2023年03月25日
中国の世界観はどのようにして作られたのか
日本、中国、西アジア
それぞれ歩んできた歴史、環境の違いによって、思考の特徴、もっといえば世界観が違います。中国や欧米の方々と仕事をするときは、その世界観の違いに苦労することありますよね。相手の世界観を理解すること無しに、表面的に合わせても上手くいきません。ということで今回は中国の世界観を深堀してみたいと思います。
中国の世界観を特徴的に現しているものとして、風水や陰陽五行、占星術がありますね。ここを切り口に考えてみたいと思います。
中国の占星術
中国占星術はその哲学や技術において、西洋占星術とは大きく異なるものなのである。一般的に、中国では「私たちの人生は三つの運命に支配されている」と考えられている。一つ目はまったく変えることのできない「天命」、二つ目はある程度変更可能な「地命」、三つ目はその人自身の個性によって決まる「人命」である。中国占星術の目的は、私たちが誕生の瞬間に与えられた「天命」を理解することにある。中国占星術は、地球が奏でる自然なリズム―時間、四季、潮流、月の満ち欠け―を重視した占いである。
株式会社ガイアブックスより引用
中国にはもともと天信仰があります。西洋占星術とは異なる「二十八宿」と呼ばれる天の赤道に沿って作られた28の星座があり、 紀元前8~6世紀頃には原型が成立。紀元前5~4世紀頃には身分制度が反映された250 あまりの星座がつくられ、北極星を天の皇帝とし、 そこから皇族、官僚、軍隊、庶民…といった星座が配列され、 天の北極から遠ざかるほど庶民的な星座になります。不変の天に、地上の身分社会を転写し、天の些細な変化を読み取り政治に反映する。天を知るのは皇帝のみ許されたことであり、天の変化を皇帝に伝える占星術師は特権階級になります。
地の信仰
そしてもう一つ、中国には地の信仰があります。後の陰陽五行ですね。
地のエネルギーの流れを、陰と陽/月と日/木・火・土・金・水/の相関関係で示し、地の理に調和した物事を解明するというものです。日本にも5世紀ごろに伝わり、今でも馴染みのある干支も元は中国の陰陽五行となります。(干支の「え」は陽、「と」は陰)
この天と地の信仰はどのようにして中国で作られ統合されていったのでしょうか。
もともと天は、天体の運動を導きに生活している遊牧部族固有の信仰。
そして地は、大地のエネルギーにより生活している農耕部族固有の信仰。
中国は中央アジア~モンゴル高原の遊牧部族と、黄河流域の農耕部族が度々融合・転身し、部族連合となり国家へと発展していきますが、異なる信仰をもつ遊牧部族と農耕部族を統合するためには、夫々の天と地の信仰の統合が不可欠となります。どのようにして統合していったのでしょうか。そこに中国の思考の本質が垣間見えます。
中国には、天と地が生まれる以前の世界を描いた創世神話があります。
混沌たる宇宙 他文明の神話伝説と同様に,中国の神話伝説でも宇宙天地が切り拓かれたことによって 盤古は生成したとされている。 天地宇宙が未だ切り拓かれていなかったときは,陰陽や四季や萬物がなく, 「冯冯翼翼,洞洞灟灟」「汪然平靜,寂然清澄,莫見其形」という混沌たる状態であった。 天地が鶏卵のように混沌であり,盤古がその中で生まれ,一万八千歳である。天と地 が分かれ,陽と清が天となり,陰と濁が地となる。盤古はその中におり,一日九回変化し, 天地ほど神聖である。天が一日に一丈高まり,地が一日に一丈厚くなり,盤古も一日に 一丈伸びる。このようにして,一万八千年を経ち,天が数極高くなり,地が数極深くなり, 盤古はきわめて長く成長してきた。のちに,三皇が生まれた。数は一から始まり,三に立ち, 五に成り,七に盛り,九に拠る。ゆえに,天と地の距離は九万里である。 始めに,盤古が生まれたが,死にかけて体を分化する。息は風雲となり,声が雷霆となり, 左の眼が日となり,右の眼が月となり,四肢五体が四極と五岳となり,血液が江と河と なり,筋と脈が地理となり,肉が田地となり,発毛と髭が星辰となり,皮膚が草木となり, 歯と骨が金石となり,精髄が珠玉となり,汗が雨となる。
こちらの論文から引用しました。
面白いですよね。天と地の信仰を統合するために、天と地に分かれる前の世界観がどうであったかを探求し、その世界観を共有すること統合していったように思われます。この神話を絵空事のように感じる方もいるかもしれませんが、地球誕生の時代をイメージするとあながち絵空事でもないような・・・
この他にも中国固有の龍信仰がありますが、龍はさまざまな動物を一部分ずつ合体させた形になっていおり、異なるものを統合、融合させる中国人ならではの特徴がみえます。
異なる物事を統合するために、根源に遡って統合する。
中国の世界観の土台になっているのではないでしょうか。
- posted by kida at : 2023年03月25日 | コメント (0件)| トラックバック (0)
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