られている。地球上の動物は数えきれないくらいの種類がいるが、その生活環境が極端に異なっていても、一定の類似した水分含有量をもち、その体液のミネラル組成も濃度もほぼ共通している。この体液のミネラル濃度は約1%食塩水に相当する。まるで地球上の起源が同一で、環境による自然淘汰による選別・進化を受けてきただけでなはないかとさえ思える。

例えば、陸上に住む動物たち・・・水の豊富な熱帯雨林、比較的乾燥しているサバンナ、水分がほとんどない乾燥した砂漠に住む動物すべてにあてはまる。もちろん、ヒトの体液も生理食塩水の0.9%に相当し、例外ではない。3.7%の塩分濃度の現在の海水中に住む魚類、軟体動物なども、塩分を含まない淡水に住む魚類もほぼ同じミネラル組成の体液をもっている。

先カンブリア期は約40億年前の海水中に単細胞が発生した時代であるが、人体の体液ミネラル濃度の305mEq/リットルより2.5倍も高濃度である。オルドビス期は約5億年前で脊椎動物の出現した時代であり、人体の体液の3.2倍の高濃度で先カンブリア期の海よりさらに濃縮されている。現在の海水はさらに濃くて体液の約3.7倍になっている。
海水は蒸発して雨となって陸に降り、陸地を川の水となって流れ、多くのミネラルを溶解した水が海水に注ぎ、長い歴史の結果として海水のミネラル濃度が増加してきたのであろう。しかし、古代の海水のミネラル濃度は体液より高濃度である。淡水が流れ込む河口が酸素が豊富で、栄養や温度などの条件が良く、生物が発生しやすかったと考えられる。そして、海水が希釈された低い濃度の海水中で繁殖し、この環境と同じ濃度の体液ミネラル組成ができあがったと推測されている。

古代の海で生命体が誕生し、長い道のりを進化し続けてきた。単細胞生物から多細胞生物へ、古代の軟体生物から海生動物へ、無脊椎魚類から脊椎魚類へ、そして陸生動物の出現となる。この海中生活環境から陸上生活環境への順応にはいくつかの大きな進化が必要であった。その一つは水中に溶けた酸素を摂取していた鰓から、空気より酸素を得る肺が必要となり、水中では浮力により軽かった体重が空気中では重い体重となるため、これを支える堅牢な骨格とより強力な筋力が必要となった。幸い、酸素は空気中に豊富に存在していたので生物は海の生活と大きくは変化しないですんだが、骨格と筋力は多種多様に進化し、多くの動物へと枝分かれして発達した。

環境変化により食物の摂取も激変する。海水中には多くのプランクトンのような食用微生物がいるが、陸生動物は呼吸するだけでは栄養が手に入らない。特に海水は3~4%のミネラル水なのでミネラル摂取は魚類にとってはごく容易であり、むしろ摂取過多となる危険があった。ナトリウムやカルシウムなどの生体に重要なミネラルでも吸収を少なく、排泄をできるだけ多くできるように機能し、摂取過多による高ナトリウム血症や高カルシウム血症を防御しやすいシステムが基本であった。ところが、空気中にいる陸生動物では海水中のようにミネラルを無条件に摂取できるわけではなく、貴重な栄養素になった。陸生動物の器官も摂取することより防御が優先されて機能するのでカルシウムは腸管での吸収率が30%程度と悪く、腎臓での排泄能力が強力であるのは海生生物の系統発生的ななごりのようにみえる。

海生生物から陸生動物になる大きな内分泌学的な進化もある。魚類は血液中にカルシトニンとう血液中のカルシウムを骨に蓄えるホルモンをもっているが、陸生動物の両生類以上の脊椎動物では、魚類にはない、骨を壊してカルシウムを引き出す副甲状腺ホルモンをもつようになる。カルシウムが豊富に摂取できるときにカルシトニンによりカルシウムを骨にたっぷり蓄え、不足するときには副甲状腺ホルモンにより骨からカルシウムを必要なだけ引き出すことができるようになったわけである。このカルシウムを出し入れする2つのホルモンを、その働きの通りに『カルシウム調節ホルモン』という。

空気中での重くなった体重を支える筋肉は骨の端と他の骨の端に接着し、より強力、強靱になっていく。このことは陸生動物では骨により強い圧力がかかり、骨もより堅牢になっていくとともに、大量のカルシウムの蓄積ができることになったのだ。

