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2022年09月23日

現代に受け継がれる縄文人の世界観

前回は縄文がなぜ「月」と「蛇」を信仰したのかを考察しました。今回は、いまの日本にどのように受け繋がれているのかを見ていきたいと思います。

画像はこちらからお借りしました

■現代に受け継がれている月と蛇

【十五夜の月】お団子を三角形に盛り、ススキを飾りながら愛でる習慣は、月の水(身ごもりの水=精液)を呼び込むためのもの

【竹取物語(かぐや姫)】平安時代に書かれた日本最古の仮名物語。月と女と神性とが結びついた物語。この当時の月のイメージがよく分かります

【伊達政宗の辞世】「曇りなき心の月を先だてて 浮世の闇を照らしてぞ行く」ほか、和歌や文学でも月の心情的な描写が多い

【神奈備山や三輪山のご神体】山の形は蛇がとぐろを巻いた姿をイメージしている

【神社のしめ縄】蛇の交尾姿そのものであり、夫婦和合、子孫繁栄の象徴

【相撲の土俵】もともとは神事です。昭和6年までは、俵の円を二重にする「蛇の目土俵」でした。古来より日本人にとって、二重の円は蛇の目を表しているのです。

【蛇の目茶碗】底部に二重の円が描かれている利き酒用の茶碗

【蛇の目傘】上端を中心に同心円状の模様を施した日本独特の傘

 

月は日本人に古くから愛でており、和歌に詠まれ、かぐや姫の故郷とされ、伊達政宗の兜も有名です。ロシアでは月は見ないそうです。アジアの一部の地域にも月を愛でる国はあるようですが、日本は顕著です。

また、蛇の付く日本語は50くらいありますが、英訳してsnakeという単語がでてくるものはありません。これほどまで蛇が身近なのは日本だけのようです。キリスト教では蛇は人間に原罪をもたらした邪悪な権化として見なされています。

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■「夜」に行われるのか日本の神事や祭り

全国各地に遺されている雨乞い神事や道祖神、神社につきものだった「蛇の目土俵」まで、神社の神事はすべからく月のも水を運ぶ蛇(男)とその水で身ごもる子宮(女)がおりなす再生(甦り)神事だったのではないかと考えています。ようするに神事とは、月をめぐる再生の祈りであり、そこで行われる行為や使われる道具などのすべてが月のシンボリズムと結びついていると私は考えているのです。神社の神事は、かつては満月の夜に行われていたそうですから。 「月と蛇と縄文人」大島直行著より

 

現代に生きる私たちは、お祭りが日中に開催されていることにもはや疑問を感じません。しかしよく気をつけて見ると、古式ゆかしい神社のお祭りなどでは「宵宮」「夜宮」の伝統が見られ、夜を徹した儀式が行われていることに気づきます。

 

画像はこちらからお借りしました

「夜」は、神聖で神秘的な時間であり、神様が来臨する時間であるというのは、とても自然で、かつとても古い時代からの考え方です。この夜に神様を迎え、歓待し、送り出す-というのが、日本のお祭りの基本的な構造なのです。また、夜の方が自分と相手の輪郭がなくなり一体化しやすいということも重要な視点です。

 

縄文人の世界観は、表面から隠されながら命脈を保ちつづけ、地下水のように日本文化の諸相の底を縫って流れ、現代に及んでいるのです

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