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2021年10月07日

食性の変化で大型化していったオランウータン

前回の記事(授乳期間の延長で知能が発達)では、テナガザルの一種がオナガザルに追いやられた樹冠で生き延びていくため、授乳期間を延長することによって個体数を減らし、縄張り闘争の圧力を緩和するとともに知能も発達させたことを扱いました。

今回はこの知能発達とともに、テナガザルがどのようにして80㎏もあるオラウータンへと大型化できたのか、その謎に迫りたいと思います。

 

まずテナガザルの食性は、66%が果物、24%は葉、9%は昆虫、残り1%は花と言われています。

但し、生息域でもある東南アジアの熱帯雨林では、数年に一度、多くの種が一斉に果実が結実します。一斉結実の翌年以降は数年後まで結実しないため、果物がある年に食いだめする、もしくは葉や昆虫を中心に食べる必要が出てきます。

 

ここで現在のオランウータンの食性も比較して見てみますと、果実が61%、葉が22%、そして樹皮が12%、その他花や昆虫等を食べています。ここで注目したいのが樹皮も食べているということですが、恐らく樹液や小さな昆虫を摂取するために樹皮を齧っていくうちに食べられるようになっていったのでしょうか。

オランウータンの食性(画像はコチラからお借りしました)

樹皮を食べるオランウータン(画像はコチラからお借りしました)

 

樹皮を食べるようになったテナガは、より硬い繊維を分解できるようになるために大型化していったと考えられます。

(一般的に、草食動物の中で大型の種が多い理由は、肉と比べて草から摂取できる栄養素(タンパク質やアミノ酸類など)の量が少ないため、大量に草を食べ、硬い細胞壁を長い時間をかけて分解する必要性から、消化器系の内臓の体積を拡張⇒体全体の大型化に繋がっています。)

 

また、オランウータンは5~8年程で乳歯から永久歯に生え変わり、それまでは母乳も飲むことが分かっています。そして永久歯に生え変わった後には親離れし、独立した生活をします。この頃には樹皮も食べられるでしょうから、食性の変化も授乳期間の延長(⇒知能発達)に繋がっているのではないでしょうか。

 

こうして徐々に大型進化していったテナガ=オランウータンは、樹高10~30m程の生息域の中で外敵からの圧力も減り、樹皮も食べられる豊かな採食環境の中で更に大型化を進めていったと考えられます。

オランウータンの生息域(画像はコチラからお借りしました)

 

授乳期間の延長による知能発達、そして大型化するにつれ、どのような社会性、オスメスの性充足となる親和基盤を獲得していったのか、人類の雌雄関係のヒントを探ってみたいと思います。

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