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2018年10月25日

2018年10月25日

人類の進化と拡散のモデルが書き換わる

人類進化の定説が大きく揺らいでいる。
最近の研究では、ネアンデルタール人などの旧人類と現生人類との間に、これまでいわれていたような深い断絶はなく、実はかなりの交わりがあったことが明らかになってきた。むしろ、別の血を入れることが人類をより強く進化させてきたようだ。

■意外に進む混血
従来の説ではホモ・サピエンス、つまり現生人類がアフリカを出て世界中に広がり始めると、それまでユーラシア大陸に住んでいた同じホモ属のネアンデルタール人などの旧人類は絶滅へと追いやられたとされている。
進出にあたって、ホモ・サピエンスは旧人類とは交わらず、ネアンデルタール人の遺伝子を次世代に伝える混血の子どもは生まれなかったと考えられてきた。
旧人類は競争に負け、新参のホモ・サピエンスに取って代わられた。ホモ・サピエンスがアフリカから世界各地に広がる際、出会った旧人類をことごとく全滅させた可能性も指摘されていた。

ところが、ここ約10年の化石人類の発見ラッシュと遺伝学的研究の発展によって、この定説は大きく書き換えられることになった。
現生人類とネアンデルタール人の間の解剖学的な共通点に加え、遺伝学的研究からも両者の間に混血があったことがわかってきた。
その結びつきはかなり強く、今日の非アフリカ系の人々のゲノム(全遺伝情報)の最大3%がネアンデルタール人由来だ。人によってそれぞれネアンデルタール人由来の異なるDNA断片を持っている。そのため、現生人類が受け継いだネアンデルタール人の遺伝情報の総和は3%よりはるかに高く、最近の計算によれば少なくとも20%にはなると考えられている。

ホモ・サピエンスとの混血があった旧人類はネアンデルタール人だけではなかった。近年発見されたデニソワ人(シベリアの洞窟で見つかった4万年ほど前の謎めいた指の骨から回収されたDNAによって特定された人類集団)も、私たちの先祖との間に混血があった。
交雑する人類の拡散モデル

■異なる遺伝子で強くなる
そうした混血はホモ・サピエンスに有益だったようで、そのおかげでホモ・サピエンスは生存に有利に働く遺伝子を獲得できた。
例えばネアンデルタール人から受け継いだDNAは免疫力を高めたらしい。またデニソワ人由来のある遺伝子変異は、チベット人が酸素が希薄な高地で生活するのを助けている。
ホモ属の起源に関する定説も揺らいでいる。従来、ホモ属は東アフリカが起源とされていたが、近年、南アフリカ共和国のマラパで発見された200万年近く前の人類化石は、ホモ属がアフリカ南部に現れた可能性を示唆している。

【参考】
・日経サイエンス
・スヴァンテ・ベーポ著「ネアンデルタール人は私たちと交配した」

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2018年10月25日

シャーマンとは何か10~人類の観念機能の土台となったドーパミン

幻覚の原因は、様々な神経伝達物質の過剰や不足による神経回路の異常である。
各種の神経伝達物質の多くは相互に抑制し合う関係にあり、抑制し合うことで脳を安定させているが、特定の神経伝達物質の過多によって安定関係が壊れると神経回路が暴走し、幻覚をみることになる。
幻覚の原因となる代表物質がドーパミンである。
ドーパミンが過剰に増えた場合、神経回路が興奮し感覚過敏となり、ちょっとした刺激にも反応する。感覚が鋭くなると、外界刺激と経験記憶や本能記憶が反応して幻覚をみると考えられる。

以下、「生物史から、自然の摂理を読み解く~人類の観念(創造性)はドーパミンによってつくられた」を要約したもの。
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他の哺乳類では発現しなかった観念を、人類が獲得した理由は何か?
脳が自発的に活動する現象が幻覚と観念であり、その点で幻覚と観念は
共通している。
そして、ドーパミンは幻覚だけではなく、観念機能にも関わっていると考えられる。
ドーパミンが人類で特徴的に発達した脳内物質だからである。

まず、ドーパミンの基本的な機能である。
ドーパミンは脳を覚醒させ、ストレスの解消や楽しさ・心地よさを生み出し、集中力・やる気を高める。子供が些細な事にも夢中になるのは、ドーパミンが脳内で十分に放出されているからである。

一方、ドーパミン濃度の低下すると、物事への関心が薄らぐなど精神機能や運動機能、性機能が低下する。

ドーパミンの神経にはA9神経系(黒質緻密部)とA10神経系(腹側被蓋野)があり、さらにA10神経系は2つの経路に分かれる。一つは大脳辺縁系を通る経路(中脳辺縁系路)で、扁桃体の興奮(情動)によって活性化する。もう一つは前頭葉を通る経路で、ストレスや不安等で活性化する。

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このうち、前頭葉を通るA10神経系にはオートレセプター(自己受容体)がないので、前頭葉はドーパミン優位になっている。
オートレセプター(自己受容体)とは、自分で放出した神経伝達物質を神経細胞自身の受容体で取り込むことで伝達物質の放出量を調整(抑制)する仕組み(下図参照)。

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このA10神経系はサルにもあるが、とりわけ人類に特徴的な神経系である。
大脳が発達した人類の脳には大量のドーパミンが分泌されている。特に大脳皮質の前頭連合野とその周辺で、ドーパミンが過剰に分泌される。人間が創造性を発揮できるのはこのドーパミンによるものとされる。また、大脳皮質では約8割を興奮性細胞が占めているので抑制が弱く、過去の経験や記憶に捉われない創造性が発揮される。

他の動物でも大脳基底核ではドーパミンが使用されるが、大脳皮質や側頭葉ではドーパミンはほとんど使われない。代わりに使われるのは覚醒性のノルアドレナリンである。
化学的にはノルアドレナリンの前駆物質がドーパミンで、「チロシン」→「L-ドパ」→「ドーパミン」→「ノルアドレナリン」の順に生成される。つまり、原始人類の前頭前野にドーパミンが大量に使われる素地は、それ以前の動物段階で整っていた。

ノルアドレナリンの生成にはビタミン類(特にビタミンC)が必要であり、果物が豊富な樹上生活を失ってビタミンC不足となった人類の脳では、ドーパミンからノルアドレナリンに転換できずに、ドーパミン過剰の状態に陥った。このビタミンC不足によるドーパミンの過剰が、ドーパミンを主体とした大脳、特に前頭葉と大脳皮質を発達させたと考えられる。

サルの脳と人類の脳の違いは、大脳、特に前頭葉における興奮系の神経伝達物質ドーパミンにある。木から落ちた人類は、ビタミンC不足に陥った結果、ドーパミン優位の大脳を発達させ、それが人類の創造性や観念機能の土台となったと考えられる。
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この投稿では、その理由としてビタミン不足を挙げている。それは間違いではないとしても、他にも理由があるのではないか?
ノルアドレナリンが生成できるのであれば、その前駆物質ドーパミンを生成するのは簡単にできるはず。だからビタミン不足でなくても可能なはずである。

いずれにしても、サル以前の動物で使われていたノルアドレナリンから、人類はその前駆物質ドーパミンに切り替えた。それが人類の探求機能→観念機能の形成によってなされたことは、間違いないだろう。

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