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2018年12月29日

シャーマンとは何か16~脱魂型シャーマン(男性)と憑霊型シャーマン(女性)

同じシャーマンでも、脱魂型と憑霊型があり、脱魂型シャーマンは主に男性で、憑霊型シャーマンは主に女性らしい。

『宗教と宗教的職能者』より引用

シャーマンは、自分が超自然界に「行く」タイプの脱魂型シャーマン、または狭義のシャーマンと、超自然的存在が向こうから「来る」タイプの憑霊型(憑依型)シャーマン、または霊媒に分類される。脱魂型シャーマンだけを「シャーマン」と呼び、憑霊型シャーマンは「霊媒」と呼んでシャーマンには含めない場合もある。(→呪術・宗教的職能者の分類)

ところで、これらのさまざまなタイプの職能者や宗教的実践がひとつの社会の中に全種類存在しているということはない。

アメリカの人類学者M.ウィンケルマンは、全世界からランダムサンプリングされた47の民族の社会に存在する115の呪術・宗教的職能者を、その生理的・心理的・社会的特徴によってクラスター分析し、それらが、おおよそ、シャーマン、霊媒 、祭司、呪医の四種類に分類できることを明らかにした。
ここで霊媒というのは、日本のイタコやユタのような、神や霊を自分に憑依させることで占いや病気治療などを行なうタイプの職能者で、意識の状態を変容させ、超自然的存在と直接交流しているという点で、やはりシャーマンの一種であるともいえる。
いっぽうの祭司は、キリスト教の神父や神道の神主などのことで、神に祈ることはあっても、自分が神になったり、神の世界にまで飛んでいったりはしないという点で、シャーマンとは区別される。
最後の呪医は、呪術師ともいわれるカテゴリーの人たちで、シャーマンと祭司の中間的な性格をもっている。呪術を使って病気を治したり、時には敵を攻撃したりもするが、やはり深い変性意識状態に入ることはない。

ウィンケルマンの分析(表)によれば、47のサンプル社会のうち、宗教的な職能者が存在しない社会は中部アフリカのムブティ・ピグミーと、ボリビア・アマゾンのシリオノの二社会だけで、シリオノの社会にもじっさいにはシャーマン的な人物がいることを考えると、なんらかの形での宗教的な実践というのは人間社会にほとんど普遍的な現象だといえる。また霊媒も含めた広い意味でのシャーマンは全体の約三分の二の社会に存在し、さらに呪医の一部も含め、なんらかの形で変性意識状態に入る職能者は全体の9割にあたる43社会に存在するから、意識の状態を変容させ、超自然的世界とコンタクトする文化というのは人間社会にほとんど普遍的にみられる現象だといっていい。

全世界の呪術・宗教的職能者の分布を統計的に通文化比較したウィンケルマンの分析に戻ると、全体の8割の社会に脱魂型または憑霊型のシャーマンが存在したわけだが、さらに、脱魂型と憑霊型のシャーマンが同じ社会に共存することはほとんどない。だから、脱魂型のシャーマニズムと憑霊型のシャーマニズムは、同じ現象の異なる社会的表現だとみることができる。ウィンケルマンのサンプルにあらわれた17社会の憑霊型シャーマンはすべて南北アメリカ以外の農耕・牧畜社会に存在し、しかもほとんどの場合、祭司とセットで存在している。またウィンケルマンのサンプルをジェンダーと社会的地位の立場から分析した蛭川は、脱魂型シャーマンと祭司の多くが男性であるのに対し、憑霊型シャーマンの多くは女性であること(表)、祭司の社会的地位が高いのに対し憑霊型シャーマンの社会的地位が低いこと(表)を明らかにしている。

いままでの議論は以下のようにまとめることができる。

・シャーマニズムは、人間社会にほとんど普遍的な現象である

・人間社会の原型である狩猟・採集社会では、狭義のシャーマニズム(脱魂型シャーマニズム)が社会で中心的な役割を果たしている、

・アメリカ大陸以外の農耕・牧畜社会では、脱魂型シャーマン(男性)→祭司(男性・地位高)/憑霊型シャーマン(女性・地位低)という分化が進んできたと考えられる。

・アメリカ大陸の先住民社会ではこのような分化は起こらなかった
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