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2021年10月01日

授乳期間の延長で知能が発達

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(写真はこちらからお借りしました)

オランウータンは歯や骨格、右左脳の非対称など、形態的にはチンパンジーよりヒトに近い。子どもの骨格は人間とそっくりです。学術的にはヒトはチンパンジーから進化したと言われていますが、未確立な遺伝子学に基づく部分が大きく、アフリカ起源にこだわらなければ、東南アジアのオランウータンが人類になったと考えた方が自然です。人類の婚姻様式、その根幹である雌雄関係について、オランウータンに注目することで、今後の参考になる原理が見えてくるかもしれません。

まずは、人類につながりそうなポイントである授乳期間の延長について、オランウータンがなぜそうしたのか。そこでの雌雄の戦略、関係性がどう関係しているのかを考えていきましょう。

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生物史上、オランウータンが登場したのは、約1,000~2,000万年前。それ以前のサル社会は原猿と樹上に適応したオナガザル系とテナガザル系が存在します。樹上世界を埋め尽くしたサルの中で豊かな領域を制覇したのはオナガザルです。木々の間を長いしっぽを使って俊敏に動き、広い縄張りと高い防衛力を獲得しています。

このオナガの中で闘いに敗れ、追いやられた樹冠の環境に適応したのがテナガザル(我々の祖先)だと考えらえれます。細い枝を掴みながら移動し、ぶら下がりながら葉っぱや木の実を取って食べる。しかし、熱帯雨林の木の実は一時期しかないので、それ以外の時には葉っぱも食べます。苦しい時には飢餓状態に陥ったかもしれません。個体数は減少し、食糧不足でオナガが侵出してくれば、多くは絶滅したはずです。

しかし、その中でも辛うじて生き延びた種がいました。とった戦略のひとつが、授乳期間の延長だと考えられます。授乳期間を進化順に並べると、モグラ1か月、原猿6か月、オナガザル6か月~2年、テナガザル2年。比較的小さいシロテナガザルでも授乳期間は長くなっています。授乳期間を長くすることで個体数を減らし、縄張り闘争の圧力を緩和したと考えられます。

哺乳類は元々、胎内保育によって低下した淘汰圧力を高めるために性闘争を強化した適応戦略をもっています。でもエサが少ない場合は、一定育った成体が死んでいくので生産性が悪い。そこで、個体数をあらかじめ減らす方向に適応していったと考えられます。性闘争も緩和されました。

授乳期間の延長は、どうやって実現したのでしょうか。それは、メスが母子間の親和物質を強化したと考えられます。結果、母子が一緒に過ごす期間が長くなります。実際、性成熟も延長され、オナガザルが3~6年に対して、テナガザルは6~10年かかっています。

そして、親和機能の強化は、母子=同類間の対象化能力を高める効果があります。これが認識機能を向上させ、知能進化を促したはずです。これは雄にも継承されるので、雄同士の性闘争の際には、相手を見るだけで、あるいは声だけで勝敗を決するという能力にも結び付いていったと考えられます。この親和機能強化による知能進化は、豊かな地域では雄の集団化も可能にするかもしれません。また、母子密着は、母は獲得した習慣をより多く子へ継承していくことも可能になります。

かくして、親和機能の強化により授乳期間を延長し、知能を発達させたテナガザルは、大型化した一派がオランウータンになり、人類に進化したと考えられます。

では、なぜ餌が少ないのに大型化の道を選んだのでしょうか。

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