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2019年10月28日

海生哺乳類(クジラ・イルカ)の進化史

ウィキペディア「クジラ類の進化史」を要約したもの。

クジラの祖先は、鯨偶蹄類(ラクダ類・イノシシ類とカバ類)
彼らの祖先の少なくとも一部は肉食or腐食性であった。陸上適応した種は植物食動物となったが、クジラ類は肉食動物(プランクトン食、魚食性のものも含む)。骨膜が厚く発達(クジラ類とカバのみの特徴)。骨格を重くして水中に潜る際に浮力を減殺するための適応。

5300万年前 パキケトゥス(パキスタン) 
季節性の河川と氾濫源が卓越する乾燥地帯に生息。淡水を飲んでいた陸上動物を捕食していたか、淡水に生息する小動物を捕食。
パキケトゥス

4900万年前 アンブロケトゥス(パキスタン)
水陸両棲で、淡水域、汽水域、海水など、さまざまな塩分濃度の水環境に生息。淡水域から海へ進出しつつあったクジラ類の進化段階。なんとか陸上を歩くことはできたが、早くは移動できなかった。ワニのように浅瀬で待ち伏せをして、水辺に近寄った動物や魚をしとめていた。泳ぎ方は、後肢ごと下半身を上下にうねらせて泳ぐ+アザラシやカワウソ、クジラのように尾を振り下ろす。クジラ類の遊泳能力の進化過程の中間段階。
アンブロケトゥス

4900万年前〜4300万年前 レミングトノケトゥス(南アジア)
水分摂取は海中で、かろうじて陸上でも活動できたが、ほぼ完全に海浜環境に適応し三半規管が退化。水中では、後肢を使わずに尾の振り下ろしのみで泳ぐ。
レミングトノケトゥス

4800万年前〜3500万年前 プロトケトゥス(アジア、欧、アフリカ、北米)
亜熱帯の浅海域を中心に世界的に分布した最初のクジラ類。クジラとは異なり胎児は頭から産まれるので、陸上で出産と推定(頭から産まれると水中では胎児が窒息する)。歯の形状は様々で食性多様。
プロトケトゥス

4100万年前〜3500万年前 バシロサウルス類とドルドン類(熱帯〜亜熱帯の海域に広く分布)
最初の完全な海生クジラ類。魚食性。現世のクジラ類に近い骨格。バシロサウルスは全長18 m、ドルドン類は全長5 m 。
バシロサウルス ドルドン
バシロサウルス                    ドルドン

3400万年前 原始的なクジラ類も現生に繋がる完全な水生化を果たした系統以外は絶滅。
以下、現生のクジラ類の祖先

3300万年前〜1400万年前 スクアロドン
音波を前頭部にあるメロン器官から射出し、物体から跳ね返った音波を下顎でキャッチする。この機能(エコロケーション)を使用した最初期のクジラ類。
スクアロドン

2500万年前~2000万年前 ケントリオドン
現生のイルカの祖先。
ケントリオドン

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2019年10月25日

カンブリア紀 ~生物大爆発を促進させた雌雄分化~

個体の寿命は有限であるが、世代を交代することでリセットできる。複数の異なる個体の遺伝子を混ぜて子供をつくることを「有性生殖」、もしくは「性」という。性にともなって、さまざまに複雑な生命現象が進化してきた。多様で一見込み入っている性現象は、生物が長い進化の結果選択してきたものと考えることができる。

 ~以下、日本大学医学部、早川智教授『性はなぜあるのか ~進化生物学の視点から~」より~
地球上には「無性生殖」を行う動物種も多く、性イコール生殖ではない。むしろ細菌や酵母のように二分裂や出芽で繁殖する戦略のほうあ、自分と同一のゲノムを有するクローンを効率よう増やすことができる。実際、昆虫や爬虫類の一部に無性生殖をおこなう種があるが、極めて例外的であり、地球環境では有性生殖が主流になっている。しかし、有性生殖には「減数分裂による配偶子形成」、「配偶相手の選択」、「受精」という一連の過程が必要になる。

★では、なぜ大きなコストを払ってまで生物は有性生殖をするのであろうか?

