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2015年04月02日

地域づくりの主役は女~女性がまちを創り世界が女性を育む

地域活動における女性の活躍が目覚しいが、

その要因は何だろうか、また女性ならではの特色は何だろうか、そして今後の地域活動の課題は何だろうか、、、

 

◆個性的な人生尊重時代の到来
このところ、まちづくりの場面での女性の活躍が目覚しい。
伸長著しい民間非営利団体(NPO)の分野やコミュニティービジネスの世界でのリーダーの多くは女性である。
女性はまちづくりの世界で、なぜこのように活躍するようになったのであろうか。その背景として大きく二つ考えられる。

一つは社会側の事情である。
人々の価値観の変化や社会・文化の変化に、男性文化が対応しきれなくなってきているということである。
企業社会で新たなニーズ対応や商品開発・販売に女性が求められているように、まちづくりにおいても女性の登場が期待されるようになった。少子高齢化や子どもを取り巻く諸課題への対応、環境問題への対応、地域経済の新たな活性化、芸術文化の振興、国際化・グローバル化対応など、地域におけるさまざまな課題解決に「女性たちよ、もっと出てきてくれ!」と社会が叫び出したのである。

いま一つは女性側の事情である。
先進他諸国に比べ、日本における女性の社会参加を取り巻く環境は依然厳しくはある。しかしながら、もはやかつてのような自己犠牲を前提に人生を考えるのではなく、いい意味で自己実現を追求する時代となり、女性は多様な生き方を選択するようになった。

その両者の事情が特に結合するのが、NPO活動やコミュニティービジネスの場面である。筆者は、コミュニティービジネスとは地域資源を活かし、地域課題を解決しながら自らの自己実現を果たす地域生活のあり方の一つだと考えている。そこに女性たちは価値を見いだしつつある。かくして今まさに女性たちは、男は仕事、女は家庭という「固定的な性別役割論」から脱し、「個性的な人生尊重論」の時代に生きるようになったのである。

 

◆取り組みの中から見える特色と課題
女性たちのこうした取り組み事例に共通して言えることは、
第一に地域課題が多様化・複雑化・深刻化し、地域自らが自主的に課題解決に当たる必要性が高まる中で、それに応えざるを得ないと気付くセンスのよい女性たちがリーダーとなってきていることである。

第二に地域の再評価や地域資源活用型まちづくりが求められる時代になり、地域情報を豊富に有している女性の有利さを生かしていること、

第三に地域内外における人的ネットワークの質と密度が高く、それらをうまく生かしていると同時に、

第四に情報化・グローバル化社会によく対応し、情報量が豊富でITや語学をはじめとする情報処理やコミュニケーション能力も高いことがある。

第五に自己実現欲求が高く、新たなチャレンジ精神も旺盛で、個性的な生き方を希求していること、

第六に活動や事業に当たっての組織運営はピラミッド型よりは、水平なネットワーク型を得意としていること、

第七に生活や家庭、地域の人間関係に配慮しながら、また経済的にも無理せず、いわゆる身の丈に合った取り組みを粘り強く続けながら、活動内容の充実を図る方法を取っているなどである。

一方、課題もある。第一は、基本的にまちづくりへの女性の進出に対する社会の理解や協力がまだ十分でないことであり、
第二に社会参加に目覚め、力量を付けつつある女性に対し、男性の意識変革がついてきていないことがある。これだけ男女共同参画型社会の構築が叫ばれているにもかかわらず、依然男女の意識には差がある。

 

◆今後に向けて
今後、女性の活動を促進させるためにはどのような環境づくりや施策が必要であろうか。

第一に「地域課題解決型まちづくり」を地域社会全体で共通認識することである。地方分権時代、山積みの地域の課題は、もはや地方行政だけでは対応できない。地域の行政、住民、NPO、企業、教育・研究機関などが協働でまちづくりに取り組みながら、課題解決に挑む体質づくりを共通目標に据えることである。

その上で、第二にその担い手は誰もがなり得る、すなわち「老若男女」すべてであるとの視点に立ち、女性はもとより、今後一気に定年期を迎え、大量に地域に戻ってくる団塊の世代を含めた高齢者、高校生や大学生らを含む青少年らにも、まちづくりへの多様な学習機会や参加機会を創出していくことである。女性だけが浮き上がるようにまちづくりに取り組むことより、誰もがまちづくりの主役になり得るといった社会風土を培ってこそ、女性は活動がしやすくなるのである。

従って、第三にまちづくりへの関心を高め、最初のきっかけづくりのためのプログラムを整備する必要がある。ボランティア・NPOセミナー、関連インターネットホームページの充実、各種ワークショップなどを自由自在に仕掛けていくことである。

第四が、さまざまな交流機会の創出やネットワークを構築し、そこで触発されるシステムを整備することである。ネットワークは固定的に考えるものではなく、柔らかく多様に存在するものである。

例えば、地域づくり団体全国協議会などが取り組んでいる研修交流会などへの参加はお勧めである。あるいは女性の全国ネットワーク組織はすでにあろうが、今改めて全国的な女性起業家ネットワークやまちづくり関係女性ネットワークシステムが加わってもよいのではなかろうか。

第五に組織的、継続的、経営的な組織・事業の推進ノウハウ、マネージメント力を付ける学習システムの整備である。最近は全国各地で起業やコミュニティービジネスに関する講座が増えたが、こうした研修プログラムに参加することも一つだが、大学や大学院などにもまちづくり関連の授業や学科・コースの整備もなされてきているので、社会人入学というのもよい。たいていは生活や仕事をしながら学べるようになっているはずである。筆者がいる大学院でもそうした社会人が多く学んで成果を上げている。
また、上記のようなこととは別に、学外プログラムとして、女性起業家育成セミナー「しごと創造塾」を三カ年実施し、延べ約百人を卒業させたが、その中から多くの女性起業家が誕生している。

第六に、女性をはじめとするまちづくりにかかわる人々への日常的支援である。もちろん行政がその筆頭になろうが、それよりもいわゆる中間支援センターといわれる、民間のサポートセンターの拡充が重要だと考えている。そこもまた女性たちの活躍の場である。

第七に情報の公開、交流の活発化である。まちづくりは理論も大事であるが、優れて実践の世界である。論より証拠、全国、世界各地のさまざまな実践活動を多様な媒体を通じて公開し、相互交流させることである。ちょっとした関心、偶然なことから何かは始まるものであり、あるいは活動を続けて挫折しつつあるとき、刺激的なほかの実践に勇気付けられることは多いのである。その意味でインターネット時代の進展は、女性のまちづくり参加を促すよい環境を創出するであろうと期待している。 (参考:http://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/book/monthly/0503/html/t00.html)

 

 

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