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2007年02月25日

アメリカ先住民:イロクォイ族の母系社会

『アメリカ原住民の対偶婚』『狩猟部族の勇士婚はアメリカ原住民に見られる』そして『母系・父系の継承について』で紹介されている、母系婿入り婚のアメリカインディアン、イロクォイ族について調べてみました。
彼らは「イロクォイ族」と呼ばれますが正確には「イロクォイ部族連合」というべきで、カユーダ、オナイダ、オノンガータ、セネカ、モホークの5部族(後にタスカローナが加盟)から構成されされています。この部族連合という形態は、アメリカ合衆国建国時にその連邦制度のモデルとして大きな影響を与えたともいわれています。

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綾部恒雄監修『講座 世界の先住民族 北米』明石書店 より引用

●生産
イロクォイは17世紀初頭にはじめてヨーロッパ人の記録にあらわれるが、その頃は村落の周辺を切り拓いて、彼らが「3姉妹」と称するトウモロコシ、マメ、カボチャを中心に栽培する焼畑耕作を主な生業とし、その他シカなどの狩猟、さらに採集、漁捗を補足的に行っていた。
生業活動における男女の役割はきわめて明確に分割されていた。焼畑耕作においては森林の伐採や畑の開墾は主に男が行い、女は補助的な役割を果たすが、それに続く播種から収穫に至る労働はすべて女の仕事であった。
男は村落外での狩猟や交易などのために長期間、村から離れていることが多かったが、彼らが頻繁に遠征を行っていたもう1つの理由は繰り返し行われる戦争であった。その目的は部族の領土拡張や防衛ばかりではない。イロクォイの男は戦功によって個人の栄誉を手に入れることが理想とされていたのである。
焼畑耕作民の常として彼らも耕地の永続的利用はせず、おおよそ10年前後あるいは長い場合は25年くらいの周期で耕地を移動させるために広大な森林のなかの別の区画を切り拓く。切り拓いた耕地の中心に彼らの伝統的な家屋であるロングハウスをいくつか建てて村落をつくった。
ロングハウスは切り妻屋根の長方形で、短径約20メートル、長径は20数メートルから人数次第で40数メートルに達するものもあった。村落の規模と構成員の人数は必ずしも1定しているわけではなく、個人間のいさかいや集団問の葛藤、資源の供給状況や耕地移動、戦争などの社会的環境の変化に応じて、100年間におよそ十数キロから20数キロ4方の範囲を分裂と融合を繰り返しながら、規模の変化を伴いつつ移動した。
img014.jpgロングハウス
●社会
イロクォイは妻方居住制をとる母系出自制の社会である。各母系クランはクマ、オオカミなどのトーテム動物を持ち、部族の領土に広範に分散していた。一方、その下位集団である母系リニージ(親族集団)は通常、同1村落の1地域にまとまって集住していた。このリニージの下位単位である母系拡大家族が(小規模のリニージならリニージ単位で)同一ロングハウスに居住していた。
したがって1つのロングハウスは同一母系リニージのメンバーとその女性メンバーの夫たちで構成される。彼らはマトロン(リニージの高齢で影響力のある女性リーダー)によって統括されていた。ロングハウスを構成している小家族はロングハウス内に各々の炉とそのそばの仕切られた一画を占有し、そこに家族の銃や衣類、靴など身の回りのものをおいていた。
経済的単位すなわち世帯をなしていたのはロングハウスである。開墾は男の役割であったがその後の播種、中耕、除草、収穫は通常、ロングハウスが単位となって女たちが作業集団をつくり協同作業で行った。播種から収穫へと生産の全過程の管理・運営の統括はマトロンによって行われた。
収穫物はロングハウスの貯蔵庫へ収納され、各小家族への分配や消費、消費の禁止、保存などに関してマトロンが宋配をふるった。晩秋から冬にかけて男が主体となって狩猟を行うが、捕獲された獣肉の保存や分配は狩人が婿入した世帯すなわち妻のリニージのロングハウスのマトロンの管理下におかれた。
こうした生産活動を行う土地には部族、クラン、リニージそれぞれのレベルで占有権があり、その継承は占有権を持つりニージ、とりわけそのマトロンによって管理されていた。農耕用の生産用具や家財道具など女の個人所有とされるものは母系制ゆえに母親から娘など同一母系リニージ内で相続され、武具、狩猟具など男の個人所有物とされたものは通常、彼の母系リニージのメンバーに相続された。

イロクォイ族の女たちは、食糧の生産においても、部族連合の集団統合においても、大きな役割を担い集団の期待に応えていたようです。そんなイロクォイ族の女たちの活躍ぶりも調べてみようと思います。(@さいこう)
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「Dreamcatcherのお部屋」覗いてみました。
ファーストネーションズは、その生活域により①太平洋沿岸インディアン、②北東森林インディアン、③大平原インディアンに分かれるようです。
彼らの信仰は大きくは精霊信仰ですが、各々の生活域に応じて、その形態は様々です。
①職業に応じて色んな動物が守り神、②狩猟の実践と繋がっており熊が特に尊敬の対象、③大いなる精霊(太陽、サンダーバード、ドーン)を信仰、と各々の信仰の様式は、生産様式(外圧条件)と密接に関係しているんだなと感じます。

  • echo
  • 2007年3月20日 22:38

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