「性」がいつ地球上に現れたか現時点では不明だが、9億年前の先カンブリア紀の地層にはすでに減数分裂により生じた微化石が見られる。バクテリアや現生動物でも他固体とプラウミドなどの形で遺伝子交換を行うことから、遺伝子の水平的移動による多様化はきわめて古い起源があるのかもしれない。多様性を獲得できる能力が、6億年前の4回の大氷河期(スノーボールアース)を耐えのびてカンブリア紀の爆発的進化の原動力の一つになったのかもしれない。

生命の歴史の年譜
(画像は「生命の扉」(リンク)」より引用

有性生殖では「卵」と呼ばれる動きの少なく大きな配偶子と、「精子」と呼ばれる小さくてよく動く配偶子とが融合する異型配偶子生殖がほとんどである。進化の上で最初は同じ大きさの配偶子が融合する生物集団があり、その数回余分に分裂して数を増やしてから有性生殖に入る「精子」と、子供の必要とする栄養を自らが保持する大きな「卵」が分化してきた。
「精子」は受精の確率を高めるためにより多くの細胞を残すように進化し、「卵」はより確実に受精卵を発育させるように進化した。これが雌雄(男女)両性の起源と考えられている。多様な性の表現は、それぞれの個体が自らの繁殖成功度を高くするよう努めた結果と理解できる。

しかし「卵」をつくるためには「精子」をつくることに比べてずっと大きな投資が必要である。そのため雌が子供に数を増やそうとすれば、適当な数の卵を子供にとって適切な環境に産まなければならない。ましてや、哺乳類のように子宮内で胎仔を育て出産後も授乳を行って独り立ちできるまで面倒をみる雌の投資は極大になる。従って複数の相手と交尾回数を増やしても、雌にとっては何の得にもならない。一方、雄は精子の数以上にに雄を受け入れてくれる雌の数、つまり交尾成功率によって子孫の数が決まる。

その結果。雌に選択権が与えられて雄は限られた雌個体をめぐって争うことになる。多くの動物で、雄は求愛行動や交尾に積極的で、雌は消極的な理由はここにある。繁殖期だけに大きな角をもつヘラジカでは、闘争に勝利した雄のみが雌へのアクセスを独占し、角の小さな雄は戦いをさける。砲艦外交のような派内であるが、無駄な出血を避け、生存競争を雄のみに行わせて子孫の数を左右する雌は温存する戦略の帰結であろう。

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2019年10月20日

【定説】分子進化の中立説とは、どのようなものか。

●突然変異と進化の定義
個体に起こるDNA上の変化を突然変異と呼ぶ。一個体のDNA上に生じた突然変異が集団全体に広まり、DNAが種として変化しその変化がDNAに刻印される。これを進化と言う。

●ダーウィンの自然選択(淘汰)説「最適者が生存する」「強いものが生き残る」
生存に有利な変異or環境に適応した変異が、自然選択によって種に広まる。個体の生存に不利に働く突然変異は、個体の死という形で集団から除去され、広まらない。これも自然選択の結果である。表現型(目に見える身体の形態)については、今日でも正しいとされている。

●1968年木村の分子進化の中立説「もっとも幸運なものが生き残る」
確かに、目に見える形態では、突然変異のうち環境に最も適した変異が選択され、それが種全体に広まって進化が起こる。ところが、DNAや遺伝子、タンパク質といった分子レベルでは自然淘汰による進化は稀で、有利でもなく、不利でもない、中立な変異が偶然に集団に広まった結果、進化が起こる。(不利な突然変異は集団から除去され進化に寄与しない。有利な変異も無視できるほど少ない。∴集団に広まる突然変異のほとんどは中立的な変異)
中立説が登場した背景は、1960年代から隆盛した分子生物学で、アミノ酸の変化速度が推定できるようになったこと。それによって分子レベルでの変異は、目に見える形態の変異よりもはるかに速く多く起こっており、また、形態変異とは関係なく起こることがわかった。
進化におけるDNA塩基の置換え速度は、アミノ酸に変化を起こさない置換え(→形態を変化させない置換え)の方が、変化を起こす置換え(→形態を変化させる置換え)よりもはるかに速い。このように進化の過程では、形態を変異させないDNA塩基の置換えの方が、種内に大きな速度で蓄積してきたことがはっきりした。
また、タンパク質の機能上重要な部位ではアミノ酸の変化は観察されず、長い進化の過程でも不変。重要でない部位ではアミノ酸の変化が起きるが、アミノ酸が変化してもタンパク質の構造はほとんど変わらない。このように、種に広がる変異の多くは、従来の機能を保存するような中立的な変異である。これが中立説の主張である。

