前回の記事では、火、発酵の発見を事例として、縄文人がどのように、何?→何で?→構造化を深めていったのかのイメージをしてみました。
今回の記事では、そのときに、観念追求を促進させたポイントはどこか?を深めたいと思います。大きく、2つの視点を挙げてみたいと思います。
■一体化が活力源であった
前々回の記事で、一体化に全面収束して観念追求をしながら適応してきたことが、人類の、他の生物と異なる大きな特性(適応戦略)であるということを扱いました。
人類の追求の原動力は何か?②~人類はどのように本質に迫っていっているのか~
追求における不整合と一体化の過程は、大きく3つの段階がありました。
①不整合を感じたら、交信や同期に向かう
②本質の抽出過程で、再度、交信や同期に向かう
③だいぶ、構造化できてきたとしても、もう一度、交信や同期に向かう
それぞれの段階において、一体化が起点であり、交信や同期に立ち返り追求することが、活力源になっているということがポイントだと思います。
道具であれ、自然現象であれ、何かを表す新しい言葉であれ、追求の中で新しく不整合をキャッチした縄文人は、それを仲間と共有して、同期と共振をしながら、「こうしたらうまくいった」「こうしたらもっとできるかもしれない」といった気持ちを増幅させていき、それが、やる気と成果を相互に上昇させていったように思います。
■3つの段階は常に繰り返されている
この①~③の3つの段階は、最初は少しずつ、できるようになっていったと思われますが、1段階目をマスターしたら次にいけるようなものではなく、絶えず繰り返すもの、という捉え方が重要ではないかと思います。
なぜ繰り返し(何度も交信へ立ち返る)が必要となるかというと、不整合が生じたときに、今掴んでいる一体化の地平では、突破できない、ということが起こるからです。
これは、現代人にとっても同じことが言えます。例えば、仕事で相手が期待していると思ってやってみたら、どうも反応がイマイチだった。そのときに、小手先で違う方法や、なんで?を考えてみてもをやってもうまくいきませんよね。突破口を探すには、そもそも相手の欠乏がどこにあるのか、一番初めの交信に戻ってさらに対象を広げる必要があります。
縄文人も、3つの段階を何度も繰り返していたからこそ、本質や構造化を洗練させ、たくさんの素材の加工や、衣食住で、さまざまな新しい技術をつくることができたのだと思います。彼らがつくった土器や建物にエネルギーを感じるのは、仲間や万物と何度も一体化し、本質を見出していった姿を、その造形や、女性や蛇のモチーフから感じられるからではないでしょうか。
あらためて、人類や縄文人の追求力の根幹部分を見ていくと、現代人が学ぶべき思考方法がたくさん見えてきます。婚姻史ブログでは、引き続き、哺乳類~サル~始原人類~縄文人に着目し、私たちがどのような頭の使い方をすれば、集団の追求力を高められるのか、活力を生み出せるのかを、追求していきたいと思います。