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2023年04月24日

日本の世界観はどのようにして創られたのか③~縄文の「縄」に見る性的結合と生命循環の世界~

縄文時代は、縄文土器の「縄文」から時代の呼び名をとっていますが、なぜ縄を模したものが日本では多用されているのでしょうか。縄文土器からは美しさを感じ、しめ縄には神々しさを感じられますが、こうしてみるとなぜ「縄」なんでしょうか。

「縄文土器百花繚乱~豪華絢爛な縄文時代中期の土器~」@多摩市関戸公民館ギャラリー

画像はコチラからお借りしました。

画像はコチラからお借りしました。

というのも縄自体は世界中に存在しているからです。物を縛ったり、固定したりする目的で、狩猟民族にせよ農耕民族にせよ漁労民族にせよ生活に必要であるとされ、ツタや小麦のわら、稲のわら、ツル、木の皮、葉っぱなど自然のものから作っていました。

つまり日本の縄には物的な意味合いのほかに、特別な意味合いが込められていると推測できます。単なる道具ではない(=何かの象徴)とすれば、「縄」に込められた特別な想いとは?「縄」という切り口で追求することにより、日本独自の世界観を見出せそうだと考えました。

そこで今回は、この「縄」に迫ってみたいと思います。

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  • 蛇との着想

法政大学・吉野裕子氏によると、しめ縄の形は『蛇の交尾』を擬したものだと言われています。

興味のある方は、交尾している動画をご覧ください※苦手な方はお気を付けください。

画像は以前の投稿から引用しました。

 

氏は著書『蛇 日本の蛇信仰』で、蛇の形体・生態から各地の信仰・風習を説き、蛇信仰が如何に日本人のなかに浸透しているかを述べています。以下にその一部を紹介します。

日本の蛇信仰は縄文時代の昔より引き継がれており、縄文人が蛇に寄せた思いの源は

・蛇の形が男根を思わせること

・蝮などの強烈な生命力と、その毒で敵を一撃のもとに倒す強さ

・脱皮により生まれ清まる再生力

 

また大島直行著『月と蛇と縄文人』でも次のように紹介されています。

蛇の不死や再生能力に気づいていた縄文人は、きつく絡み合うオスとメスの交合の様子を「縄」で模倣し、土器の表面に回転させたり押し付けたりして、「縄文」として表現したのです。縄文土器に長きにわたって「縄文」が描かれ続けたのは、縄文人にとって不死や再生が重要な観念として確立されていたからでしょう。それをシンボライズするものとして選ばれたのが蛇だったのです。

 

 

  • 縄に込められた特別な想い

また蛇からではなくても、「縄」自体が性的結合のシンボルであったことも想像できるのではないでしょうか。

太い素材を使って、太い縄を編むときは、夫婦、あるいはムラじゅうの共同作業になります。力を合わせ、2本の茎材をからませて縒り、この縒り合わせが性的結合を連想させ、それを暗示する労働歌なども歌われたかもしれません。あるいは男女のかけ合いという具合に。

画像はコチラからお借りしました。

同時に、縄目は終わりなく巡りまわる生命循環の着想を得やすいです。

ちなみに縄文の夫婦は、人口を維持するのに一人の女性が、最低8人の子を産まなければならなかったそうです。共同体の人口増加を願うなら、15歳から産み始めたとして、30歳をわずかに越える平均寿命の終わりまでに、9人、10人と産み続けねばならないことになります。そうして生まれた子の半数以上は成人しないため、縄文の女胎に休む暇などなく、竪穴住居の中では、目まぐるしく生と死が入れ替わっていきます。

とめどない生死の交替の中で、むしろ死は終わりではない、生死は縄目のように終わりなく循環する、という観念が形成されていきました。

画像は以前の投稿から引用しました。

 

いかがでしたでしょうか。

こう考えると、縄文時代を代表する土器の縄文様やしめ縄には、こういった「性的結合・生命循環」の精神世界を垣間見ることができますね。世界的に見ても、蛇は「力の象徴」で縄張りを守ってくれる存在であるのに対して、「一体化と循環を司る→つまり自然エネルギー(波動)そのもの」と捉えた日本人の世界観には、とても独自性を感じます。

引き続き日本人の世界観を追求していきます。

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