●中立説と自然選択説の対立~折り合い
中立説の発表当時はダーウィンの自然淘汰説全盛の時代で、有害な変異を除くとDNAに蓄積された変異の大部分は中立な変異で、それが偶然に集団に広まったいう中立説は抵抗にあったが、木村は1983年『分子進化の中立説』で中立説-淘汰説論争に終止符を打った。
現在では、中立説は自然選択説と折り合いがついている。
➀有害な変異は自然選択の力で集団から除去される。(中立説・自然選択説に共通)
②DNAに蓄積した大部分の変異は中立な変異で、それは偶然に集団に広まった変異とされる。(中立説)
③残りの僅かな有利な変異が、目で見える形態レベルの進化に寄与する。この僅かな有利な変異に自然選択が働く。(自然選択説)
※木村は「分子進化→形態進化の繋がり」を課題として後進に託したが、中立変異のうち有用・必要なものが作動して形態変異する仕組みは、未だによくわかっていない。

●中立説の傍証
①分子時計(分子進化速度の一定性)
木村が中立説を発表した当時、分子時計説が登場。例えば、アミノ酸の変化が形態の進化とは無関係に、一定の変化速度で蓄積するということは、進化生物学者にとって衝撃だった。この分子時計(分子進化速度の一定性)は、中立説で容易に説明できるのに対して、自然選択説では説明できないと考えられた。
中立説では、分子進化速度kは総突然変異率μに対する中立な突然変異の割合fに比例する。
分子進化速度k=中立な突然変異の割合f・総突然変異率μ (1)
一方、自然選択説で分子進化速度一定を説明しようとすると、集団を形成する個体の数、適応度、突然変異率など幾つもの変数があって、進化速度を一定に保つ様な変数の組合せがあるとは考えにくい。

②偽遺伝子(役立たずの痕跡的な遺伝子)
遺伝子の塩基配列からタンパク質を作る際、3組の塩基を一つのアミノ酸に対応させるが、タンパク質の情報を担う塩基配列に欠失や挿入が起こると、正常なタンパク質の情報が失われ、遺伝子は死んでしまう。塩基配列は正常な遺伝子と似ているが、途中から出鱈目めなアミノ酸の配列になる。こうした遺伝子を偽遺伝子と呼び、DNA上にたくさん存在する。偽遺伝子は遺伝子コピーの失敗作であり、完全に機能を失っているので、偽遺伝子上の突然変異は個体にとっては害にも有利にもならない。全ての変異は中立な変異ばかりである。
 また、偽遺伝子では有利な変異は何一つ起きず、全てが中立な変異ばかりで、自然選択が働かないので、自然選択説では偽遺伝子は進化しないとされる。一方、中立説では、分子進化速度は(1)式から中立な突然変異率fで決まる。偽遺伝子は有害な変異がないので(f =1)、最大のスピードで進化することになる。中立論者は偽遺伝子は最大のスピードで進化すると予想し、淘汰論者は偽遺伝子では全く進化が起きないと予言した。1980年に偽遺伝子が発見された時、中立論者は偽遺伝子の進化のスピードを計算し、偽遺伝子が最大のスピードで進化していることを発見した。こうして、偽遺伝子は中立進化の証拠となった。

【参考】「分子進化学の基礎」宮田隆
「分子進化の中立説」宮田隆
「分子進化の中立説 ~木村資生と中立説」遺伝学電子博物館

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2019年10月18日

カンブリア紀 ~生物はいかにして「眼」を獲得したのか?~

★カンブリア紀になぜ動物たちの間に突如多彩な表現型の生物たちが現れたのか?

