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【東南アジアにおける、南方モンゴロイド的社会とその可能性を探る】1-1南方モンゴロイドって何、その特徴は

 東南アジアにおける、南方モンゴロイド的社会とその可能性を探るシリーズ、第1回目です。
 東南アジアの可能性を探っていく上で、非常に重要なファクターになってきそうな「南方モンゴロイド」とはどのような人達なのでしょうか?初回はまずそのあたりから紹介していくことにします。
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●モンゴロイドとは
 人類はアフリカを出て全世界に拡散していきますが、その過程で大きく4つの人種に分化していきました(ネグロイド、コーカソイド、モンゴロイド、オーストラロイド)。
 その中でもアフリカから東方へ向かった人種をモンゴロイドと呼びます。近年のDNA分析によれば、モンゴロイドはアフリカからアラビア半島・インド亜大陸を経由し、ヒマラヤ山脈・アラカン山脈以東に移住した人々が、周囲の自然環境により他の「人種」との交流を絶たれ、その結果独自の遺伝的変異及び環境適応を経た結果誕生した「人種」です。尚、その原初の居住地は、ヒマラヤ山脈及びアラカン山脈よりも東及び北側であるとされています。(ウィキペディアより)
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 一口にモンゴロイドといっても地域間での差異は大きく、実際、肌の色は、淡黄白色から褐色までかなりの幅があり、骨格、髪質も違いがあります(そのため、インディアンやイヌイットをアメリンドとして別人種とする分類もあります)。それはモンゴロイドが広範な地域に分布し、長い歴史の中で様々な外圧に適応してきた結果なのです。そのあたりの流れと共にモンゴロイドを大きく分類してその特徴を見ていきます。
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●原モンゴロイド
 原モンゴロイドの登場は5.5万年前のインドとされています(Y染色体分析による)。インドのドラヴィタ人はその末裔です。また5~4.5万年前には原モンゴロイドはアジアの南方(オーストラリア、スンダランド、中国南方)へと広がっていきます。
「モンゴロイドの歴史」2~人類の出アフリカとモンゴロイドの誕生~(リンク [4])より
■北方モンゴロイドと南方モンゴロイドの分化
●北方モンゴロイド
 4.6万年前頃、寒冷化に伴って、インドのインダス河流域にいた原モンゴロイドが北方のパミール高原・タリム盆地へと進出します。これはこの地域がヒマラヤ山脈の影響を受けて、寒冷化すると南方が乾燥化し、北方のパミール高原の方が湿潤化したためとかんがえられています。こうして北方へ進出したモンゴロイドは4万年前の温暖期には動物を追ってバルハシ湖からバイカル湖へと進出した。彼らを北方モンゴロイドと呼ぶこととします。
 原モンゴロイドの形質を強く残している北方モンゴロイドは、多様な交配が進む地域では後から枝分かれした新モンゴロイドの方が免疫力が強いため、基本的に絶滅していきました。他集団との交配の少なかった、アメリカ大陸とインドの原住民にかろうじて生き残っています。
シリーズ「モンゴロイドの歴史」3~原モンゴロイドの北上~(リンク [5])より

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●南方モンゴロイド
 南方のモンゴロイドは温暖湿潤で豊かなスンダランドを中心に、大きな移動を起こすこともなく、定着して南方に適応的な形質を強めていきました。しかし、1.4万年前から6千年前の温暖期には、極地の氷床が溶け出したことでスンダランドの水没が始まります。6千年前には完全に水没し、東南アジアの海岸線が現在の姿になったといわれています。この地で繁栄していた南方モンゴロイドは、スンダランドの縮小・水没を継起に拡散していくことになります。
■南方モンゴロイドから、北方適応した新モンゴロイドが枝分かれ
●スンダランドから南方モンゴロイドの拡散
 1.4万年前から6千年前の温暖期によって、スンダランドの縮小・水没に伴う大きな環境の変化という逆境に見舞われた南方モンゴロイドは可能性を求め拡散していきます。大きく6つのグループに分かれたのではないかと考えられます。
①南アジアを通って、インド亜大陸へ。
(インド亜大陸の原モンゴロイドと混血→【ドラヴィダ人】に)

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②南方のオーストラリア大陸へ。
(オーストラリア大陸に先住していたオーストラロイドと混血→【アボリジニ】に)

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③太平洋へと乗り出していく。
(【ポリネシア、メラネシア人】に)

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④海岸沿いに江南地方から中国全域に移動。
(【原中国人】に)

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⑤ガンジス川を遡上して、タリム盆地からモンゴル高原へ。その後、1.3~1.1万年前の極寒化に伴い、一方では西回りにチベット方面へ。(【チベット族】に)
もう一方では東回りに南下し朝鮮半島を越えて日本へ。(【縄文人】に)。

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⑥メコン川などの大河を伝って、チベット高原からタリム盆地へ。
(1万年前にはアルタイ山脈~モンゴル高原に到達し、【新モンゴロイド】に)
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シリーズ「モンゴロイドの歴史」4~南方モンゴロイドの拡散~(リンク [19])より
●南方モンゴロイドの特徴(新モンゴロイドとの比較)
スンダランドに長く留まっていた南方モンゴロイドと北方適応した新モンゴロイドでは、その身体的特徴は一般的に以下のように異なります。
  南方モンゴロイド  身体特徴   新モンゴロイド
          
  四角/長方形     顔形     丸/楕円
  直線        造作の線構成   曲線
  凹凸          プロフィル    なめらか
  立体的        彫りの深さ    平坦
  柔らかい直毛      髪質     硬い直毛
  太い/濃い/直線   眉     細い/薄い/半円
  濃い/多い       ヒゲ     薄い/少ない
  二重           まぶた      一重
  小さい          頬骨      大きい
  大きい/福耳     耳たぶ    小さい/貧乏耳
  湿る/飴耳       耳アカ    乾く/粉耳
  広い/高い        鼻     狭い/低い
  厚い            唇       薄い
  小さい           歯      大きい
  引き締まる       口元     出っ張り気味
  長い         四肢の末端     短い
  多い           体毛      少ない
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次回は、モンゴロイドの移動ルートと分化を辿り、日本人を初めとする南方モンゴロイドについて詳しく見ていきます。

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