2007年02月09日
カラハリ砂漠のサン(ブッシュマン)
隔離された避難地カラハリ砂漠で、自分たちの古い狩猟採集文化を守ってきたサン(ブッシュマン)。
アンダマン諸島人(1/25、1/28)同様、最も原始的なバンド社会で、「先祖伝来の狩猟生活を勝ち取った」に続いて彼らの生活をレポートします。
(エルマン・R・サーヴィス著『民族の世界』原書1958年より)
●自然環境
1年のうち雨が降るのは3ヶ月だけ(12~2月)。雨期には灌木やバオバブの木がいっせいに花や実をつけ様相が一変するが、雨はしばしば滝のように降り、恒久的な水路もなく、水溜りもあちこちに分散していて、年によってその数も異なる。
水の入手の困難性が人口密度や移動の大きな制限要因になっている。
乾燥しているため、集団で移動する草食動物の群れはいない。大型哺乳類(ex.何種類かのカモシカ)が生息しているが、その密度は低く、近づくのは困難である。
●生活
食物を求めてキャンプを頻繁に移動せざるを得ないこと、荷駄獣その他の輸送手段をもたないことから、武器や衣類や日用品は最小限におさえられている。
基本的な狩猟具は小型の弓と矢、それに簡単な槍もしくは小刀である。穂先には昆虫の幼虫から採取した毒性の物質がぬりつけられている。
草でドーム上の小屋を作るが、雨が降っていない限り、小屋の外の炉の周りで過ごし、そこで眠る。(写真参照)
彼らの作法や習慣のもとになっている精神は、生き抜くということ。彼らの時間とエネルギーのほとんどはこのために使われる。
しかし飢餓すれすれといった生活ではない。長期的には最悪の季節、最悪の年に得られる資源と人口は均衡を保っている。従って、平年は相対的には豊かとなり、大部分の時間を「余暇」に当てられている。
●男女の分業
生計の基本は100種あまりの可食植物で、これには30種の根茎、同じくらいの種類の果実、そして多種類のメロン、ナッツ、葉が含まれる。最も重要なのはナッツ類で、量も豊富で、質のよい植物性蛋白質と脂肪を含んでいる。しかも旱魃に強く腐りにくいので一年中見出すことができる。
植物性の食物が総重量の60~80%を占め、それらは専ら女と子供によって採集されている。
女たちは3~5人のグループで採集に出かける。「働く」ことを求めたり指示する指導者はいなくても、共同作業は互いに調整され営まれる。休むことなく働くということはなく、ある観察者によると、女は1週間に2、3日働いた。
男の役割は主に獲物をとってくることである(筆者注:防衛をかねる)。獲物は食物に占める割合は低く、入手が困難で供給も不安定であるが、非常に好まれる食物である。
大型のカモシカが最も賞賛される獲物で、1年で1人が6匹も捕らえれば幸運なほうだが、獲物のもたらす肉の量だけでなく、獲物を追いかけるときの興奮も彼らにとってすばらしい報酬となる。
男たちの狩猟日程は変化に富んでおり、もし獲物が極端に少なかったら狩猟活動そのものをやめてしまうこともある。逆に大きな獲物がとれたときにも、互酬性により全員がその肉を相伴するために狩りをやめ、そこで高い社交性が生まれる。
狩猟は危険が多く効率の悪い生産活動ではあるが、このような理由で最も価値ある活動とされている。
読んでもらってありがとう(^_^) by岡
- posted by okatti at : 2007年02月09日 | コメント (3件)| トラックバック (0)
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