RANKING
にほんブログ村 歴史ブログへ
NEW ENTRIES
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK

2016年2月4日

2016年02月04日

シャーマニズムは、ヒトと自然界とのつながりを保ちつづけるための深層の絆

以前の記事で、シャーマンの性別分布を調べた内容がありました。
リンク【女主導の原理と現代への適用】番外編 シャーマンの性別分布

>傾向① 「北方系は、男性シャーマン」?!
気候条件が厳しく外圧が高い地域は、男性の持つ闘争能力への期待が大きいということでしょうか。
>傾向② 「スンダランド系は、女性シャーマン」?!
自然からの恵みが比較的豊かなこれらの国々では、女性の持つ同化能力への期待が大きいということでしょうか。
>傾向③ 「民族移動の起点に、男性シャーマン女性シャーマンが混在」?!
地域的にそもそも混在していたのか、民族が入り乱れるうちに混生するようになったのか、、、

あらためて調べていたら興味深い記事がありました。
リンク 自然とつながる手段としてのシャーマニズム

————————————————————————————————————–
シャーマニズムは、新石器時代から現代にいたるまで、おもに狩猟採集社会で受け継がれてきた精神文化だ。
シャーマンとよばれる人が病人を癒すなどの目的で変性意識状態(トランス)に入り、さまざまなスピリット(精霊)と交流する。
万物に精霊(スピリット)が宿るとするアニミズムの世界観を前提にしている。

シャーマニズムというとすぐに「神がかり」的なキワモノというイメージを持つかもしれない。
しかしシャーマニズム(とアニミズム)は実はヒトにとってとても普遍的で深遠な精神文化なのだということがわかってきている。

子供のころ、誰でも動物と語り合ったり、空の雲の形や夜の闇に何かを感じたりしていたはず。
それがシャーマニズム/アニミズム的な感覚である。そうした感性はヒトに元々備わっているはずだし、すぐれた芸術家や詩人は(たとえば宮沢賢治のように)「見えない世界」を感じ取れるシャーマン的資質を持っていたのだ。ただ、近代はそうした感覚を抑圧してきた。

シャーマニズムには「脱魂型」と「憑依型」の2タイプがある。
おもに狩猟採集生活をする(つまり自然のサイクルの中で生きる)世界中の先住民の間に広くみられるのが脱魂型で、シャーマンの魂が身体を抜け出て、天上界や地下世界などを旅し、祖霊や自然界の精霊と出会ってメッセージを受け取るというもので、シャーマンの多くが男性である。これは、農耕文明やそれを基盤にした西欧近代がこの数千年間で世界を覆いつくすまでの長期間にわたって、ヒトの社会を支える基本的な文化様態だったとかんがえられている。

いっぽう「憑依」型は、「狐憑き」や「神がかり」「チャネリング」のように、向こうからやってくる霊がシャーマンに乗り移るもので、農耕社会に多くみられ、女性シャーマンが多い。農耕が行われて社会が階層化するにつれ、社会の精神的支柱であった脱魂型シャーマンが憑依型に変わり周縁的存在になっていったと考えられる。日本では青森のイタコや沖縄のユタがそうだ。

もともとの狩猟採集社会ではだれもが精霊の世界にアクセスでき、そのうちでとくに秀でたものが共同体の仲間のために働くシャーマンとなっていたのが、社会が階層化・複雑化するにつれ、その役割を祭司や聖職者や天皇が代表し独占するようになり、シャーマニズムは抑圧された。すべての宗教の根源にはシャーマニズムがあって、シャーマニズムが制度化・システム化することによって宗教が発生したといえる。そして、悩みごとなどの相談を受ける憑依型シャーマンが陰の存在として細々と残るようになったわけだ。

直立するサルであるヒトは、「言葉」と「文化」を持ったために自分たちを特別視するようになった。
言葉と文化によってヒトは自然から独立した自分たちだけの快適な生活環境をつくることができ、その分だけ自然界の一員であることを忘れてゆく。 野生動物は、いつも餌を探し敵の気配を感受しなければならないから、深いレベルで自然の生き物たちの世界とつながっている必要がある。でもヒトは知恵を働かせ両手を使うことで人工的環境をつくり、そこに生きることができるから、自然界に背を向けることができてしまう。だからヒトの魂は、他の動物と違って自然界から離れてしまいがちなのだ。

しかし、どこまで行ってもヒトは自然に養われているわけで、自然からの乖離が行き過ぎると自らの首を締めることになる(現代の僕らがまさにそうだ)。シャーマニズムは、そんなヒトと自然界とのつながりを保ちつづけるための、深層の絆なのではないだろうか。現生人類は何万年もの間、自然からの疎外を埋め合わせるべく、自分たちが自然界の一員であることを想起し実感する文化装置~シャーマニズム~を編み出し継承してきたのだろう。

近年、アメリカなど先進国では先住民の精神世界に共感する人が増え、自然とのつながりや心身の癒しを求めて、ネオシャーマニズムとよばれるシャーマニズム復興の動きも盛んになっている。レイヴカルチャーのある部分はあきらかにシャーマニズム的性格を持っているし、近年の「スピリチュアル」やニューエイジのブームも、シャーマ ニズムへの潜在的関心の表れともいえるだろう。

われわれは、失われた深層の絆をとりもどせるのだろうか。
————————————————————————————————————–

たしかに人類の出発点は、万物に魂を感じ、徹底的に同化することで精霊観念を獲得したところから始まる。
そして西洋文明は、そんな自然界を人間は支配、征服できるという前提のうえに成り立っている。
疑問としては、
宗教の根源にはシャーマニズムがあって、シャーマニズムが制度化・システム化することによって宗教が発生したとはどういうことだろうか。西洋の、男性による脱魂型シャーマニズムと、宗教の根源~宗教の発生とはつながっているのだろうか、つながっているとすればどのような関係なのだろうか。

>