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2007年02月21日

サン(ブッシュマン)の社会・婚姻・子育て

tanaka.jpgカラハリ砂漠のサン(ブッシュマン)サン(ブッシュマン)の分配・共有制に続いて、サン人の社会組織や婚姻、子育てをレポートします。最近当ブログを賑わしている“双系制”の原初形態でもあります。
●社会組織
夫と妻と子供たちからなる家族がいくつか集まってバンドを構成し、一緒に移動する。バンドの平均人数は25人。
バンドのメンバーは非常に近い関係にあるので、未亡人となった女が亡夫の兄弟と結婚する(レヴィレート婚)とか、妻を亡くした男が死んだ妻の姉妹と結婚する(ソロレート婚)といった場合をのぞいて、バンド内での結婚を禁止するインセスト回避のルールが働いている。
バンド間の通婚は、血縁者や婚族の集まりとして認識される組織を形成する。ある地域では約1000人規模になる。親族や結婚といった手段以外にこの組織を形成するための政治的な基盤はない。

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近い親族は性と世代によってのみ区別されて呼ばれる。交叉イトコ(両親の異性のきょうだいの子)と平行イトコ(両親の同性のきょうだいの子)の区別が欠如しており、バンドの成員権も母系とか父系といった厳密な単系性を基盤としていない。
(筆者注:人類学では“双系制”とも呼ばれており、人類500万年の大部分を占める単一集団時代は首雄集中婚で母系も父系もないので、この最も原始的な形態の名残と考えられる。)
●婚姻
レヴィレート婚もソロレート婚も強制的ではないが、強く推奨されている。
一夫多妻も承認されており、未亡人となった兄弟の妻と結婚するレヴィレート婚の場合、男が既婚ならばそうなる。
特に理想的とされているのは、二つのバンドの間でのバランスのとれた交換である。つまり一つのバンドの少女と少年が、もう一つのバンドの少年、少女と結婚するような取り決めである。このような純粋な相互交換はバンド間の絆を強化する最良の方法であると考えられている。
持参財も花嫁代償もないために離婚は簡単であり、子供のない若いカップルの間では頻繁に離婚が生じる。(筆者注:原始社会では子供の誕生をもって結婚の成就とみなされるケースが多い。)
結婚は最初の何年間かは妻方同居である。若い夫は義理の親族や自分の妻に食料を供給するため一生懸命に狩をして、自分がよい夫であることを証明しなければならない。子供が3人生まれたあとは、妻のバンドにとどまろうが夫の出身のバンドに戻ろうが、自由に好きなところにキャンプをもってもかまわない。
(筆者注:これは母系制の萌芽ともとれる。また首雄集中婚→勇士婚規範ともとれる。)
●子育て
サン人の少年少女の教育は、社会環境への参入準備と、過酷な自然環境への適応を学ぶことを基本にしている。
両親は子供が赤ん坊や幼時の時期には愛情を身体で表現し、わがままを許し、やさしく保護してやる。赤ん坊はふつう母親と密着し、出かけるときも皮のカロス(ケープのような上着)で腰の左側に結び付けられており、いつでも乳房を吸うことができる。
長期授乳は大事なことだと考えており、少なくとも3、4年は授乳する(未開社会ではよくあること)。このため一人の赤ん坊が大人の食物を食べられるようになるまでは、次の赤ん坊が生まれても殺すのである。
赤ん坊は母親の腕の中で眠り、小さな子供たちは両親の近くの炉の側で寝る。
11、12歳頃になると、男の子は少年たちの炉のところにいって寝るようなり、女の子は祖母や近親の未亡人のところで夜を過ごす。親の炉を離れることは一種の親離れであるが、同時に兄弟と姉妹が離れるということ(=インセスト回避)でもある。
集団生活は調和のとれた規律と役割期待に貫かれているので、矛盾とか恐れとか欲求不満といったものがみられず、そのため大人の社会的な要求に対して、子供たちが敵意や反抗を示すこともほとんどない。
子供たちの遊びの大部分は大人の行動を真似たものであり、やがてそれらは日常の仕事の一部となる。
アンダマン諸島人同様、現存する最も原始的なバンド社会だけに共通するものを感じます。
読んでもらってありがとう(^_^) by岡

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comments

母系社会でありながら、女は嫁入りして移籍していく。でも、集団(への帰属意識)を形成しているのは母方の血筋。確かに、???ですね。
いずれにしても、母系であれ、父系であれ、そこで生きる人たちの間でそれ共認されている限り、血縁こそが人々を繋ぐ紐帯であり、集団統合原理ですから、それは残存しているようですね。
>母系から父系への過渡期の形態なのでしょうか?
母系から父系へ転換というよりも、血縁集団(この場合は母系)自体の崩壊過程なのかも知れませんね。この後は、母系という血縁は人々を繋ぐ紐帯ではなくなり、個人や個別の家族(核家族)へとなっていくのでしょうか。

  • さいこう
  • 2007年3月12日 00:15

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