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2022年12月02日

高群逸枝の日本婚姻史4~原始時代の族制は、性別と年齢階級が基本

画像はこちらからお借りしました。イモセ(桜)です。

高群逸枝の日本婚姻史3~原始時代の群婚期

につづきます。

縄文時代の婚姻関係がどうであったか。その一つの出がかりはコトバです。

例えば、一夫多妻婚だとしたら、リーダー的存在を示すコトバがあり、一夫一婦婚であれば、その一夫一婦を表すコトバがあるはずです。

高群逸枝によると、原初は性別を表すイモ(女)/セ(男)があり、兄弟姉妹の意味もあり夫婦の意味もあると述べている。つまり、兄弟姉妹も夫婦も同じイモセであり、それ以上の区別が無かったことを示している。

また、ハ(女)/チ(男)は、コ(幼小)からみた年配者を表すコトバがあることから、年齢の区別はあったようだ。恐らく生殖可能年齢期で区別していたと推察するが、しかし年配者のなかからさらにリーダーを示すようなコトバは無かったようだ。

これだけで断定はできないが、一夫一婦や一夫多妻を示すようなコトバが見つからない事や、兄弟姉妹も夫婦も全てイモセとしていたことは、群婚を想起させる一因になっている。

以下、高群逸枝の日本婚姻史を要約する。

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原始時代の族制は、性別と年齢階級が基本となっている類別族制で、後代の等親的な個別属性(自分からの遠近関係で親族を位置付ける)とは異なる。文献での親族呼称の曖昧さは、この類別呼称の遺習と輸入の個別族制の混同に求められる。この族制をまとめると、

1.原初型
性別と年齢階級だけの簡単な族組織。イモ/セは性別を表し、長幼の意味はない。族内婚では兄弟姉妹の意でもあり、夫婦の意でもある。両者を幼少のコから見たときには、ハ/チであり、同時に族の長老を意味した。イモを転じたオモ、接頭語のイを除いたモでも母の意となる。

2.進化型
年齢階級・性別の呼称が複雑化し、郡内の族制が秩序だってくる。これは共同生活が規律化したことを意味する。神前婚が起こったのはこの段階だろう。
なお、エ/オトは性別に関係なく年長/年少を表すから、妹でも弟(オト)と呼ばれる。

3.実母子族(母子小家族)
族内群婚族中、この実母子族のみ初めて禁婚とされ、南北朝ころまでの日本の禁婚制度はこれに基づく。ここにはイロチ(実父)という語がない。存在がないからであろう。従って父系の禁婚は元来なく、後に父系が貫徹されて初めて父系の近親婚が禁じられるが、それでも従兄弟姉妹は禁婚されていない。『世界史』ではまず親世代と子世代の禁婚、次に実母子禁婚が行われるというが、日本では異世代間禁婚はなく実母子禁婚のみ顕著である。

以下に、1~3の呼称を整理。

1.原初型
・・・・・・・・・・・・・男・・・・・・・女・・・・・・・・

年齢階級が大      セ(チ)    イモ(ハ)
年齢階級が小          コ(幼児)

 

2.進化型
・・・・・・・・・・・・・男・・・・・・・女・・・・・・・・

年齢階級        セ(チ)    イモ(ハ)

年齢階級がオヤ    オチ(大父)   オハ(大母)
年齢階級がオヤ    ヲチ(小父)   ヲハ(小母)
年齢階級がコ    ヲノコ(ヲヒ)  メノコ(メヒ)
マコ

 

3.実母氏族

〇              イロハ(実母)
〇         イロセ(実兄弟) イロモ(実姉妹)

 

次回に続きます。

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