以下、「眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く」(リンク)を要約します。

進化に「最適な環境」や「きっかけ」が必要だったはずです。では、その「最適な環境」もしくは「きっかけ」とは何だったのでしょうか?そこにはいくつかの説があります。
(1)「酸素濃度の急激な増加」、「二酸化炭素濃度の減少」
これにより、生物がより大きなエネルギーを利用できるようになり、それがより広い地域に対応するための進化のエネルギーになったのではないか?
(2)「利用可能なリンの量が増えた」
地表から溶け出したリン酸カルシウムにより、生物の骨格の発達し、それにより進化が可能になったのではないか?
(3)「大陸棚面積の増大」
浅い海である大陸棚が広がることで光合成が可能な地域が増え、それが植物プランクトンを増やし、生物全体の絶対量や行動範囲を拡大させ、それが進化にはずみをつけた。

しかし、これらの説はどれも仮説であり、定説と言えるようなものは今まで存在していませんでした。この科学界における最大の疑問のひとつに大いなる解答を出して見せたのが、「眼」の誕生です。カンブリア紀の化石調査から、最初に眼を獲得した生物は、三葉虫の一種だと考えられています。アンドリュー・パーカー著『眼の誕生』によれば、生物が「眼」を持ったことで、進化のスピードが急激にアップし、「カンブリア紀の大爆発」に結びついた考えられています。

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先カンブリア時代には、競争や捕食が主要な淘汰圧になることはなかったはずですが、足場を固めつつあったことはたしかです。先カンブリア時代のエディアカラ動物は、徐々に脳を発達させつつありました。環境中の刺激や新奇なものを感知し、その情報を処理する方法を発達させつつあったのです。また、噛み砕く能力を進化させている最中で、附属肢には徐々に硬組織の萌芽が現れつつありました。

光感受性をもつ部位が、その精度を増し、しかも別個のユニットに分かれつつあったのです。個々のユニットから出ている神経がその数を増し、それにつながる脳細胞の数も増えていきました。それらの神経や脳細胞は、数を増すか、他の感覚に接続する配線や処理システムが借用されるかしていました。それと同時に、個々のユニットの覆いがふくらみ、集光力をもちはじめた。ある日、そうした変化がクライマックスに達し、複眼が形成されました。

眼が開けば動物の大きさも、形も、色もわかります。さらに、その行動も見てとれるので、逃げ足はどれくらい速いか、捕まえられるかどうかの判断もでます。動物のそのような特性は、カンブリア紀のはじめ、眼をそなえた最初の積極果敢な捕食者が地上に導入されたとたんに重要性を帯びるようになりました。そしてこの時点から、すべての動物が光に、つまり視覚に適応しなくてはならなくなったのです。

★最初の「眼」とは、どんなものだったのか?
「植物」が光に反応して向きを変えるように、単なる光に反応するセンサーの一種「光受容細胞」だったと考えられます。そして、その「光受容細胞」が精度を高めるためにより集積することで、より優秀な光感知システムができてゆきます。「眼」の出発点となったのは、光感受性のある皮膚の斑点でした。これが内側にへこみはじめ、さらにどんどん陥入して検知器を形成し、光の方向に対する感受性を増していったと考えられます。それが「眼杯」を誕生させました。そこで道は分かれます。眼杯はそこで袋小路に達し、別の道はオウムガイの窩眼へといたりました。そこでまた、今度はレンズを発達させる道へと分かれ、最終的には脊椎動物に典型的なカメラ眼へといたることになります。

眼が誕生するのは、光受容細胞が本格化して「網膜」を形成したとき、すなわち、眼の内側が神経細胞の薄い膜で覆われたときである。網膜は、そこに投影された像ならば何でも正確に検知するため、何らかの装置をつけ足して、網膜上に鮮明な像を結ぶことが肝要です。光の採り入れ口の数によって、眼は単眼と複眼の二種類に分類できます。

眼のレンズ部分が少しずつ進化することは、ごく自然にありうることと考えられます。問題はそうやって得られた光の情報を脳に伝え、それを映像へと処理する高度なシステムの誕生です。そこには、視覚以外の感覚に対する脳の進化が不可欠だったと考えられます。それこそが、「眼の誕生」にとって完成への最後のステップでした。幸にして生物の脳は確実に進化し続けていたため、高度な視覚情報の受け入れ準備はできつつあったと考えられます。そうやって成長した脳の機能に、ある時、偶然視覚情報が流れ込み、それを混乱しながらも脳がなんとか処理してしまった時、原始的な「眼のシステム」が誕生したと考えられます。

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2019年10月14日

生体内元素転換の仕組み⇒α粒子(陽子2個+中性子2個)の結合・分離

●ケルヴランの仮説
ケルヴランはその著『生物学的元素転換』において、生体内元素転換は陽子2個+中性子2個のα粒子の結合・分裂によって元素転換すると唱えている。

α粒子とは、陽子2個と中性子2個が結合したもので、ヘリウム原子核に等しい。
放射性元素の壊変様式の一つがα崩壊。放射性元素がα粒子を放出して別の核種に転換する。特に重い元素に多く、ウラン系列やトリウム系列など超ウラン元素で観察される。

