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2016年4月1日

2016年04月01日

ネアンデルタール人はなぜ滅亡したのか? 諸説の整理

ネアンデルタール人( Homo Sapiens Neanderthalensis )が何故滅亡したのかということは、現在でもはっきりと分かっていません。
現世人類の祖先は、クロマニオン人を代表とする新サピエンス型人類で、大体20万年以上過去に遡ることができます。他方、ネアンデルタール人も、20万年ほど過去に遡ることができます。

約10万年前、ヨーロッパに鋭利な剥片石器を特徴とするムスティエ文化があり、同じ頃、同様の特徴を持った文化が西アジア、アフリカにもありました。このムスティエ文化は、4万年前頃まで継続します。ムスティエ文化を持っていたのは、ネアンデルタール人と考えられます。

そこで、ムスティエ文化が消える頃、または消えた後で、ヨーロッパには、3万5千年から3万年前頃から、オーリニャック文化が生まれます。この文化は、後続して、洞窟壁画やヴィーナス像を伴います。また、骨製品なども伴います。この文化は、クロマニヨン人、新サピエンス型人類の文化と考えられています。

ネアンデルタール人が4万年前に滅亡したというのは、ムスティエ文化の終了・消失と関係があり、また、ネアンデルタール人の化石はムスティエ文化と共に出土し、オーリニャック文化時代には出てきません。

また、サピエンス型人類は、20万年以上前に遡ると書きましたが、10万前に始まるムスティエ文化の遺跡が見つかる、パレスティナのカルメル山のタブーン洞窟や、カフゼー洞窟などでは、ネアンデルタール人の化石骨が出土するのですが、またサピエンス型人類の化石骨も出土します。これについては、同じ時期に、ネアンデルタール人とサピエンス型人が共存していたのか、同じ洞窟に住んではいたが、居住年代が異なるのだという二つの説があります。同じ時期に共存していた場合、混血が起こった可能性があるのです。

ネアンデルタール人の滅亡の原因として、現在までに考えられた主要なものは、三つに分かれます。

1)新サピエンス型人類とネアンデルタール人のあいだで闘争などの生存競争があり、新サピエンス人がネアンデルタール人を滅ぼした。

2)新サピエンス型人類とネアンデルタール人は、長期に共存し、交配可能であったので、混血が進み、ネアンダルタール人は新サピエンス人に同化し吸収され、独立した生物類としては消えてしまった。

3)ネアンデルタール人と新サピエンス型人類は、共存し、別々の集落・集団を造って生活していたのであり、互いに干渉はなかったが、ネアンデルタール人は知的に限界があった為、新しい技術文化や共同体を創ることができず、人口減少して集団の基本母数を維持できなくなった。

ネアンデルタール人は、南北アメリカ大陸には進出しておらず、東アジアにも進出していないようですが、それでも、ヨーロッパ、中東、アフリカと広範囲に分布していました。気候変動と共に、適した土地に移動することができますから、やはり、生活領域の狭さによって、集団を存続させるための最低人口を維持できなくなった結果、少しずつ静かに消えて行ったのだと考えるのが適切だとも思われます。

ネアンデルタール人の化石遺骨は百体ぐらい見つかっていますが、特定の時点で見ると、世界中に存在したネアンデルタール人は、10万人程度の規模だったとも考えられています。対し、オーリニャック文化期の新サピエンス人は、百万人ぐらいに人口増加していたと考えられます。

(註:ホモ・サピエンス Homo Sapiens は、ネアンデルタール人も含みます。クロマニヨン人や、現代の人類は、ホモ・サピエンス・サピエンス Homo Sapiens Sapiens と言い、ネアンデルタール人は、最初に書いているように、ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス Homo Sapiens Neanderthalensis です。どちらも、ホモ・サピエンスです)。

【参考】「ネアンデルタール人は何故滅んだのか」リンク

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