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2013年06月22日

性の問題を力で解決するチンパンジーと力に関わる問題をセックスで解決するボノボ

 ナショナルジオグラフィックの3月号で、ボノボが特集されていました。
 非常に興味深い内容なので紹介します。
 コンゴ川の左岸だけに生息しセックスと平和を愛する」といわれる類人猿ボノボ。近年の研究で、その意外な素顔が見えてきました。

 人間に最も近いといわれる類人猿、ボノボは「セックスと平和を愛する」ユニークな生態で有名です。他集団との争いや子殺しも辞さない好戦的なチンパンジーと近縁でありながら、なぜボノボはこんな風になったでしょうか?
 コンゴ川の左岸にボノボ、右岸にチンパンジーとゴリラが暮らす現在の分布が、進化の謎を解く鍵とみる説も出ています。
 ボノボとチンパンジーの大きな違いは行動にあります。なかでも目に付くのは性に関連した行動です。飼育下でも野生でも、ボノボは驚くほど多様な性行動を行います。

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「チンパンジーの性行為はあまり代わり映えしないが、ボノボは古代インドの性愛の指南書『カーマ・スートラ』を読んだのかと思うほど、多様な体位でさまざまな行為を行う」とドウバールは報告しました。
たとえばボノボはあおむけになった雌の上に雄が乗る、いわゆる正常位で交尾することがありますが、チンパンジーではこの体位はほとんど観察されたことがありません。ボノボの性的な活発さは、生殖目的の性交に限定されません。
チンパンジーでは発情した雌しか性交しない(出産を目的としてしか性交しない)ので、一匹の雌が性交できるのは、月に3~5日しかありません。群れ全体で見ても雄は発情した雌と性交をするため、雄同士の戦いも激しくなります。
一方ボノボは至っておおらかです。性交が可能な期間はチンパンジーの凡そ5倍、もちろん受精可能な日はチンパンジーと同様3~5日だから他の20日ほどは、受精以外の目的で性行為をしていることになります。
いわば社会的な性行動が実に多様なのです。おとなの雄同士や雌同士、おとなと子ども、子ども同士など幅広い組み合わせで、キス、オーラルゼックス、性器の愛撫、二頭の雄がペニスをぶつけ合うペニスフェンシング、雄が雄の上に乗るマウンティング、発情期の雌同士が性器をこすり付けあうホカホカなどの行動が観察されています。
こうした行動は通常オーガズムには至らず、コミュニケーションが主眼のようです。敵意がないことを伝える、興奮を静める、挨拶する、緊張を和らげる、絆を深める食べ物を分けてもらう、仲直りをするといった目的で行うこともあれば、単に快感を求めて行う場合や、こどもの遊びが性交の練習になっている場合もあります。
また子供たちの周りで誰かが性交を始めると子供たちは大騒ぎで二匹の上に乗ったり、下から覗き込んだりして、自らの性器を擦り付けたりするといいます。
チンパンジーの場合、大人の性行為に子供が参加するのはあくまで、その妨害が目的であり、稀にしか見られないそうです。チンパンジーの場合、母親が発情を開始するのは一般に子供が4~5歳になってからなので子チンパンジーにとっては、母親を誰かに横取りされそうなそんな気持ちなのかもしれません。
一方ボノボの場合は、もの心付いたときから、雄の子供はまだ射精できない頃から、メスにお願いして性交をさせてもらうようになるといいます。ボノボの子供たちにとって、大人の性交は、自分の親も含めてありふれた現実なのです。
頻繁に、たいていは無造作に行われる多様な性行動は、さまざまな場面で社会の潤滑油の役割を果たします。ドウバールによれば、「チンパンジーは性の問題を力で解決するが、ボノボは力に関わる問題をセックスで解決する」というわけです。
■豊富な食料が、ボノボをセックス好きで平和を愛する種に進化させた。
ボノボとチンパンジーには、ほかにも大きな違いがあります。ボノボの集団では雄ではなく、雌が社会的序列の最上位を占めるのです。
チンパンジーでは若い雄が一時的に同盟を結び、上位の雄を倒してその地位を奪うといった策略がよく見られますが、ボノボの雌の地位は互いの友好関係を通じて確立されるようです。
ボノボたちは、縄張りが近接する他の集団に攻撃をしかけることはありません。昼間はチンパンジーよりも安定した、規模の大きな集団で採食行動を行います。ときには15~20頭がまとまって食べ物を探しながら移動し、夜は安全のためか一ヶ所に固まって、樹上にねぐらを作って眠ります。
食べるものはチンパンジーとほぼ同じで、果実や葉を主食とし、たまに狩に成功すると動物性たんぱく質も摂取します。チンパンジーと明らかに異なるのは、ボノボは年間を通じて、林床の植物を多く食べることです。クズウコンなどのでんぷん質の地下茎やみずみずしい茎、栄養のある新芽や若葉。茎の内側の髄の部分も、たんぱく質や糖分たっぷりのごちそうです。
つまり、ボノボはいつでも豊富な食べ物にありつけるということです。チンパンジーのように食料不足や飢えに苦しんだり、食料をめぐって争ったりすることは少ないのです。こうした食性が、ボノボの進化に大きな影響を与えてきたようです。
ボノボとチンパンジーは、私たち現生人類(ホモサピエンス)と最も近縁な動物です。約700万年前、アフリカの赤道地方の森林にはボノボ、チンパンジー、ヒトの共通の祖先が暮らしていました。そこからまずヒトの系統が枝分かれし、約90万年前までにはボノボとチンパンジーの進む道も分かれました。
両者が分かれる直前の祖先が体や行動の面で、現在のチンパンジーとボノボのどちらに近い動物だったのかはわかりません。この謎に迫れば、人間の起源についても何らかのヒントが得られそうです。
私たちはどちらの系統に連なるのでしょう。平和を愛し、セックス好きで、雌が主導権をとる類人猿でしょうか、それとも好戦的で赤ん坊殺しも辞さない、雄優位の集団を作る類人猿でしょうか。

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