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2016年04月21日

人類の軌跡~Y染色体の旅

遺伝子解析による人類史の解明~Y染色体の遺伝の仕組み 以前の投稿にてY染色体の仕組みについて投稿したが、今回はもう少し詳しい記事を紹介する。
分子生物学の進歩により進化の軌跡をたどれるようになったが、まだまだ不完全であるようだ。

◆ヒトのY染色体
ヒトのY染色体は男性のみが持つ染色体である。そのサイズはおよそ25メガbpであり、うち、チミンが30.35%、アデニンが29.92%、グアニンが19.91%、シトシンが19.82%と、かなり偏っている。これをATリッチである、という。
アンプリコン配列と呼ばれる繰り返し配列が非常に多いため、Y染色体の配列を決定するのは困難を極めた。
この配列を含む領域のことは、キナクリンという蛍光染色料でよく染まるのでキナクリン染色領域といったり、有効な遺伝子が存在しないので遺伝子砂漠と呼ばれている。

Y遺伝子は比較的頻繁に変異している。常染色体とは違い普段は減数分裂時の相互転座に参加しないとされ、Y染色体は変異しづらい不活性なものと考えられていた。
現在、減数分裂時にX染色体との間で相互転座が起こすこともあると考えられており、Y染色体自身の中に、他の場所にあるDNAと入れ替えをしていることが明らかになっている。
ここから、、Y染色体は比較的突然変異を起こしやすい染色体であるといえる。
この特徴はY遺伝子の突然変異が世代を重ねるうちに修復できる働きと見られるが、逆に男性赴任などの先天異常を起こす。

人間のX染色体及びY染色体は、他の動物と同様、2億4000万年から3億2000万年前に通常の一対の常染色体から発展しました。この差異は哺乳類及び鳥類の血統分岐後に起こったと正確に指摘されています。X及びY染色体の再結合しない領域は、その後数年にわたって高度に差別化されるようになりました。

Y染色体は長い年月を過ぎても その性質が変化しない特徴があります。そのためY染色体上の変異はその進化の過去の時点の記録を表し、系図学者及び考古学者の研究を補助するもとして利用されています。
ある変異が個人の再生能力に影響を与えない限り、その変異は保存され、子々孫々に受け継がれます。
DNAの積み木のようなヌクレオチドのブロック間の交換は一塩基多型(SNP)、または、点突然変異と呼ばれています。
Y染色体上の、多型の異なる連なりはハプロタイプとして知られています。
これらのハプロタイプの変化を見ることにより、2名以上の個人の生物学的関係を構築することができます。

スタンフォード大学のピーター・アンダーヒル博士は、現代人がアフリカから移住したことが判明している古代のヒトの移住からの子孫であるとの遺伝的証拠を発見するためにY染色体SNPマーカーを利用しました。図は、研究者がY染色体進化の研究から発見したものを要約したものです。

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◆『Y染色体から探る人類の旅』

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Y染色体の遺伝子は、もっと単純なメカニズムによって父系遺伝する。約1/2の確率でXYに結合した受精卵は、Y染色体上にあるSry(スライ)遺伝子が身体が男性になるように指示する。核DNAの塩基数は約60億個で46本の染色体に収められている。(ミトコンドリアの塩基数の約40万倍) このうち、Y染色体のDNAは6000万塩基であり、しるしとなるYAPはそのうちのわずか300塩基の部分である。常、Xに比べ、Y染色体DNAは機能を持つ遺伝子が極めて少ない。 当然、Y遺伝子の調査対象は男性のみであり、男性にいわゆる”縄文系”、”弥生系”の区別があり、女性にはこの区別がない。( ミトコンドリアは男性も女性も持ち、しかも母系遺伝する。)
ただし、Y染色体遺伝子は、しばしばDNAが欠落し正確に伝わらないことがある。

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◆『Y染色体から探る人類の旅』
Y染色体の遺伝子は、もっと単純なメカニズムによって父系遺伝する。約1/2の確率でXYに結合した受精卵は、Y染色体上にあるSry(スライ)遺伝子が身体が男性になるように指示する。核DNAの塩基数は約60億個で46本の染色体に収められている。(ミトコンドリアの塩基数の約40万倍) このうち、Y染色体のDNAは6000万塩基であり、しるしとなるYAPはそのうちのわずか300塩基の部分である。常、Xに比べ、Y染色体DNAは機能を持つ遺伝子が極めて少ない。 当然、Y遺伝子の調査対象は男性のみであり、男性にいわゆる”縄文系”、”弥生系”の区別があり、女性にはこの区別がない。(ミトコンドリアは男性も女性も持ち、しかも母系遺伝する。)
ただし、Y染色体遺伝子は、しばしばDNAが欠落し正確に伝わらないことがある。

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◆Y染色体はX染色体よりずっと小さい。
さらに,この2本の間には,単なるサイズの違いだけではなくもっと本質的な違いも存在する。
例えば,X染色体には2000~3000もの遺伝子が含まれているが,Y染色体にはせいぜいで数十個の遺伝子しかない。
また,Y染色体上の遺伝子の中には,X染色体上に対応する遺伝子が存在しないものがある。
さらに,染色体を構成するゲノムDNAには,タンパク質やRNAの設計図となるといった生理的な機能を持っていない「ジャンクDNA(がらくたDNA)」が含まれているが,Y染色体ではジャンクDNAの占める割合が異常に高いことも知られている(訳注:正確に言うと,ジャンクDNAは,まだ機能がはっきりとわかっていない部位のことで,未知の大切な機能をもっているかもしれない)。

つい最近まで,Y染色体がこのように他の染色体と大きく違っている理由を説明するのは難しく,多くの生物学者が唱えたさまざまな説を検証することは不可能に近かった。
しかし,ヒトの24種類の染色体(22本の常染色体とX,Y染色体)に含まれるDNAの全塩基配列を決定しようというヒトゲノム計画とそれに関連した研究のおかげで,この状況は一変した。古生物学者が現存の動物と化石動物の骨格を比べることで種の進化の軌跡をたどるように,分子生物学者もDNAの塩基配列を比較することによって染色体や遺伝子の進化の軌跡をたどれるようになった。

世代の途中でY染色体にある変化が生じると(突然変異)それ以降の男性はすべてその変化を受け継ぐことになるが,こうしたY染色体の少しずつの違いを基にタイプ別に分類して,Y染色体の系統図というものが作られている。

ミトコンドリアDNAに比較すると突然変異を起こす確立が10分の1程度で、長さが3000倍もある、Y染色体であるが、人類の共通祖先であるY染色体のDNAは多量の突然変異が蓄積している可能性がある。Y染色体の系統関係が、最近かなり分かってきてハプログループの分類が2002年に153のハプログループに定められました。しかし、ミトコンドリアDNAは標準化されておらず、篠田氏の分け方は多くの研究者が使用しているが、細部では混乱が残っている。

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Y染色体DNAの系統図:Y染色体でもミトコンドリアDNAの系統図と同じく、アフリカに分岐の深いハプログループが存在していることがわかる。それぞれのハプログループの分布している地域を見ると、ごく少数の集団がアフリカを出て、世界に拡散したことがわかる。

◆最後に
以上から分子生物学の最近の目覚しい進歩で、遺伝子というミトコンドリアDNAとY染色体からみた、人類の広がりと分布が描かれたが、まだまだ不明な点が多い。更に詳しい検査結果と供に、考古学など色々な研究分野を駆使して、更に詳しい分布を描かれてくるように期待したい。

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