『縄文人の起源は北方か南方か① [1]、② [2]』では、佐原眞氏による縄文文化の観点(竪穴式住居・縄文土器)から、縄文人の起源は北方ではないかという説を紹介しました。
今回は、埴原和郎氏によって提唱された二重構造モデルを押さえていきたいと思います。
埴原氏の専門は形態人類学という分野で、頭骨・身長・歯などの測定結果から、日本人の起源に言及されています。埴原氏の説を以下にまとめます。
【日本人の二重構造モデル】
①日本列島の最初の居住者は、東南アジア系の旧石器時代人であり、アイヌや縄文人はその子孫である。
②弥生時代に第二の移動の波が北東アジアより到来し、これら二系統の集団は日本列島内で徐々に混血したが、この混血は現在も続いており、その意味で日本人の集団には二重構造が存在する。
●頭骨計測値に基づく日本人の時代的変化
[4]
●縄文人と弥生人の人骨比較
[5]【縄文人】 頭の形は当時としては大頭であり、全体的に高さが低い割に横幅が広い。頬骨が横に張り出し、顎のエラの発達もよく、顔全体は四角くごつい感じをしている。眉間や眉の部分が突出し、鼻の付け根は引っ込んでいるが、鼻梁は高い。眼窩の形は直線的で丈の低い四角形に近い形をしている。
【弥生人】 弥生人骨は縄文人に比べて一見してのっぺりした面長の特徴を示している。眼窩の上縁は丸みを帯び,鼻根部は扁平性が強くなっている。身長も古代人としてはかなり高く,男性で平均163cm前後ある。全身的には胴長短足傾向が強い。
縄文人(及び旧石器時代の湊川人)の人骨が、中国南部の柳江人やジャワのワジャク人 に似ているの対し、弥生人の人骨が中国北部(河北省)の山頂洞人に似ていることから、縄文人=南方出自、弥生人=北方出自ではないかと、埴原氏は推論しています。二重構造モデルでは、更に以下の2つの学説を理論的な根拠としています。
●アレンの法則
寒冷地方の動物は体の突出部が少なく、丸みを帯びているという学説。指先・鼻・耳などは冷えやすく、体温の発散を防ぐためにも、寒い地域では丸みを帯びた体型を持つ方が有利であり、逆に暑い地方では体の突出部の面積を増やし発熱効率を上げたほうが有利であるとされています。従って、ノッペリとした顔立ちは北方系であり、堀の深い顔立ちは南方系ではないか、ということが埴原氏の論拠の一つです。
●ベルクマンの法則
寒冷な地方では体が大きくなり、熱帯地方では小さくなるという学説。体内に蓄熱される熱量と、体表面から放散される熱量のバランスから、体が大きいほうが質量(体重)に比べ体表面積の比率が少なくなります。従って、寒い地方では体が大きいほうが有利。動物の例でいえば、北極グマ>北海道のヒグマ>本州のツキノワグマ>南方のマレーグマの順で体が大きくなります。
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今回は埴原和郎氏の二重構造モデルを通して、人骨の観点から日本人の起源に迫る説を紹介しました。次回、ウイルスやDNAの観点からみた諸説を紹介したいと思います。(世界のマツヒデ)
【参考】
・『日本人の成り立ち』埴原和郎著
・『日本人の起源 [6]』
・『歯の豆辞典(日本人の歴史) [7]』
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