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2017年10月19日

2017年10月19日

アーリア人の守護神信仰~契約・盟友・友情の守護神ミトラ

西洋人の特有の「契約」観念の源流に、アーリア人のミトラ神という守護神信仰にあったようである。

『世界史の窓』「ミトラ教」によると、
古代イランのアーリア人は、ササン朝ペルシアでゾロアスター教が国教とされるまで、さまざまな神々を祀っていた。その一つがミトラ神で、友情・契約などをつかさどる太陽神であり、非常に人気が高かったらしい。

『ミトラ教ジャパン公式サイト』「ミトラ教の宗教史」 「ミトラ単一神教の神話」によると、
ミトラ教の起源は、紀元前1700年以前の中央アジアにまでさかのぼる。

●ヒッタイト・ミタンニ・カッシート時代の資料に、「ミトラはヤザタたちの長である」という記述(伝承)がある。ヤザタは、イラン系諸語で「神」を意味する。この伝承は「ミトラがヤザタたち、つまり神々の長」であったことを意味している。つまり、ミトラが西方に移住したイラン系民族の至高神であった。

●3700年前、イラン系民族(ヒッタイト、ミタンニ、カッシート)が、中央アジアから移動をはじめ、バビロニア~小アジア半島の根元の地域に移住。この時代のミトラ教を原始ミトラ教という。ミタンニ条約の碑文碑文には、「ミトラ、ヴァルナ、アリヤマン、インドラ、二柱のナーサティア神」に誓って条約を結ぶと記されている。
この碑文は、ミトラが筆頭に来ることを示している。
この碑文のミトラ神群は、ほぼ同時期のインドにおいて、アーディティヤ神群と呼ばれていた。古代インドの『リグ・ヴェーダ』によれば、アーディティヤ神群は、大女神アディティーから生まれた七柱の神々ことで、七柱の神々は、ミトラ、ヴァルナ、アリヤマン、バガ、ダクシャ、アムシャ、インドラとされている。ミトラが第一の神である。
ミタンニ・ヒッタイト・カッシートにおけるミトラ神群にも、大女神アーディディに相当する神がいたと考えられる。大女神アーディディの名前は、サンスクリット語で「無限」を意味することから、西方のミトラ神群の親神は「無限なるズルワーン」であったと推定される。

●復元された原始ミトラ教の原神話
①始めに巨大な霊鳥スィームルグがいた。スィームルグは、大女神ディヴ(=無限の女神アディティー=母ズルワーン=無極聖母)の化身である。霊鳥スィームルグが世界卵を抱き続けると、世界卵が熟した。まず島の上にあらゆる植物の起源となる聖樹(リーワス)とあらゆる動物の起源となる聖牛(ガウ)が生まれた。

②さらに世界卵が熟したとき、スィームルグの愛が世界卵の中に入った。愛は世界卵の中に入ると、少年神ミトラになった。ミトラは世界の主にして、火と太陽の神である。千の耳と万の目を持つミトラは孔雀の尾羽を広げたようなオーラに包まれて、静
かにたたずんでいた。
③ミトラは、島の中央に降り立つと、七名の神々(原アムシャスプンタ=アーディティヤ神群)が現れた。ミトラは彼らとの友情と世界の繁栄を願って、霊鳥スィームルグのために最初の供儀を執り行い、聖牛を献じ、聖樹を細かく砕いてしぼり樹液を取り出した。ミトラが供儀をおこなうと、島の上空に明るく燃える火、すなわち太陽が現れた。太陽が昇るにつれ世界卵も大きくなり、ついに三倍の大きさになった。天空の大きさが定まると、ミトラは無数の星をつくって天上に飾った。ミトラの執り行った供儀により、島と海も大きく広がり、三倍の大きさになった。ミトラは七名の神々の一人に太陽をあずけると、残りの六名に自分のまねをして真似をして、月、水星、金星、火星、木星、土星をつくるように言った。彼らがこれらの惑星をつくり終わると、ミトラは星々に合図を送った。すると、星々は運行を始めた。星々の回転にともなって、時間が生まれ、昼と夜、春夏秋冬が生まれた。

『日本を守るのに右も左もない』「アーリア人のミトラ信仰」
ミトラ神は、古代アーリア民族の信仰した7柱神の中の最高神。ミトラ信仰の起源は、6000年前の中央アジア(現在のカザフスタン)にまで遡るが、原始ミトラ教の形をとるのは、3700年前ころらしい。
ミトラ神とは、インド・アーリア人、イラン・アーリア人が分かれる以前の時代にまで遡る古い神格で、その名は本来「契約」を意味する。 また、契約によって結ばれた「盟友」をも意味し、友情・友愛の守護神とされるようになった。
ミトラ神は、ヴァルナ神とは表裏一体を成す。ミトラ神が契約を祝福し、ヴァルナ神が契約の履行を監視し、背いた者には罰を与えるという。
雨が降ると草木がいっせいに芽生え出る。古代インド人は、これを水の神ヴァルナの天地創造と呼んだ。ヴァルナ崇拝は、雨に代表される自然力をいわゆる共感魔術により分けてもらうことで、自然を支配する力を持とうという発想と結びついている。ヴァルナ崇拝のテーマは、自然に対する人間の優位性の確保である。ところが、人間がある程度自然を支配するようになると、人間は自然の上に安定的に君臨するようになった。この結果、自然克服魔術(呪術)の重要性は減り、人間同士の関係、すなわち社会契約(友情)の重要性が高まった。これにともない、ヴァルナの地位は下がり、ミトラが上位の神になった。

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