陽子でも中性子でもなく、結合したα粒子という形で放出されるのは、α粒子は陽子と中性子が結合したものにもかかわらず、あたかも一つの粒子のような安定性を持つから。
ケルヴランは、原子核の内部においてもα粒子を基本単位とする核子の集合構造が存在すると考え、自ら実験・観察した元素転換の反応形式と照合した上で、次の仮説を立てた。

α粒子を単位とする核子集合は原子核内部において、他の核子集合と比較的弱い結合をしているので、この核子集合はわずかなエネルギーで相互に結合・分離することができる。それによって様々な元素転換が可能になる、という仮説である。

●既存の原子物理学でもα粒子を基本とする核子構造は容認されており、「αクラスター(集合)構造」と呼ばれている。
宇宙ではヘリウムHe(α粒子)同士が核融合して、α粒子の整数倍の元素ができる。この核融合反応はα反応と呼ばれている。
He(2)+He(2)→ベリリウムBe(4)
Be(4)+He(2)→炭素C(6)
C(6)  +He(2)→酸素O(8)
O(8)  +He(2)→ネオンNe(10)
Ne(10)+He(2)→マグネシウムMg(12)
Mg(12)+He(2)→珪素Si(14)

●ケルヴランの生物学的元素転換の主要元素は、原子番号20のカルシウムまでの軽い元素が中心だが、α粒子の整数倍に相当する元素が、ケルヴランの生物学的元素転換の3つ回路の中でも骨格的な役割を果たしている。
1α=ヘリウムHe 3α=炭素C 4α=酸素O  6α=マグネシウムMg 7α=珪素Si 8α=硫黄S 10α=カルシウムCa
(希ガス類の5α=ネオンNeや9α=アルゴンArを除く)

特に酸素・炭素は結合・分裂することで元素転換を媒介する。
中でも、非常に安定した原子核とされている4α酸素と10αカルシウムが重要な役割を果たしているらしい。

●生体内原子転換のパターン(ケルヴランの実験と観察による)

アルカリループアルカリループの原子転換
 カリウムK+水素H=カルシウムCa
 ナトリウムNa+水素H=マグネシウムMg
 ナトリウムNa+酸素O=カリウムK
 マグネシウムMg+酸素O=カルシウムCa
アルカリ・ループは酸素と水素を媒介として四つのアルカリ元素K・Na・Mg・Caが相互に転換するもの。生物界・地質の領域に広範に観察され、動植物の代謝作用にも関与する。

ジオループジオループの原子転換
 炭素C+酸素O=珪素Si
 珪素Si+炭素C=カルシウムCa
 炭素C+炭素C=マグネシウムMg
 マグネシウムMg+水素H=アルミニウムAl
ジオ・ループは特に地質現象、岩石や土壌における元素転換と密接なつながりをもち、炭素を媒介とする反応が大きな特徴。珪素からカルシウムを生み出す。

 

バイオループバイオループの原子転換
 窒素N+酸素O=リンP
 酸素O+酸素O=硫黄S
 リンP+水素H=硫黄S
 弗素F+炭素C=リンP
バイオ・ループは有機体にとって基本的な元素が中心となる反応であり、生体における関連性も深い。また常温で気体になる元素は、分子自体が元素転換を起こすという特徴をもつ。

●佐野千遥の光合成=常温核融合説も、α粒子の結合・分離説

酸素原子内のα粒子が炭素原子核に移動して、酸素→炭素、炭素→酸素に元素転換する。その結果、化学反応では作り出し得ないCH2の構造が出現するというのが佐野説。

H2Oの酸素O→C+α粒子(陽子2+中性子2)、H2O→CH2+α粒子(陽子2+中性子2)

CO2の炭素C+α粒子(陽子2+中性子2)→酸素原子Oとなり、CO2→O+O2。

6H2O+6CO2+光→6 CH2+6O+6O2→C6H12O6(ブドウ糖)+6O2

このように、α粒子の結合・分離によって元素転換が起きるという点ではケルヴランも佐野も共通。

 

 

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