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2019年07月28日

殖産分化の始まり~ゾウリムシの生殖核(小核)・代謝核(大核)の分化

原核生物はひとつの細胞で全ての機能を担う、単一の万能細胞である。
真核単細胞から生殖細胞と体細胞への分化の萌芽が見られる。

例えば、真核単細胞生物のゾウリムシは、小核と大核の二つの細胞核を持っている。
大核は通常の細胞分裂に関わるタンパク質合成を行っている。小核は細胞分裂時にはほとんど働いていない。大核は、接合または自家生殖時には一旦消滅し、減数分裂→受精によって生じた新生小核から分裂生成される。
つまり、大核は体細胞の起源(代謝核)であり、小核は生殖細胞の起源(生殖核)である。

大核(代謝核)・・・代謝に必要な情報を持ち、通常はこの核の情報により細胞は活動する。

小核(生殖核)・・・全ての遺伝情報をもち、細胞が生殖を行う時に遺伝情報を次の世代に受け渡す。

また、ゾウリムシの生殖方法も特徴的で、未熟な段階での細胞分裂による増殖以外に、成熟すると他のゾウリムシと接合することによって、有性生殖をするようになる。ゾウリムシの場合、ひとつの細胞の中に大きさと機能が異なる二つの細胞核が備わっていて、小さい方の小核は、有性生殖を行う時のみ働く細胞核なので、生殖核とも言われている。

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ゾウリムシでは、2核のうち1核を交換して合体し二倍体になっている(上図)。
その後、2核のうち1核が交換専用の小さくて運動性が高い核となり、もう1核が交換しない大きくて安定性が高い核となった。これが運動能力と変異能力が高いが極めて小さい精子と、栄養を貯め安定度は高いが運動能力はない卵子への分化の始まりだと考えられる。これが精卵分化である。

■分裂の限界と接合による再生

単純な細胞分裂だけでは、700回(種によって約150回~約700回の幅がある)が限界で死んでしまう。他の個体と接合し、減数分裂を行って小核を融合することで再生し、再び700回の分裂ができる。

■未熟期と老衰期
接合により生まれ変わった個体は、すぐには次の接合ができない未熟体である。約50回の分裂を行うことで性的に成熟し、接合が可能になる。また逆に、600回以上の細胞分裂を行った個体は、接合能力を失ってしまい、残り約100回の細胞分裂を経て死を待つ老衰体となる。

■小核と大核
先に述べたように、ゾウリムシは、小核と大核の二つの細胞核を持っている。小核が二倍体なのに対し、大核は数百倍体のゲノムを持ち、通常の細胞分裂に関わるタンパク質合成を行っている。小核は細胞分裂時にはほとんど働いていない。
通常分裂時(栄養期)には、細胞は2分裂によって増殖する。
このとき、大核も小核もともに分裂する。
大核は、接合または自家生殖時には一旦消滅し、減数分裂→受精によって生じた新生小核から分裂生成される。

■細胞分裂の回数は大核DNAが規定している
分裂回数の少ない若い個体の大核を、分裂回数の多い(老化した)個体に移植すると、老化個体の分裂回数は若い個体の残存分裂回数分だけ回復する。逆に、老化個体の大核を若い個体に移植すると、その個体は老化個体の残存分裂回数分だけしか分裂ができなくなる。同じように老若個体の小核を交換移植しても、このような現象は起こらない。
こうしてみると、ゾウリムシの小核は明らかに『生殖細胞の起源』であり、大核『体細胞の起源』であることが分かります。

無性生殖では、環境外圧により一度DNAに傷がつき変異がおこると、それがそのまま分裂します。その変異が環境に適応していれば問題ありませんが、適応していない場合、種全体が死滅する可能性が高くなる。そこで、ゾウリムシの場合、この状況を克服するために生殖を行う小核(のちの生殖細胞)と、タンパク質を合成し細胞を大きくする大核(のちの体細胞)に役割を分化させた。

ゾウリムシが接合し、小核は減数分裂によりお互いの遺伝子群を組み合わせて、変異を取り除くことが可能です。しかし、もともとの大核が存在していれば、その核が持つ変異した情報により、外圧に適応できないタンパク質の合成を繰り返します。そこでゾウリムシは、接合と同時に、もとの大核を消滅させる仕組みを獲得した。

大核を消滅させ、新しくできた小核により新しい大核を作る。
しかし、この過程はもともとのゾウリムシの細胞内で行われるため、新しい小核と大核の周りは、古いタンパク質で作られた細胞質で覆われている。

その環境の中で、新しい大核は、古いタンパク質とは多少違う新しいタンパク質を合成し細胞内を塗り替えていきます。新しいタンパク質を合成し一定の大きさになると分裂する。そして、次の接合が可能となるまで約60回の分裂を繰り返します。これを性成熟するまでの分裂と呼ぶ。この性成熟するまでの分裂とは、細胞内を全て全く新しいタンパク質に塗り替える過程ではないかと考えられている。 

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